ステップアップ
俺たち新鋭の盗賊ギルド出来ることと言えば、組織を大きくするか、新しい分野にチャレンジするかだ。
何を考えたか、現状維持でも十分なほど世の中的にアウトなのに、前田は抗争の道を選択した。
正直、前田は、喧嘩という面で言えば、下の上だろう。
だが、悪知恵が働くため総合的に言えば、中の中ぐらいになる。
勿論、俺も駆り出されるわけだが、ベースがイマイチなため、盾としか使われない。
「ヒデェ顔だな」と前田や田島に笑われる毎日だ。
盗賊ギルドで磨き上げた逃走スキルは役に立たない。
そろそろマジで転校を考えないと危険な気がするが、親とのコミュニケーションが皆無なのが痛い。
「はぁ、異世界で経験した戦いのノウハウはあるんだがなぁ、ボディがダメダメすぎ」
ベッドに寝転びため息をつく。
筋力アップのトレーニングでも始めるか? 付け焼き刃だろうがやらないよりはマシだろう。
俺、腕立て20回もできないのか…。 絶望的な脆弱ボディだ。
異世界スキルが使えればな…。
<実は、こんなときのために、封印してありましたっ!!>
なんてことはなさそうだ…。
馬鹿なことを考えていると、出撃の合図が…。
やりきれない気持ちで、スマホを床に叩きつけたいが、修理費用がないため、ぐっと堪える。
間に合わせ場所に着くと、田島だけだったので、自然と愚痴を呟く。
「こう、毎日、毎日、喧嘩、喧嘩で、いつか死人が出るんじゃね?」
「あっ? もう出てるぞ、何を今更」
「はっ? 何処の誰だよ?」
「南の奴らだ」
現在の勢力図的な話で言えば、三つ巴の戦いを繰り広げている。
南と北と東の俺らだ。
「いやいやいやいや…。それ、やばいだろう…」
体中から一気に恐怖が溢れ出し、ちょっと膝が震えだす。
「俺ら傭兵は戦うしか道はないからな」
田島が握りしめた拳で俺の胸を叩く。
「いや…漫画の見すぎだろ」
「もう、組織図の中に俺もお前の名前も書かれて、幹部に提出されているぞ?」




