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運命の女神は勇者に味方する  作者: 岩切 真裕
~ 護衛兄弟暗躍編 ~

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過剰に反応

いろいろな意味で。

先に主人公視点でも触れていますが、もっと品の無い話ver.となります。

「ライトは無事なんですよね?」


 そんな栞の安否確認に対して……。


『生きてるよ』


 声の主はそう答えた。

 そこまではごく自然な言葉だったのだ。


 だが、何故、精霊族というのは()()()()()()()()()()()()()()()()のだろうか?


『無茶した今代の聖女よりも()()()()()()()()()だよ』


 続けられた台詞に含まれていたその擬態語に()()()()しかない。


 先ほど無様を晒したせいだろう。

 ()()()()()にオレの思考が誘導されてしまったのだ。


 いやいや、あの時、あの男に()()()()()()()()()()


 だから、別の意味だろう。

 そうだろう。

 そうと言ってくれ。


「ガチガチ……?」


 栞から不思議そうな声がする。


 ぴんぴんについては、体調の回復の意味だと理解したはずだが、後に続いた言葉が結びつかないらしい。


『死を覚悟していた人間が、いきなり、寿命が引き伸ばされたんだ。それも愛しい女の手で。生への渇望は深まり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思うよ。まあ、あの紫の坊やも()()()()仕方ない、仕方ない』


 オレの考えは間違っていなかったようだ。

 このまま飛び込んで、相手が退散していた方が良かったんじゃねえか?


「まあ、状況的に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()な」


 兄貴がそんな余計なことを呟く。

 その時点で、オレの考えがそこまで的外れでもないことが確定してしまった。


 だが、自分じゃ制御できない日が暫く続くって()()()()()()()

 若いってだけで許される話じゃねえぞ?


『反応が薄いね? もっと過剰に反応するかと思ったんだけど、予想外、予想外』


 まあ、栞だからな。

 多分、意味が分かってないと思う。


 男の生理現象を全く知らないわけではないようだが、実体験がないために、結びつかないことが多いのだ。


「過剰に反応?」

『紫の坊やの()()()()暫くの間、()鹿()()()()()()()、さあ、大変って話だよ』


 ……露骨すぎる。


 そして、そんなことを好きな女に自分の知らない場所で暴露されているあの紅い髪に心底、同情したくなった。


「馬鹿になるとどうなるんですか?」

『この純粋さが眩しい!?』


 純粋と言うよりも無知なだけだと思う。

 しかし、聞くなよ。


『そこで待機している兄か弟かに聞けば教えてくれると思うよ』


 そして、()()()()()()()()()よ!?


「弟に聞いたら怒られる気がします」


 分かってるじゃねえか。


 流石に何の躊躇いもなく「ガチガチって何? 」なんて、聞かれたら、オレは再び逃走するしかなくなっていたことだろう。


『兄に聞けばいいじゃないか』


 さらに声の主はそんなことを言いやがった。

 オレに聞かれても答えにくいが、兄貴に聞かれるのは嫌だ。


 どうしろと言うのか?


「それはそれで気まずいんですよね」

 

 栞がそう答えたことにホッとした。


「俺としては、彼女から聞かれたら()()()()()()()()()()()のだがな」

「黙れ、クソ兄貴」


 どさくさに紛れてなんてこと言いやがるんだ。


「他の人間を巻き込むことはないだろう?」


 それはそうだが、そうじゃないんだよ!!


「何より、半童貞から()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ」

「ちょっと待て? それは遠回しにオレにも聞かない方が良いって言ってねえか?」

「遠回しではなく、()()()()()()()()()()つもりだが?」


 気が咎めた様子もなく、兄貴はそう答える。


「性知識に関しては、経験も実績もなく、書物から得ただけの()()()()()()()()を聞くことによって、誤った方向に流されてしまう可能性があるからな」

「喧嘩売ってんのか? 売ってんだな?」

「そんな意図はないな。俺はただ事実を口にしているだけで、その結果、半童貞の矜持や見栄など取るに足らないものを侵害していたとしても、罪に問われる謂れなどない」


 兄貴はそう言いながら肩を竦めた。

 明らかに喧嘩売買をしたいようだ。


「尤も、既に俺やお前は、()()()()()()()()だろう?」

「あ?」


 そんな言葉でオレは動きを止める。


「主人にそういったことを教えるのは、今後、()()()()()()()()()()()()()だ。それならば、寧ろ、何も知らない今のままでいる方が好まれるだろう。男は女性以上に相手の過去に拘るからな。自分以外の男の影がちらつくだけでも不快に思う輩はいる」


 ああ、そうか。

 これからはそう言った方面については、オレたちが変に教えない方が良いのか。


 だが、それは今の状況がこのままずっと続くならばという注釈がつく。

 もしかしたら、栞が()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。


「まあ、現状は頼られるとも思っているけどな。実際、気高く美しいモレナ様は、俺かお前に聞けとそのように仰せだ」


 確かにそうだ。

 栞が先ほどの会話を気に掛けていれば、間違いなく、オレか兄貴のどちらかに確認するだろう。


 その時はどうするのが正しいのだろうか?


「尤も、先ほどの話に関してだけ言えば、俺やロットベルク家第二子息殿よりも、()()()()()()()かもしれん」

「あ? どういう意味だ?」


 兄貴やあの栞の婚約者候補よりも、オレが適役だと?


「俺はここ最近、()()()()()()()()からな」

「あ?」

「もともと、日中、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 真面目な顔で何を言い出すかと思えば……、ナニの話だった。


 ソレに関しては、寝ている時と、早朝に起き上がるのは仕方ねえよな。

 冗談抜きで、健康の確認基準……、具体的には生殖機能が正常な男の生理現象なのだ。


 更年期を迎えるまでは、週一以上の頻度でその現象が本当に起きないようならば、本気で泌尿器科を受診しなければいけないほどの事態である。


 尤も、寝ている時に起き上がっていることも多いので、気付かないこともあるんだけどな。


 そんな()()()()()()()()()()()()()()()()()()は……。


「単に()()()だけだろ?」


 まともに取り合おうと思ったオレが馬鹿だということはよく分かった。


「阿呆。()()()()()()()()()()()()()()()()()()、俺も負ける気など寸毫(すんごう)ほどもない」

「あ?」


 四十路越え?

 ああ、あの情報国家の国王のことか。


 オレに対しての挑発の言葉を、兄貴は思いの外、気にしていたらしい。

 逆に言われたオレ自身は、そっちについてはそこまで気にしていなかった。


 気にかかったのは別の部分だったからだろう。

 あるいは、始めから立つ土俵が違うと分かっているからか。


 しかし、「すんごう」ってなんだ?

 この三年間で自分なりに勉強してきたつもりだが、まだ兄貴の言葉が理解できないことも多い。


「とりあえず、その辺りは主人の意思を確認しよう」

「そうだな」


 阿呆な会話だけで時間を無駄にしてしまったことだけは分かった。


『ワタシから言えることは、今代の聖女はもう少し休養が必要ってことだね』


 気付けば、二人の会話はかなり進んでいる。

 先ほどまではあの紅い髪の話だったが、今は、栞の話に戻ったらしい。


「どれぐらいでしょうか?」

『う~ん。精霊界と回復量が違うようだから、一週間から十日ぐらいかな?』


 それぐらいなら問題はないだろう。

 もともと俺たちは二週間ぐらい滞在するつもりでいた。


 それだけ、あの時、オレたちが見ている前で、倒れ込んだ栞の様子が普通ではなかったとも言える。


 魔力の封印を解放した後の栞も倒れた後、なかなか目が覚めなかった。

 だから、同じぐらいだと判断したのだ。


『まあ、今代の聖女には魔法力がどれぐらい回復しているかを可視化できる護衛がいるから、彼に聞けば、ばっちぐ~だよ』


 古くねえか?


 どこかのグラドルが言ったことで流行った覚えがある。

 小学生ぐらいの時に聞いたような、そうでなかったような、そんな古い言葉だったはずだ。


「ばっちぐ~?」


 意外に栞がそこで不思議そうな声を出す。

 可愛らしい声で疑問を呈しているが、お前は結構、死語も知っていたよな?


『おおっ!? ここでまさかの世代格(ジェネレーション)(ギャッップ)!?』

 

 そして、何故、その話題を膨らませようとするのか?

 いや、オレたちも変な方向に話が進んでいったけどな。


 だが、魔法力の回復か。

 まだ感応症も働かない状態なのだろうか?


『ああ、護衛たちがいるから感応症が働くのか。それならもっと早い、早い』


 あ?

 このタイミング……。


 もしかしなくても、オレたちの心も今、読まれている?


『二人に抱き締めて寝てもらいなさい。魔法力回復のためなら、嫌とは言わないはずだから』


 確かに嫌とは言わない。

 寧ろ、諸手を挙げて賛成したいほどである。


「そんな立場を利用したセクハラは嫌ですよ」


 いや、これはセクハラじゃねえだろ。

 魔法力の回復のためだと言う立派な名目がある。


『ああ、パワハラってやつだね』

「パワハラ?」


 栞の言葉はそのままオレの疑問でもある。


 なんだ?

 「力強い(powerful)嫌がらせ(harassment)」か?

 それとも、「増強(power up)嫌がらせ(harassment)」か?


『ああ!! 時代が違うっていちいち会話が難しい!!』


 普通なら世代格(ジェネレーション)(ギャッップ)があるからこそ、起こり得る話なのだろうが、この声の主は、過去も未来も視通(みとお)すことができる。


 だから、いろいろな時代が混ざってしまうのだろう。


 先ほどの「パワハラ」という単語はオレも聞いたことはないから、未来の言葉か?

 日本語は、生き物のように生まれるし、変化もするし、死んでしまうことすらある言葉だからな。


 しかし、そう考えると、この声の主は日本語で栞と会話していたってことか。

 それもちょっと不思議な話だよな?

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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