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孤独のPK、ほくそ笑む  作者: きっと小春
第一部 人間失格してますか?編
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頑張れリザードマン

リザードマンは思いの外足が早かったが、忍耐力がない。


どんなに攻撃しても倒れない俺を諦めて、湿地帯へ戻ろうとするのだ。


俺は、石やら木やらを投げ、リザードマンのヘイト値を上げる。


どうにか木の柵で囲まれた”ノンパドラックス”の基地まで辿り着く。


見張りの男の子が、俺に「こっちに来るなっ!!」と叫んでいる。


やめてくれ、こっちは走っているんだ。笑わせないでくれっ。


”ノンパドラックス”の基地内に入ると、アクティブスキルの認識阻害を発動する。


誰からも存在を認識させず、しかも記憶から一時的に消し去るのだ。


俺は、ファーブを探す。


ファーブは建屋の中、工房で剣の手入れをしていた。


俺を認識できないファーブの目の前に行く、そして気絶させる。


俺が認識阻害を使っている限り、触られているファーブも同様の効果がある。


次々にリザードマンに蹂躙されていく、”ノンパドラックス”のメンバーたち。


”ノンパドラックス”は、これでも戦闘重視のギルドなんだけどね。


問題は、ファーブが起きたとき「どうして私だけが助かったの?」という質問に、どう答えるかなんだよな…。


でも、こらはゆいから貰った”記憶改ざんの薬”で解決できるだろう。


僕と会話をするため、こっそりとギルドを抜け出しているとき、リザードマンの群れにギルドが襲われたことにするのだ。


リザードマンは、とてもエコなのだろう、殺した人間を片っ端から食べているではないか。


大量の血痕とは裏腹に死体を発見できなかったと、後から調査しに来たギルドも不思議がっていたほどだ。


僕を介して、ゆいも、この殺戮ショーを観ているだろう。


”ノンパドラックス”から離れた木陰で、ファーブを寝かせる。


”記憶改ざんの薬”は粉薬だ。


「気絶させるから飲ませられないけど?」とゆいに質問したら、口の中の粘膜や舌に塗るだけで、効果が現れるからと言われた。


ファーブごめんと思いながらも、口の中に指を入れて、薬を塗りつけた。


起きたファーブは、「ここ何処!?」とか、「なんでいるの?」とか聞いてくるが、「今日は内緒で会う約束の日でしょ?」と納得させる。


「会って寝っ転がりながら、話していたら、ファームお姉ちゃん、寝ちゃうんだもん」


「ごめんなさい」と謝罪してくるファーブであった。

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