潜入したけど
「……そうか、PKに襲撃を受けたか」
「突然、扉が開き、氷結魔法で…魔法使いなのに短剣も使っていました。私は、背中を蹴られただけのようです。なぜだかわかりませんが、急いで要塞の外へ逃げていったと思います」
「うん。現場の状況から見ても、証言と一致する。クラリスは、次の命令があるまで、部屋で休んでいなさい」
尋問室から出る。
尋問官は、フォールドという名だったな、メモメモ。
クラリスの部屋って、何処だよ…。
「ク、クラリス…。よかった…無事だったんだね」
うーん、親しい友人? 恋人? 不味いな、クラリスの事、ちゃんと聞くの忘れてた。
「う、うん…」
「あいつら…良いやつだったからな。ずっと一緒だったし」
「いつも一緒だったよね…」(多分…)
「あぁ…」
「あの…一人になりたくないんだけど、命令で待機なの…へ、部屋まで一緒に付いてきて」
どうだ? これで、案内役ゲットだ。
「あ、これから関しだけど…うん、そのぐらいなら」
よく見ると、イケメン、長身、性格よし、剣士っぽいな…でも、なんか、しっかりとまとまりすぎて、つまらないやつだな。
「あっ、部屋過ぎてるよ」
「あはっ…一緒にいるのが…緊張しちゃって…」
クラリスとの関係がわからないが、それとなく、いい感じに、しておこう。
「緊張って…まぁ、ちょっと休んだら、落ち着くと思うから」
イケメンは爽やかに去っていく。
クラリスの部屋に入ると…片付けのできない女かよっ!!
8畳ぐらいの広さに、所狭しとゴミが積み上げられている。部屋が汚い、汚すぎる。
せっせと、掃除するが、一向に終わりが見えない。
くっそ、この世界に来てから、こんなに掃除したのは初めてだ。
ベッドの下に本がある。
なんて古典的な…と思い手に取るが、霧の魔法書なるものだった。
そうか、クラリスって魔女だもんな。




