異世界の呪い
カーテンで締め切っていても日射しが入り込み、部屋の温度を上げていく。
抱き合って寝ていた俺はお互いの汗が混じり合うのに少し興奮した。
いや、お姉さんの裸体から、濃厚な性と生の香りがするのだ。
この感じは…。
喉が渇く、血を欲しているのか? いや、それは勘弁してほしい。
舌で犬歯に触れると、少し尖っている??
この変化は何なんだ?
思い当たるのは、蹴られたとき、口に含んだ血を飲み込んでしまったからか?
どいういうことだよ? 田島の血が特別なのか? 俺の呪いなのか?
もしも、吸血が可能だとして、何か意味が、いや何か能力が使えるかもわからない。
お姉さんを砂にして殺した場合、街中の監視カメラや指紋などで俺に疑いがかかるだろう。
それに、こんな良い人、殺すなんて出来ないよ。
だが、興奮するのだ。血が欲しいのだ。
「おい、少年、今更、興奮してきたのか? 何も手を出されなくて、正直、女としてショックだったんだぞ?」
俺の体の変化を感じ取ったお姉さんは嬉しそうに言った。
ごめん、今は、性欲よりも、吸血なんだよ…なんて言えるはずがない。
どうして良いかもわからず、涙が溢れる。
「おい、どうした少年? 何か気に触ったか?」
「違うよ…」と、どうにか声を出して、お姉さんの胸に顔を埋める。
お姉さんは、信じてくれた。なら少し血を分けてもらえないか聞いてみるか?
どのみち、このままでは、血が欲しくて発狂して、誰彼構わず襲いかねない。
そんな予感がした。何か最悪コースが運命に組み込まれているんだろうし。
「お、お姉さん、吸血のことは話しましたよね? 少し、少しでいいので、血を…。吸わせて」
必死に懇願する俺に驚きもしないで、お姉さんは優しく頷いた。
「でも、痛いの怖いから、指じゃ駄目?」
「指? 指って、神経だらけで、痛そうだけど…」
「だって、首じゃ、少年がどんな顔で吸っているか見えないじゃない?」
お姉さんは問答無用で俺の口に人差し指を突っ込んできた。
お姉さんの指に犬歯を突き立てると、思い切ってカプリと噛み付いた。
口の中に広がる濃厚な血は、俺に少しだけ希望を与えてくれた。




