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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第六章 攻略キャラその④イザヤ・ラミレス登場
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 今日の午後の授業は、教科の先生が学会で居られないため休みとなり、四阿でのランチもお休み。

 正直、ランチをしても良かったのだけれど、どうせ後で女子会をする予定だし、四阿でのランチにはノア様が来てしまうので、病み上がりの今、彼の相手は正直キツイと思っていたところ、マリー様からの鶴の一声で昼食は各自でとなりました。


◇◇◇


「失礼致しました」


 先生から資料を受け取り、職員室を後にした。

 資料は紙っぺら二枚。重いものでなくて良かった。

 寮へと戻る途中には広さの異なる訓練室が三つあり、一番小さなものは二十畳ほどの広さで、中くらいのものは体育館ステージなしほどである。

 一番大きなものは代々木国立競技場体育館のように客席もあり、広さもそれくらいありそう。

 いったい何に使うんだか。

 ……コレ、必要ですかね?

 いやはや、恐ろしくお金の掛かっている学園である。

 一番小さな訓練室の横を通り過ぎようとした時に、小さな風を切るような音が聞こえた気がした。

 そのまま通り過ぎてしまえばよかった。

 本当に、そのまま通り過ぎてしまえばよかったのだが、つい足がそちらに向いてしまったわけですよ。

 なんでそのまま通り過ぎなかったかと、この時の自分を殴ってやりたい。

 ええ、自分の好奇心の強さに呆れ返ってしまいますよ、本当に。

 開いていた窓から中を覗き込むと、ダークブラウンの短く刈り込んだ髪に薄いグレーの瞳を持つ、非常に整った顔立ちをした細マッチョな少年が、一心不乱に剣の稽古をしていた。

『学生』という枠組みの中では素晴らしい実力の持ち主なのだろう。

 この数ヶ月、近衛騎士団の稽古を見せて頂いたお陰で、素晴らしく目は肥えている私。

 違いの解るお嬢様とは私のことよ♪

 ……自分で言っておいて恥ずかしくなってきた。

 気が付けば稽古をしていたはずの少年が窓の前に立っていて、鋭い視線を向けて聞いてきた。


「俺に何か用か?」


 覗いていたことが知られるのって、物凄い悪いことをしていた気分になるものなのね。

 ちょっと挙動不審気味ながらも、謝罪した。


「い、いえ。音が聞こえてきたので、気になって覗いてしまいました。勝手に覗いてしまってごめんなさい」


 お詫びのつもりに一つだけ、彼の動きを見ていて思ったことを伝えてみる。

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