非常事態宣言
ギルドの建物付近で草むしりしている俺に、マークスが走り寄ってくる。
「おい、”ノンパドラックス”が壊滅したらしい。詳しい状況はわからないが…お、恐らく…ファーブも、殺られたらしい。血まみれの彼女の剣と鎧を見つけた奴がいるらしい」
「らしい、らしい、って、何もわかって無いのに、ファ、ファーブを勝手に殺すなよっ!」
「す、すまない…」
「ごめん、こっちこそ」
まぁ、なかなかの演技ではなかろうか。
なんか地下2階層に興味が無くなっちまったな。
その昼過ぎ。
リーダーから今回の襲撃事件の真相がつかめるまで、一時的に5ギルドの同盟が決まったという報告を得た。
同盟対象のギルドは、”聖なる乙女”、”ゴールデンタイム”、”フリーダム”、”月光の王”だ。
そして岩場に砦を持つ”月光の王”への合流が決まり、総出で荷造りの最中だ。
俺が連れてきた男の子と女の子は、シーズとプラリアという名で、俺が面倒を見ることになった。
二人共、職を得たので、無能職者の俺よりも忙しいのだが。
男の子のシーズは剣士に、女の子のプラリアは飼育師になったのだ。
「お兄ちゃん、プラリア、今度は俺が守るからね」
「無理しないでね」
純粋で可愛いな。
シーズの前で、プラリアをバラバラにしてやりたい衝動を押させる。
「うん? 今、お兄ちゃん、悪いこと考えてなかった?」
「えっ!? なんでわかったの?」
「考えてたのかよ…」とシーズは呆れていた。
実際に何も起こりはしないけど、必死に働く皆さんって滑稽だよね。
まとめて全員殺してやろうかと思うが、少なからずシーズとプラリア、マークスには情がある。
10時間以上歩き続けて、”月光の王”の砦に着く。
砦は、切り立った斜面に作られていた。
高さは20m以上あるだろう。
鉄製の扉が開き中に入ると、他のギルドも到着していたのか、活気に満ち溢れていた。
岩場の砦より、もっと上部の、ほぼ山の斜面にテントを張る予定だという。
重い荷物をシーズは文句も言わずに運んでいる。
本当に、良い子だな。




