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少し賑やかな夜



ルイ達はまず最初に、サクラの持っている情報を聞き出す事にした。

闇ギルドは今いる町から2日程歩いた先にあるらしい。

一般的なギルドの様に町などには設立されておらず、町からはずれた草地に屋敷の様な風貌で建っているとの事だ。

サクラの予想では現在、総勢約50名程の人が在籍している様である。




「50か…、全員ザコ相手なら大丈夫だけどギルド員相手だと結構面倒な数になってくるな。正面突破でもいけない事はないだろうけど…無難に潜入するか?」

「正面突破!?無理に決まっている!ルイは少々あのギルドを舐めすぎているのではないか?私の故郷を無き物にした奴らだぞ!朧の里の民はみんな強かった。それがたった一晩で…。もう少し警戒して臨んだ方が賢明だと私は考える」

「だ・か・ら!潜入するって言ってるよ俺!人の話を聞けって」

「そ、そうか!すまない…」


サクラはシュンとなってしまう。


「どうしてそんな興奮してるんだ?一回落ち着けって」

「え~と、そうだ!私、コーヒー貰ってきますね!」


リンはスタタタッと部屋の外の階段を降りていった。


「すまない…。その……正直な所…」

「正直な所?」

「う、嬉しいのだ。興奮が治おさまらないぐらい凄く嬉しいのだ。やっと地獄の様な日々が終わるかもしれない、やっとトモエと母さんに会う事ができるかもしれない!そう思ったら、どうしてもワクワクしてしまって…」

「意外と感情に素直なんだな」

「よ、良いではないか別にっ!」

「いやいや、仮面を被っていた時とは大違いだなって」

「フ、フンッ!」


ルイはニヤッと笑ってサクラの方を見る。サクラは顔を少し赤くしながらプンスカしている。


「ルイ、そんなにサクラを苛めてはダメだよ?サクラは真剣だ」

「そ、そうだ!ルイは意地悪だ!ジークみたいに優しくなって欲しいのだ!」

「でもこいつゲイだぞ?」

「ゲイはゲイでも僕は優しいゲイだ」

「そ、そうっすか…」


サクラはジークという男の素性をしっかり知らない。

今分かっている情報は訓練基地の元総責任者というのと、ゲイであるという事だけだ。

それを思いだしたサクラは目の前にいる二人の男が全く訳の分からない二人だと改めて思い、また少し不安になった。


「コーヒー持ってきましたよ」

「ありがとうリンちゃん」

「サクラさん。もう知っていると思いますけど、この二人すっごく強いんですよ!前、訓練基地から脱出する時も二人すっごく強くって驚いちゃいました。この二人なら妹さん達もきっと助けてくれますよ!」

「あー、その事だけど」


ルイが喋り出す。


「サクラさっきやっと二人と会えるって言ったか?」

「ん?ああ、言ったが?」

「3年間二人の姿を見てないって事だな?」

「まぁ、そうなる」

「…最悪の事も考えとけよ」

「最悪とは?」

「もうこの世にはいないかも知れない」

「え?」

「ル、ルイさん!」

「俺だってこんな事は言いたくないさ。でも、もうこの時点で覚悟を決めとかないといけない。希望を持ちすぎてからどん底に落とされた時の人の心の傷は……傷じゃ収まらなくなる」


ルイの言葉に一同は下を向いてしまった。

だがサクラはすぐに返答した。


「…大丈夫だ。そんなのは闇ギルドに拘束された時から可能性のあった事。…でも、このままじゃいけないのだ。答えを出さないとダメなのだ。ようやく、今その現実に私は立ち向かう事ができると思う」


それを言い切った後のサクラの顔は晴れていた。

それを見て安心したルイはそうか、と頷いてコーヒーを啜った。


「苦っ!!」

「え?ルイさんのだけ砂糖多めに入れてきましたよ!」

「リン、まだまだだな。俺の甘党力を分かっていないようだ」

「甘党力って何だい?」

「黙れゲイ」

「何かさっきから扱い酷くないか!?」


ジークがルイの肩をピシッと叩く。


「…フフッ」

「あ、サクラが笑った」

「わ、私だって人間だ!普通に笑うぞ!」

「お前怒っている顔より笑ってる顔の方が可愛いぞ?」

「なっ……何を言うのだ!!!」

「いや、事実を言っただけだけど」

「フ、フンッ!私は里の人間であり未だ修行の身だ!女の見てくれなどどうでも良いのだ!」


サクラはそっぽを向いてしまった。


「あ~あ、また怒っちゃった」

「怒ってなどない!」

「分かった分かった。それより本題にそろそろ入ろうと思うけど」

「そうだね。だけどもう夜遅いし、今日はとりあえず寝て、明日準備をして明後日出発にしてはどうかな?それだけ時間があれば作戦も考えられそうだし」

「ま、そうだな。明日は旅の準備の日にでもするか」

「そういえばサクラさん寝床ってあるんですか?」

「当てはないな。まぁ外で寝るのには修行で慣れているからそれで構わない」

「ダメですよ!風邪ひいちゃいます!私のベッドで一緒に寝ませんか?」

「良いのか?」

「もちろんです!あ、先にお風呂入っちゃいましょう!」


そう言うとリンは両手でサクラを部屋の外へと引っ張り出す。


「ふ、風呂は別で良くないか!?というか普段からあまり風呂には入らないのだが」

「ダメです!せっかくお風呂があるんですから入りましょう!女の子なんですから!」


リンとサクラはルイとジークを残して行ってしまった。


「なんか、あっという間に消えていったな」

「そうだね」

「でもなんか…」

「ん?何だい?」

「女の子通しって…キャッキャウフフ!って、なんか良いな」

「僕達も一緒に入るかい?」

「おお、そうだな。後で行くから先入っててくれ」




ルイにそう言われジークは風呂に入り、ルイが来るのを待った。

が、そこにルイが訪れる事は無かった。








「サ、サクラさん…!お、おっきい……」

「恥ずかしいからあまり見ないで欲しい…」

「お腹周りも細いし、どういう事ですか!!どういう事何ですか!!!」

「そ、そんな事言われても…」







賑やかな夜が終わる。





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