試合に勝って勝負に負けた
この拮抗した状況を打破する術を持たないクラリスの魔術に苛立つ。
ならば、敵の狩人は…。
俺は無意味、フルエ、ヒーラ（女）は魔法防御の中、ヤイル、剣士B（男）は鎧で身を固めているため、ダメージを与えられない可能性がある。
そうか、狙撃元が特定される可能性か、ならば特定されても倒すべき職？
いや特定可能な唯一の人物は…盗賊C（女）かっ！！
盗賊C（女）に狙撃可能な範囲を目を凝らしてみるが見るが見つからない。
俺から近い順に、盗賊C（女）、敵の剣士、その後ろからの狙撃？
違う、味方の敵の剣士が邪魔で狙撃し難い。
ということは…俺の後ろから？
振り返ると敵狩人が、矢を放つ寸前だった。
俺は、盗賊C（女）に駆け寄り、放たれた矢から守った。
その代償として、矢は俺の右肩に刺さる。
倒れ込む俺と盗賊C（女）。
だが盗賊C（女）はすぐに状況を把握する。
「クラリスっ！！」
「いいから、狩人をっ！！ 次、潜伏されたら…」
俺の言葉を聞き終える前に、狩人を追撃するため走り出す盗賊C（女）。
倒れた俺にとどめを刺しに来る敵の剣士、それを光の矢で牽制するフルエ。
「おいっ、ガキども相手に、手こずっているじゃねーか」
最悪のタイミングで敵の増援が来る。
ここまでか…どうせ殺るなら、敵味方構わず、圧倒的に殺してやるが…。
「おっさん共、お前らの負けだよ」
比較的スターライトの自エリアに近い狩場で、戦闘になったのが功を奏したのか、スターライトの援軍が、3パーティ来たのだ。
形勢逆転だ。
流石は2番手のギルドのクリスタルGだ。
不利になるや否や、あっさりと撤退戦に移行する。
腐ってもクリスタルGだ、どのような罠を仕掛けてくるかわからないため、深追いせずにこちらも撤退との指示が出た。
盗賊C（女）が戻って来ないことを伝えたが、撤退のタイミングは変わらないようだ。
