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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第二章 白馬のオジサマ登場
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9

「むさ苦しいだなんて……。皆様(主にサミュエル様)の真剣な姿に魅入っておりましたが……、あの、頭を撫でて頂くのは嬉しい……じゃなくてですね、子供扱いは……」


 あわあわする私にサミュエル様は豪快に笑いながら、


「いやぁ、済まないね。つい可愛らしくてな」


 なんて。子供扱いなのは分かっているけれど、目の前の彼の口から「可愛らしい」等という言葉を聞き、顔に熱が集中する。

 思わず頬に手を当てた時、差し入れ用のバスケットを肘に掛けていたことを思い出した。


「あのっ、差し入れをお待ちしましたので、よろしければ皆様でお召し上がりください」


 バスケットごとサミュエル様に渡すと、少し驚いたような顔をされた。


「これはもしかして、君が作ってくれたのかな?」

「はいっ。味はミアの……私の侍女のお墨付きですわ!」


 サミュエル様はバスケットからクッキーを一つ取り出すと、パクッと口の中に入れてモグモグしている。


「うん、美味いな」


 笑顔でそんな風に言われたら……。

 思わず顔がにやけるのを必死で耐える私。


「ありがとう。後で皆で頂くとするよ」


 そう言ってまた頭を撫で撫でされる。

 前世の時、握手会に行った友達が「このまま手を洗いたくない」と言っているのを聞いて、「いや、洗えよ」とツッコんだものだけど。

 ごめん、今ならその気持ちが分かる。

 このまま頭を洗いたくない。

 ……洗うけどね?

 サミュエル様から「またいつでもおいで」と言ってもらえて、帰りの馬車の中でも笑みが止まらない私。

 その私の前に座っているマリー様は、そんな私の様子に苦笑している模様。

 最初は頑張って顔を戻そうとしてはいたのよ?

 でもすぐに無理だと分かって、早々に諦めたのだ。

 だって、あのサミュエル様に会えただけじゃなくて、言葉を交わして頭まで撫で撫でされたのよ?

 馬車の中を転げ回らないだけでも褒めてもらいたいくらいなのに!

 いつでもおいでなんて、許されるなら毎日でも通いたいわ!!

 ……て、そうだ。『いつでも』とは言われたけれど、どれくらいの頻度ならば邪魔にならないかな?


「マリー様、次はいつ差入れに伺う予定ですの?」


 とりあえず、目の前の彼女と同じくらいの頻度であれば、大丈夫よね。

 もし嫌でなければ、次も一緒に行ってもらえると心強いし。


「そうですね、月に一~二回程度訪問しておりますので、次は来月の頭頃になると思います」

「あの、またご一緒してもよろしいかしら?」


 マリー様はとても可愛らしい笑顔を浮かべられ「もちろんですわ」と。

 次回の差し入れは、何を作ろうかな?

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