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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第二章 白馬のオジサマ登場
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4

 現在、学園寮のロビーにてマリー様と待ち合わせ中である。

 いよいよ今日、近衛騎士団の宿舎へ向かうマリー様に同行させて頂くのだ。


 あの後、マリー様から快く了承の返事を頂いた。

 それから今日まで、私の浮かれまくって突然鼻歌を歌って踊り出したりする姿(奇行)に、無表情のミアの視線が痛かったりしたけれど。

(もちろん寮内の部屋の中だけである)

 服装はなるべく動き易く、尚且つスタイルが良く見えてお上品なものをミアに選んでもらい(こっちの世界のお洒落なんてものは、私にはよく分からない)、髪もスッキリと見えるようにアップにしてもらった。

 ……きっと今頃ミアは部屋で力尽きていることだろう。

 一応私が戻るまで、ゆっくり休んでおくように声掛けはしてある。

 ミアには本当に感謝しているので、今度お父様に会った時にお給料アップのお願いをしておこう。

 待ちきれなくて、約束の時間の一時間前からロビー(ここ)で待機中だ。

 ロビーのソファーは部屋のソファーよりかなり劣る素材のようで、若干座り心地が悪いように感じる。

 画面の中でなくリアルに生きて、動いて、色々な表情をされる生サミュエル様を目にする(かもしれない)日が来るなど、正直思ってもみなかった。

 もう心臓が、口から鼻から耳から、ありとあらゆる穴から出て来そうな勢いで早鐘を打っている。


「今からこんなで、生サミュエル様を前にしたら、私はどうなってしまうのかしら……」


 失神とかして半目の醜い顔を見られたりとかしたら、恥ずかし過ぎて死んでしまう。

 とにかく、サミュエル様の前で情けない自分を見せることだけはないよう、気を付けなければ。

 ……食べて頂けるかは分からないが、差入れのクッキーを焼いてきた。

 ちゃんと渡せるだろうか?


「アビゲイル様、お待たせして申し訳ありません」


 慌てるようにして、でも優雅にマリー様が現れた。

 約束の時間の十分前であり、謝る必要など全くないのだが。


「いいえ、私が早く着き過ぎてしまっただけですので、お気になさらないでくださいませね」


 マリー様は私が抱えているクッキーの入った籠を見て、


「アビゲイル様、その籠はもしかして差入れのお品ですか?」

「ええ。クッキーを焼いてみましたの」

「アビゲイル様が自ら、ですか?」

「はい。お口に合えばよろしいのですが」

「何て勿体ない。私が頂きたいくらいですわ」


 社交辞令とは分かっていても、そう言って頂けるのは嬉しい。


 「マリー様の分もありますので、よろしかったら後で召し上がってくださいね」

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