表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第一章 乙女ゲーム『魅惑のシンデレラ~永遠の誓い~』
8/103

5

 私がどう対応したらいいか迷っていると、マリー様が意を決したように、


「アビゲイル様、失礼は承知でお伺いしますわね。ライアン殿下とはどうなっておりますの?」


 と直球で聞いてきた。

 彼女の顔には興味本位ではなく、私を心配して聞いていることが見て取れる。

 彼女達ならば信用出来ると私のカン(・・)が言っているので、ぶっちゃけることに。


「お恥ずかしい話ですが……。入学して直ぐにご挨拶に伺いましたけれど、お忙しいということでご挨拶だけして帰って参りましたの。ライアン殿下から私の元へは一度も……」


 そうなのだ。

 入学式の後に婚約者として挨拶に伺ったのだが、王族専用の応接室へと通され待っていると、彼は笑顔の一つも見せることなく入って来ると同時に、


「用事があるので、失礼する」


 と言って部屋を出て行かれたのだ。

 なので実際は、まともな挨拶すらさせてもらえていない。

 これだけ聞くと王子様サイテーとか思うけれど、記憶が戻る前のアビゲイルもちょっとヒドかったので、自業自得の部分もあるのかな、と。

 まあ、全てを話す必要はないけれど、それでも『私は相手にされてませんよ』と言っているようなものなので、つい恥ずかしくて俯きながら言えば、彼女達の目にはそれが悲しげに映ったようだ。


「入学して二ヶ月以上経っておりますのに、一度もお会いしに来て下さらないなんて、あんまりですわ」


 ミレーヌ様が泣きそうな顔で言うので、思わず(なぐさ)めようと、


「婚約は家同士の決めごとであり契約ですから、(わたくし)たち個人の気持ちはそこには一切関係ございませんもの……」


 だから気にしないでね、という意味で言ったつもりだったのだが、逆効果だったようだ。


「だからといって、アビゲイル様を(ないがし)ろにしていいわけではありませんでしょう?」


 目に涙をいっぱいためるその姿に、『やだ、何この可愛い生き物』と脳内で悶えたつもりが、思わずギュウゥゥッと抱きしめていた。

 嗚呼、このままお持ち帰りしても良いですか?



「そうやって心配して下さる皆さんがおりますから、私は大丈夫ですわ」


 ニッコリ笑顔で言うとミランダ様が一つ息を吐き出してから、


「アビゲイル様がそう仰るのでしたら、もう何も言いませんわ。そのかわり、何かあればいつでも私達を頼って下さいませね」


 と、多分言いたいことはたくさんあるだろうに、そう言って微笑んでくれる彼女に、いえ、彼女たちに出会えたことを、心から感謝した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ