クラリスの悩み
ベッドに横になると、女の匂いがする。
気になって、自分の匂いを嗅ぐと、自分も女の匂いだった。
霧の魔法書を開くと、殆どが白紙だ。
”霧の目隠し”、”毒霧”、”霧の冷却”
3つしか魔法がないのかよ。
まぁ、これならPKなんかできないもんな、疑われなくて済む。
特に今は、PK計画ないし、ちょっと様子を見るか。
2,3日過ごすと、クラリスの立ち位置がわかった。
男に媚びて寄生するタイプだが、あの程度の魔法しか使えないのだ、自分が同じ立場なら誰でも同じことをするだろうが、他人がやっているのは、きっと気に入らないはず。
つまり、クラリスには敵が多い…ニヤリ。
修練場にて、魔法を試す。
霧の目隠しを発動する。相手も味方も、視界が遮られる。逃げ専用の魔法じゃねーか。
毒霧を発動すると、他のメンバーから、「俺らを殺す気かっ!!」とお叱りを受けた。
っていうか、毒の威力低くね?
最後の霧の冷却は、好評だった。
「体使った後は、クールダウンが必要だもんな」と脳筋達。
こいつは、駄目だ…。
いいアイデアも思いつかないまま、レベリングのための狩りに誘われる。
剣士A(男)、剣士B(男)、盗賊C(女)、魔法使いD(男)、ヒーラ(女)、私。
完全にいらない子じゃないですか。
「てか、クラリスいらなくねぇー?」
あからさまに盗賊Cが不満をぶちまける。
「ははっ、私は可愛いマスコットだから」と完全に吹っ切れたふりをする。
「まじかよ。完全に寄生じゃねーか」
ヒートアップする盗賊C。
この階層まで来ると、善人モードは解除されるのかな?と思った。
全然まとまらないパーティは、レベリングの冒険に出かけるのであった。




