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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第五章 アビゲイル様の好きな人
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(マリー兄)ローガン目線です。

 この二人、何かと団長に突っかかるのだが、団長にしてみれば蝿が飛んでるくらいにしか思ってないようで、全く相手にもしていない。

 近衛騎士団の皆が団長を慕っていることも面白くないらしく。


「何かあれば隊長の私に聞くがいい」


 上から目線で言ってくるが、何か聞かれて答えられるのか?

 無理だろう?

 数ヶ月前から、マリーと一緒に宿舎(ここ)へ来るようになったアビゲイル嬢を可愛がる団長を見て、


「騎士団長は娘ほどの歳の子どもに手を出しているらしい」

「宿舎に女を連れ込んでいる」


 などなど、面白おかしくワザと色々な団員の前で話し出すのだ。

 まあ、誰も相手になどしていないのだが。

 ただ、この話を団長が耳にしてしまったのだ。

 自分が何かを言われるのは構わないが、このままでは彼女(アビゲイル嬢)に迷惑が掛かってしまう。

 噂が小さな内に彼女に宿舎(ここ)から遠のいてもらえば、そのうち噂も消えるだろうと考えたらしい。

 マリーじゃないけど、本当に「もっと他に言いようがあっただろう?」と言いたい。

 団長のことは憧れているし、尊敬もしている。

 けど、フォローする身にもなってくれ。

 マリー(あいつ)怒らせると怖いんだよ……。


 団長がアビゲイル嬢を傷つけてしまった翌日、早朝からマリーがやって来てどうしてそうなったのか、急いで詳細を調べるように言われたんだよな。

 で、結果を書いた手紙を送ったわけなんだが。

 その結果が、淀んだ空気の換気。

 淀んだ空気はもちろん『お荷物』と言われる隊長と副隊長のこと。

 換気は空気の入れ換えのことで、要は隊長と副隊長の首の挿げ替え……。

 この妹にはそれをやってのける力があるから恐ろしい。

 以前マリーが熱心に情報を集める姿を見て、他の商会の息子がそれをバカにしたことがあったのだ。

 マリーは悔しそうに顔を歪めながら、


「私自身はなんの力もない小娘ですけれども、情報の力を舐めてもらっては困ります。情報操作によっては、国一つ落とすことだって出来ますのよ? ましてや人ひとり貶めることなど簡単ですわ」


 と憎々しげに呟いていた。

 商会の息子は幸か不幸かソレを聞いていなかったが。

 ……後にその商会は不正が発覚して潰れたらしい。

 腰に手をあてて「情報を甘く見た結果ですわね」とドヤ顔で言ったマリーを、俺は一生忘れない。

 今回マリーの大切な友人を深く傷付け(直接傷付けたのは団長だが)、それによってマリーを激怒させてしまった隊長と副隊長。

 彼らの姿を見られるのはあとどれくらいか……。

 ま、どうでもいいや。

 所詮お荷物たちだしな。

 安らかに眠ってくれ!

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