夜明けの街
田島は俺に何度も蹴りを入れるが、ここで噛み付いている腕を離したら殺されるだろう。
「離しやがれ、馬鹿がっ!!」
抗争のとき、腹が立っていると負けた奴をボロボロになるまでに蹴り込んでいた…。
俺も蹴り続けられ内臓が破裂したりなんかして、死んだりするのだろうか?
蹴られた箇所の感覚が無くなってきた…。
最後の一撃とばかりに蹴られたとき、口に含んだ血を飲み込んでしまったため咳き込むと、同時に腕を離してしまう。
だが幸運にも田島はナイフを落としていた。
俺はナイフに手を伸ばすが、田島に拾われてしまう。
「くそっ、良いか、6人だ。6人殺したら、生かしといてやる…」
腕を押さえながら田島はくるりと背を向けると、街の灯の中へ溶け込むように消えていった。
体の何処が痛いかもわからない、多分、全身が痛いのだろう。
でも笑っちまうよな、6人殺すなら、田島1人殺した方が、罪も軽いし早いだろう…。
田島、俺に情けかけてくれたのかな?
しばらく大の字で寝っ転がっていたが、大分手足の感覚も戻ってきた。
でも、いつまでも…こんな場所にいたら、別の奴らの…ターゲットになっちまう。
壁伝いに右足を引きずりながら、どうにか人通りのある大通りまで出た。
大通りの本屋と電気屋の間にスペースを見つけると、壁を背に座り込んで、そのまま寝落ちした。
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「おーい、少年、生きてるか〜?」
突然、声をかけられ驚きで心臓が高鳴った。
俺は、寝ていたのか?
「お、おいっ!! 血だらけじゃないかっ!!」
大きい声を出され、さらに鼓動が早くなった。
通りには誰もいない。何時なんだろう?
「こっち、こっち見ろよ、少年、大丈夫か?」
やっと声の主に目線が行く、金髪の女性は…よくいる飲み屋のお姉さんだ。
「だ、大丈夫、です。し、心配しないで…」
なぜか緊張してしまい、ろれつがまわらない。
「大丈夫なわけ無いだろ? 家へ来い」
腕を引っ張られて立たせられる。




