信頼度ゼロ
結局のところ国を滅ぼしたのか理由については、シドロモドロになってしまったが、寛容な王様達は食料支援を約束してくれた。
国から手を引くのも約束させられたが、これで良かったのだろう。
国の運営のプロに任せておけば問題ないはずだ。
それに誰からも干渉されたくないし、誰かを失って深淵の底に自分が沈んでしまうのも嫌だった。
だからラーズル村だけは、そっとしておいてくれと交渉したのだ。
ダースラたちへのお土産を買うため、城下町を散策していたのだが、聖騎士隊に行く手を阻まれた。
「えっと、一応、ジャクヂレン王には許可を貰っているのだが?」
「承知しております。私どもは、夜紅血の王から国民を守るのではなく、無作法な国民から夜紅血の王をお守りするために参りました」
なるほど。短気で気分やな俺にちょっかいを出す馬鹿がいた場合、俺が国を半壊させると思っているのか?
当たりだ。
「苦労をかけるな。では、とっとと買い物を済ませよう。これは買い物リストだ。買って来てくれ」
聖騎士たちは怪訝な顔でお互いを見るが、どうやら自分たちで解答を導き出せたらしい。
俺が動くよりも自分たちで手分けしたほうが早いし、どこか人気のないところで待ってもらった方が監視しやすいだろうと。
「どうやらお互いの意見が一致したみたいだな。では、ちゃちゃっと買って来てくれ」
冷かかで、意地の悪い笑みで言うが、俺など誰も相手にしていなかった。
聖騎士達が担当を割り振り買い物に出かけると、残ったのは俺と聖騎士長だけになる。
俺と聖騎士長は、人気のない寂れたカフェのオープンテラスに陣取る。
一応注文は、飲みたくもないけどカプチーノにした。
何気なく通りをみると、ありえない人物と目が合った。
俺は驚きと共に勢い良く席を立つ、聖騎士長は何事かと臨戦態勢に入った。
「さ、さくらなのか…?」
俺は、心の中が掻きむしられる度に、意識がカオスモードに引っ張られ、正気を保つ自信が無くなるのを感じる。
さくらは槍も持っていなければ、鎧も身に付けていない。花柄ハイネックワンピースを着ていた。
「久しぶりね」
その声はとても落ち着かせるのだ。まるで家に帰ったように安心する、そんな一言だった。
二人の間に聖騎士長が割って入る。
「邪魔よ」
さくらが聖騎士長に向けた掌から、ライトニングボルトが放たれ、人気のないカフェの店内に吹き飛ばされた。
そしてさくらは、俺に向き直ると雷轟の槍を召喚し、嬉しいような悲しいような表情で言った「助けて…」と。




