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卒業パーティー当日。
本日の予定は午前中の卒業式が終わったら、午後からはパーティーが始まる。
夕方までは誰でも参加可能だけれど、以降は卒業生とその保護者しか参加出来ない。
そしてこのパーティー、在校生は制服で、卒業生は準礼装での参加が義務付けられているため、卒業生は朝から支度が大変なのである。
このパーティーには国王様も参加されるので、婚約破棄には丁度良い。
夕方の少し前にパーティーへ出て、婚約破棄を言い渡され、そのまま国王様に報告し、晴れて自由の身。
マリー様たちと何度も話し合いを重ね、このプランを採用した。
私が気を付けなければいけないことは、パーティー会場へ足を踏み入れるまでにライアン殿下と遭遇しないこと。
これで自由を勝ち取れるならば、逃げて逃げて、逃げ切ってみせましょう!
そのためにも、使えるものは何でも使います。
マリー様の入れ知恵……提案で、ノア様への仕込みも先ほど済んでおります。
「ライアン殿下が何やら怖い顔をされて、私を探しておられるらしく。私、ライアン殿下には厭われておりますから、何を言われるのか恐ろしくて……」
……嘘は言ってないわよ?
ただ、ノア様の前で少し零してしまっただけで。
「何かあれば私に言いなさい。悪いようにはしないから」
ノア様は頭をポンポンして下さいました。
……あと二十年もしたら完璧なのに、とっても残念。
ライアン殿下対策はこれで大丈夫なはず。
頭の中で、これから起こるであろう婚約破棄のパターンを複数想定し、脳内シミュレーションを行う。
そうこうしているうちに、無事卒業式が終わったようである。
さあ、これから寮まで、ライアン殿下に見つからないように帰らなければ。
卒業生以外の生徒は、そのままパーティー会場へと足を運ぶ者が殆ど。
卒業生たちはパーティー用の支度をするため、足早に寮へと向かっている。
私もその中へと紛れるようにして細心の注意を払いながら寮へと向かう。
その甲斐あって何とか無事寮へと戻ることが出来た。
寮の扉を潜るまでは気を張っていたために精神的な負担が大きく、部屋へ戻った途端にベッドへとダイブした。
ミアがまた私の奇行に残念な者を見る目を向けているようだけれど、今はそれどころではない。
失敗は許されないのだ。
この後のやり取り一つで、私の一生が決まってしまうのだもの。
その為にも力をつけなければ!!
「ミア、ランチはガッツリお肉でお願いっ!」




