街の正体
あんな事件があった翌日だが、教室の雰囲気はいつも通りだった。
俺は席に着くと、これは絶対におかしいだろう? と頭を抱えて悩む。
「今日ヒマ? 家に来ない?」
などと周りも、何も無かったかのようだ。
不意に、「お前も来る?」と誘われた。
声をかけてきた相手は、見た目普通だ。特に用もない俺は”行くよ”とだけ返事をした。
***** ***** ***** ***** *****
同級生の家に上がり込む日が来るなんて…。
だがメンバーが、今日誘ってくれた普通、ヤンキー、オタク、脳筋スポーツマン、ガリ勉…。
「どういう構成なんだこれ?」と思ったことを口にする。
「はははっ、だよな。こいつらは、全員、幼馴染だ。家も近所」
今日誘ってくれた普通が、お茶とお菓子を出しながら答える。
「お前さ、クラスの人間に興味ないだろ?」とヤンキーが話しかけてきた。
「そ、そんなことは…」と図星を突かれ、動揺してしまう。
「おいおい、当たりかよ…。お前、俺達の名前言えるか?」ヤンキーの追求が辛い。
「ごめん。わからん」と素直に謝る。素直は大事だ。
今日誘ってくれた普通は石井、ヤンキーは田島、オタクは細野、脳筋スポーツマンは八木、ガリ勉は伊藤…うん、覚えられねぇ。
「お前さ、前田のプライド傷つけんなよな。あいつ、ねちっこいぞ?」
「えっと、田島くん、アドバイスは嬉しいけど、前田って誰?」
「おいおい…。初日の顔面パンチだよ」
「あのさ、俺、どうすりゃ、よかったの?」
「泣いて、土下座して…」
俺は飲んでいたお茶を盛大に吹き出した。
「ごめん、ごめん、ぞうきんとかある?」
やっぱり、この学校おかしいぞ?
「あのさ、聞いていいか? 昨日ゴリラ刺されたじゃない? 何でみんな普通なの?」
「それは、この学校と言うか、この地域がおかしいんだ。まず、まともな家庭なんて稀だ。まともな親や金を手にした連中はすぐに引っ越すのさ。だから、この地域はクズが残り、クズがクズを磨き上げて完成した本物のクズが街を仕切るのさ。誰も街を良くしようなんてしない。出る杭はマジで殺される。一人や二人、まともなこと言っても無駄だぜ、何万というクズがいるんだからな」と先程まで黙っていたガリ勉の伊藤が熱弁した。
「昨日刺した山下だって、限界だったんだ。毎日、盗みを強要されるなんて当たり前、自宅なんて知らない奴らのたまり場、妹は目の前で知らない酔っぱらい中年や自分より年下の小学生にまで犯されている。狂って当然だろう?」ヤンキー田島が悲しげに言った。
これ、異世界よりカオスじゃね?




