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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第二章 白馬のオジサマ登場
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8

「仲が良くて、羨ましいですわ」

「ええ、まあ、仲は確かに良いのですけど……」

「?」


 言い淀むマリー様に首を傾げて見ていると、小さく息を吐いてマリー様が話し始めた。


「お兄様は女性に対して少し軽いと言いますか、何て言うか……」


 ああ、チャラ男なのね。

 言い難いことを言わせてしまってごめんなさい、心の中で謝罪する。

 でも私のカンだと、彼はクズではないと思うのよね。


「本気で想う方がまだ居られないだけで、見つけられたらきっと一途になられるのでは?」

「……そうでしょうか?」

「もし治らないようであれば、その時はお相手の方に(しっか)りと躾けて頂けばよろしいかと」


 ……どのような躾け方かは知りませんがね?

 何となく私の言いたいことが分かったようで、マリー様が楽しそうに笑う。


「そうですね。躾けの方法については、ぜひお相手の方と一緒に考えたいと思いますわ」


 そうこうしている内に、サミュエル様が休憩に入られるようだ。


「あまり長居するのも良くありませんので、団長(サミュエル)様にご挨拶してお(いとま)しましょう」


 マリー様に言われ、本心はもう少しサミュエル様の姿を見ていたかったけれど、同意の意味を込めて頷いた。

 ……ついにサミュエル様とご対面の時が来たぁぁぁああ!!

 先程まで落ち着いていたはずの心臓が、再度早鐘を打ち始める。

 大きく深呼吸して、マリー様の後に続く。

 タオルで汗を拭いながら、騎士に手渡された水を勢いよく飲み干したサミュエル様がマリー様に気付いた。


「君は確か、ローガンの妹の……」

「マリーでございます。見学させて頂いておりました」

「そうか。いつも差し入れをありがとう」


 そしてマリー様の斜め後ろにいた私に目線を移す。


「君は……」


 私が誰であるか、思い出そうとしているようだ。

 初めましてですけどね?

 ……ああ、本物のサミュエル様だぁ。こんっなに間近でお会い出来るなんて。

 しっかりと挨拶をして、名前を覚えて頂かなくては!

 落ち着いて、落ち着いて。

 胸に手を当てて、一つ深呼吸して。


「お初にお目に掛かります。アビゲイル・クラークと申しましゅっ」


 噛んだっ! それも盛大に!!

 ああ、もう。どうして? こんな大事な時に……。

 あまりの不甲斐なさに涙が込み上げてくる。

 恥ずかしさとこんな情けない顔をした自分を見られたくなくて、真っ赤になって俯く私。

 不意に頭の上に大きなゴツゴツとした手が置かれ、優しく撫でられた。


「初めまして、お嬢さん。近衛騎士団長のサミュエル・トレスです。むさ苦しい所だが、楽しんで頂けただろうか?」


 嗚呼、やはりサミュエル様は素敵な白馬のオジサマ(・・・・・・・)だわ!

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