地下6階層の悪魔
暁の塔と呼ばれる俺のPKホームタウン。
ここは外周と内周の2構造となっていて、どちらからでも塔を昇り降りできるのだ。
いつものように最上階から連れてきたボスキャラを塔の入り口にセットする。
そうです。最上階のボスを撃破できないような雑魚キャラ共は、二度と塔から出れないのです。
大体、この塔は、PKで有名なのに来る方がおかしい。
まぁ、それなりの報酬があるので、仕方ないのだが。
俺は、ボスの隣に座り、雑談をする。
このボスも俺と組むようになってから、いろいろとウハウハなのだ。
「何で、お前が、いるんだよっ!! 今日は、沼の砦のはずだろっ!!」
冒険者たちは、怒っていらっしゃる。
「確かに、ルーティーンは重要だ。某野球選手も言っていたしな。だが、俺はわがままだ」
「た、頼むよ、見逃してくれよ…」
経験値もドロップも良い、この塔で稼げたため、どうにかして逃げたいようだ。
「大サービスだ。このボスこと、ファイヤードラゴンさんを倒したら、見逃してやってもよい」
塔に来ていた他のパーティ達も異変に気づき、入り口まで戻ってきていた。
塔にいる冒険者たち、総勢40名の戦いが始まった。
タンク役の戦士に、自他パーティのバッファーから、強力なバフを何重にもかけられる。
タンク役は、ヘイトスキルによって、ファイヤードラゴンのターゲットを固定する。
タンク役のヘイト量を上回らないよに、アタッカー達が攻撃を開始する。
うん、レイドだ。
タンク役のHP残量が半分以下にならないように、ヒーラ達が代わる代わる回復させていく。
物理アタッカーは、ファイヤードラゴンから、ダメージを受けないように、爪や尻尾の物理攻撃、ファイヤーブレスの炎属性、咆哮の精神攻撃を上手に避けていく。
即席のレイドチームだが、思ったよりも、機能している。うん、こいつら上手い。
ファイヤードラゴンのHPが半分になること、魔法使いの詠唱が始まる。
魔法使いの攻撃は、ヘイト量が高いため開幕ぶっぱなど、以ての外であるが、ちゃんとセオリー通りに戦いを進めている。
偉いぞ。
ファイヤードラゴンのHPが1/3になると、どこからともなく、矢や爆炎魔法が、レイドチームのタンク役を襲う。
「お前っ!! PKしないと言ったじゃないかっ!!」
「いや、俺じゃねーし」
エンドファミリー所属のPKパーティ登場だ。




