表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第十章 攻略キャラその⑤ジークヴァルト・オリバー登場
95/103

4

 ゲーム本来のシナリオでは婚約破棄は一年後のことで、生徒会のメンバーにはヒロインだったシャルロットがいたはずだった。

 彼女はライアン元王子殿下と既に学園を去っており、その空席を埋めるための勧誘が私とか、もう本当にやめてほしい。

 ゲームは終わって、やっと悪役令嬢ポストから解放されたとホッとした途端にこれである。

 今後も攻略キャラたちとは極力関わり合いたくないというのが本音だったりするのだ。


「力不足などと言われるほど大変な仕事ではありませんので……」


 少し困ったように眉尻を下げながら、尚も勧誘してくる生徒会長。

 大変な仕事じゃないなら、私でなくてもいいのでは? 喉まで出掛けた言葉を飲み込み、


「申し訳ございませんが、私、色々と環境も変わって時間も気持ちも余裕がございませんの」


 言外に『察しろよ!』と念を込めて、けれども周りにいるクラスメートたちには申し訳なさそうに見えるように伏し目がちにお断りの言葉を口にする。

 キッパリ面倒くさいから嫌だと言ってやりたいけれど、この生徒会長も攻略キャラだけあって学園内での人気は高いのだ。

 へたな断り方をすれば、とっても面倒くさいことになるのは目に見えている。

 婚約破棄騒動は皆が知っていることで、アビゲイルにアピールを続けていたノア殿下のことや、一時アビゲイルの後をピッタリと張り付くようについてまわっていたイザヤ先輩のことなど、色々聞きたそうな顔をしているクラスメートたちであるが、今のところアビゲイルを敵認定している者はいないようである。

 それに少しだけホッとしながらも、生徒会長がここで更に勧誘の言葉を口にするほど無神経ではないことを心の中で祈る。

 生徒会長はフゥと小さく息を吐いて、


「そうですね、私の配慮が足りなかったようだ。申し訳ない。もう少し時間を開けてからまた来るとしましょう」


 と、不吉な言葉を残して行ったのだ。

 直接的な勧誘の言葉ではないけれど、あれは勧誘予告の言葉だよね?

 どうやら心の中でのお祈りは天に通じなかったようだ。

 もう来なくていいんだけど? 寧ろ来ないで下さい。お願いします。

 脳内で二度と来ないでくれと土下座をしながら、呆然と彼の去って行った方向(ドアの方)を見つめていれば。


「アビゲイル様? また変な虫につかれましたね」


 残念そうな瞳を私に向けるマリー様。

 え? 私のせいなの?


「また来ますわね」

「ええ、きっと来ますわね」


 ミランダ様とミレーヌ様まで、残念そうにそう呟く。

 いやいやいや、私のせいじゃないよね?

 生徒会長とは関わらないようにしてきたので、直接顔を合わせるのは今日が初めてのはず。

 それに私、ちゃんとお断りしたよね?

 攻略キャラって、なんでこうもしつこいの?

 お願いだから、素直に引いて二度と来ないで下さい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ