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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第五章 アビゲイル様の好きな人
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マリー目線です。


 週が明けて。

 アビゲイル様は授業に参加しようとされて、余りの顔色の悪さに担任の先生から部屋へ戻って休むように言われ、侍女のミアさんの迎えを待って寮に帰って行く後ろ姿を切なく見送った。

 目の下に薄っすらとクマがあり、きっと眠れていないのだろう。

 クソ殿下のことは絶対に許さないけれど、私は近衛騎士団長にも怒っているのだ。

 お兄様曰く「団長は不器用な(ヒト)だから」だそうだけれど、だから何?

 不器用と言えば何でも許されると?

 相手を傷付けても良いと?

「そんなワケあるかぁっ!!」と声を大にして言いたい。

 婚約者のいるアビゲイル様との噂が出ることで、アビゲイル様の立場が悪くなると思われての行動。

 そこまでは良しとしよう。

 だったら「貴女の立場が悪くなってはいけないので、近衛騎士団宿舎(ここ)へ来るのは控えた方がいい」と一言言えば済むことでしょう?

 近衛騎士団は団長を筆頭にイケメン揃いと言われているけれど、どんなにイケメンであっても『脳筋』は御免だわ。

 アビゲイル様の想い人でなければ、社会的に抹殺して差し上げるのに。ふぅ。

 ……アビゲイル様には、いつも笑っていて欲しい。

 作り笑顔ではなく、心から。

 そのためにも。まずはアビゲイル様の希望でもあるあの婚約者(クソ殿下)との婚約を白紙にすること。

 アビゲイル様のお父様は彼女を溺愛されていて、政略結婚ではなく本当に彼女を大切にして下さる方との結婚を望んでいたことは、社交界に身を置く方なら誰でも知っている事実。

 クソ殿下との婚約は、王様からの打診であったため仕方がなかった(それでも大分抵抗されたらしい)と聞いている。

 そういったことから婚約破棄が出来れば、アビゲイル様は自由に恋することが出来るわけで。

 私もアビゲイル様の恋する可愛い姿を見ることが出来るわけで(←これ大事)。

若干お邪魔な虫がいるけれど、無理強いするような卑怯者ではないことは報告書と自分の目で見たことによって分かっている。

 それとトラヴィス国との結びつき強化を言い出しそうな重鎮たちの方は、きな臭い方が多いお陰で何とかなりそうだし。

 とりあえず全てが解決するということだ。

 団長に対して思うことは多々あるけれど。

 アビゲイル様とクソ殿下の婚約を、私がどんな手を使っても白紙に戻してみせましょう!


◇◇◇


 お昼休みの四阿(あずまや)にて。

 アビゲイル様とノア様を除くいつものメンバーが腰掛けている。

 因みにノア様はアビゲイル様がいないと分かると、ご学友のところへ向かいました。

 ここはいつも、木漏れ日がキラキラと輝き心地よい風が吹き抜ける、最高の癒し空間であったはずなのだけど。

 アビゲイル様がいないだけで、ただの静かな空間になっている。

 ノア様がいない今がチャンスとばかりに、周囲に人の気配はないけれど、声を潜めて話を切り出す。


「お二人にご協力をお願いしたいことがございますの。……アビゲイル様のことなのですが」


 二人は凄い勢いで体を前へと乗り出すようにして聞いてくる。


「「何でも仰って下さい」」


 私も含め、この二人もかなりの(・・・・)アビゲイル様信者よね。

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