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準備を整えて -1




「さて、まず出発の準備をするにあたってやっておかなきゃならん事がある」

「ムシャムシャ…何でしょうか?」

「それぞれの実力把握だ。それが分からないと陣形も組みにくいからな」

「ムシャムシャ…なるほど、それは確かにやっておくべきだね。いくら個々が強くても、あてずっぽうに乗り込んでは敗因となってしまうかもしれない」

「ムシャムシャ…でも私、皆さんみたいに強くないですよ?」

「大丈夫だ、リンには回復魔法がある。リンがいれば俺達も思い切って行動に移せるからな」

「ムシャム…ブフッ!な、なんだと!?リンは回復魔法が使え

「いいからお前ら早く飯くえよ!!!」



現在4人は朝食中である。

準備を早く済ませたかったルイはあっという間に食事を終わらせたのだが、残りの3人は特に緊張感がなくゆっくりと食事を楽しんでいた。

それに煮えを切ったルイは思わず叫んだのだった。



「女性は良いにしてもジーク、お前は男なんだから早く食えよ!」

「分かった分かった!早く食べるよ」

「じょ、女性…か…、ルイは私の事を女性として見てくれるんだな」


サクラの顔がほんのり赤くなった。


「何言ってんだお前は。どう見たってお前女だろ」

「里ではあまり女性として見られた事はなかったのだ。修行中周りは男だらけだったから性格や口調まで男に似てしまって…」

「そうか?お前が気付いてなかっただけ結構女として見られてたんじゃないか?普通に顔整ってると思うし」

「そ、そうか……ありがとう」


サクラは朝食を終えるまで一人でモジモジしていたのだった。




------------------------------------------------------------




朝食を終えた4人は身だしなみを整えて町の外に来ていた。

昨日、ルイとジークとサクラが一戦交えた大きな木の近くだ。


「ってな訳で、まず実力調査だ」

「実力調査って言っても何をするんだい?」

「模擬戦」

「も、模擬戦ですか!?こ、怖いです…」


リンがいつも持ち歩いている本を抱きながら怯えていた。


「まぁまぁ、考えがあるから。リンは俺と模擬戦だ。で、その次にジークとサクラのペアでやってくれ」


ルイが考えた案は、まずリンが一方的にルイに攻撃を仕掛ける。その間ルイは何もしない。ただリンがどんな事ができるのかを見たいだけだからとの事だ。

そしてその次にジークとサクラが戦う。この二人が元々強い事は知っている為、なるべくユニークな技、つまり強さを示す戦いではなく技を見せて欲しいとの事だ。

当然どちらも負傷するので、それをリンに回復して貰いリンの持っている治癒力も同時に見極めるらしい。


「ふむ、分かったのだ。しかし一つ疑問が浮かぶ」

「何だ?」

「ルイの実力が分からないではないか」

「ああ、それなら大丈夫だ。俺はこの中で間違いなく一番強い」

「ほお、自信家なのだな。昨日私と競っていた癖に」

「本気じゃねぇわ」

「ホントか~?」


サクラはこの3人と打ち解ける事ができたのか少しからかい気味にルイに問いかける。


「言っとけ言っとけ。俺が本気だすのなんて滅多にないぞ。最近だと…あの時ぐらいかな~」


ルイはファイトネスで戦ったティナの事を思い出していた。


(あいつ前急に消えていったけど今頃何してるんだろうな~?)


「あの時とは何なのだ?」

「…まあとにかく!俺の事は良いから、さっきの流れで早速やっていこうぜ。リン、準備は良いか?」

「ちょ、ちょっと待ってくださいね」


リンはいつも持ち歩いている青色の本をローブの下から取り出し、一生懸命読み始めた。

一通りサラッと読み終えるとリンは本を閉じた。


「うん、大丈夫です!」

「じゃあ始めるぞ。どっからでもかかってこい!」


ルイは背中から青色の剣、ブルースフィアを手に取り構えた。


「では行きます!」


リンはそう言うとさっき読み終えた本をまた開き始めた。


(近接戦闘で私に勝ち目はない。だから……ダメもとだけど!)






「……天翔ける稲妻よ。汝の戯言を我たちは好かん」



(ん?詠唱か?リンは攻撃魔法も使えるのか?)


ルイはリンの事をてっきり回復魔法しか使えない少女だと思っていた為、少し警戒態勢になる。



「---災厄の元に迸る一寸の光が一生の栄光ともならん輝きとなる」



(…攻撃魔法にしては長すぎるな。てかこんな詠唱聞いた事ないぞ。まさかとは思うけど…)


ルイはより一層警戒する。

ジークとサクラも二人並んでジッとその光景を見つめている。

そして4人の周りだけ、空が曇り模様になる。




「-------我、リン・キュアポイントがその命を導こう。いでよ!」


リンが本を持っていない方の手を掲げた。




「雷神!インドラ!!!」




リンの掛け声と共に何もない空中から突如大きな角の生えた白い体毛の幻獣が現れた。

全長4mはあるだろうか。馬の様なその幻獣の体毛からは青い電気がバチバチと迸っている。



「マジかよ…聞いてないって」


幻獣はリンの近くに寄ると、リンの頬にスリスリと自分の顔を擦り付ける。


「よしよし、良い子だね」


「リン、それ…召喚魔法だろ。どこでそんなの覚えたんだ?」


「覚えたというか…母から貰ったこの本に詠唱の説がのっていたんです。閉じ込められていた時に試しに詠唱してみたら、この子が出てきまして…その時はなんか怖くなってすぐに戻してあげたんですけど、ルイさんみたいに強い人にはもうこの子に頼るしかないと思って……人生で二度目の召喚です!」


「試しに読んでできる芸当じゃないぞそれ。今聞いた話だと契約もしてなさそうだし、第一魔力量とかどうなってんだよ…。って、それより俺はそんな奴相手にしないといけないのかよ」


ルイは苦笑いしていた。

その遠くで、


リン、凄いじゃないかーっ!

ルイなどコテンパンにしてしまうのだーっ!


とジークとサクラからのガヤが聞こえる。

ルイはブルースフィアを今一度強く握りしめ、ニヤリと笑った。



「召喚魔法相手か…ちょっと面白そうじゃん」



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