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依頼

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「それは…大変だったな。敵ながら同情しちまうぐらいだ」

「…その後は、どうなったんだい?」


「目覚めた時には、全身を拘束された状態で里を襲った連中と同じ格好の奴らに囲まれていた。自分が何故生かされているのかが不思議だったがすぐに理由は分かった。母と妹はあの後、逃げ切れずに敵に捕まってしまったらしい。妹のトモエは強い。普通だったら並みの者には絶対に負けないのだが、やはり母を守りながら戦うのは難しかったのだと思う。結果

「母ちゃんと妹ちゃんを人質に、お前は利用されてる訳だな」

「…そういう事だ。里を襲った連中はハピネスという闇ギルドだ」

「ハピネス?聞いた事ないね」

「闇ギルドの癖にふざけた名前だな。それで?何か条件でも出されたんだろ?」

「…1億ギル。その闇ギルドで1億ギル稼いだら二人の命と引き換えにしてやると言われたのだ」

「1億ギル!?そんなのいつになるか分からないじゃないか!」

「そんな事は私も分かっている!!でも…それをするしかないのだ。流石に私一人でギルドを相手に戦うのは無謀すぎる」

「今どれだけ溜まったんだ?」

「…200万ギル」

「3年で200万ギルか…単純計算で150年だな。お前は150年間もの間、こうやって人殺しをしていくのか?」

「仕方……ないではないか。だからもう疲れたと私は言っているのだ。もう良いのだ!!闇ギルドの手伝いなんてしたくない!!人殺しなんてしたくない!!!だから………早く楽になりたいのだ……もう………殺してくれ」



サクラは目に浮かんだ涙を隠す様に下を向いた。

ジークはそんなサクラの姿を見ていられないのか、部屋の窓の外の方へと目をやる。

シーンと部屋は静まっている。さっきまでのサクラの裸騒動が嘘の様である。

そんな中、サクラの長い話に座り込んでいたルイがまた立ち上がり、サクラの方へと歩み寄る。



「お前さ

「同情の言葉などいらないのだ!!!」













「ふざけてんのか?」

「…え?」


ルイは一度は背中に収めた剣をまたサクラの首元に突き付ける。


「いいよ。そんなに死にたいなら殺してやるよ」

「ルイ!ダメだ!!」

「ジーク、黙ってろ」


ルイはジークの方に顔だけ向け睨みつける。


「どう死ぬのがお望みだ?心臓を串刺しか?それとも頭から真っ二つか?」

「………何でも良い」

「そうか。じゃあ、お望み通り今からお前を殺す」


そう言うとルイは剣を振り上げた。

サクラはギュッと目をつむる。


「ルイ!やめるんだ!殺したら僕が君を許さない!!」


ジークはいつでも踏み込める様に三節混を構えた。


「…サクラ。お前を殺したらその後母親と妹はどう始末しても構わないんだよな?」

「なっ!?母さんとトモエは関係ない!二人には手を出すな!」

「お前、何言ってんだ?今から死ぬ奴にそんなの関係ないだろ」

「そ、それは………」


サクラは黙ってしまう。


「お前さ…二人を救いたいのか救いたくないのかどっちなんだよ」


「………」


「お前の殺してくれって発言は二人を見捨てるって事なんだよ。もう二人を助けるつもりは無いって言ってんのと一緒なんだよ。分かってんのか?」


「……」


「お前200万ギル貯める為にやりたくもない人殺しを重ねてきたんだろ?何でだよ、二人を救いたかったんじゃないのか?」


「……」


「何とか言えよ!!!」


「………救いたい」


「何だって?聞こえないな」


「………救いたい!!!私は二人を救いたい!!!」


「だったらさ」


ルイは剣をまた背中に戻した。ジークも悟ったかの様に三節混を元に戻す。


「俺達に言う言葉……違うんじゃねえの?」


「そうだね。殺してくださいではないね」


「…」


「ほら、言ってみ?」


「助けて……欲しい」


「何だ何だ~?さっきから声が小さくて全然聞こえないんだわ」


「一緒に助けて欲しい!!!一人ではどうにもならないのだ!人手が欲しい!!頼む!!!」


「最初からそう言えば良いんだよ」


ルイは満足したかの様に微笑んだ。


「分かったよ、手伝ってやる。但し」

「但し?」

「俺たちはな、こう見えてギルドなんだ。まだ名前は決まってないけどな。で、だ。ギルドに依頼を頼むには何がいる?」

「…金か?金ならいくらでも出す!」

「じゃあその三年間で稼いだ200万ギルってので手を打とう。どうだ?」

「構わない!!!それで母さんとトモエが救えるのなら!!!」

「よし、契約成立だ」

「ルイ…まさかお金をふんだくるなんて…」

「変な言い方すんなよジーク!俺達はギルドだぞ?こうゆう風に商売をやっていかないと後にだな…

「私も混ぜてください!!!」



ドアの向こうから来訪者の声が聞こえた。

そしてドアがゆっくりと開かれる。

そこには…


「「リン!!」」


「只今戻りました!」


リンが立っていた。


「元気になったんだね!」

「二人してどこに行かれていたんですか!?探したんですよ!」

「そりゃあまぁ色々と…」

「ドア越しから聞こえた内容でおおよそ予測はつきますけどね。それでこちらがサクラさん…ですね?」

サクラ天野川アマノガワだ。その…先日は……申し訳ない事を…した。詫びさせてほしい」


サクラは深く頭を下げた。


「リン・キュアポイントです。良いんですよ。だって、サクラさんは最初から、殺す気なんかなかったんですよね?それに多分…人を殺した経験もないんじゃないんですか?」

「ホントかい?どこからそんな情報を手に入れたんだい?」

「私があの爆発に巻き込まれて倒れた時、サクラさんが近くに来て小声で


すまない、薬を置いておく。きっとすぐに治るから。


って言ってくれたんです。殺す相手に対して、その傷専用の薬を常備してるなんておかしいですよね。私はこの事を早く二人に伝えなきゃって一生懸命探してたんです」

「そうだったんだね」

「ま、俺は気付いてたけどな」

「嘘は良くないよルイ」

「いやホントだって。サクラと戦ってる時に気付いたよ。動きの俊敏さに対して攻撃の威力が全然なかった。こいつ…本気で殺しに来てないなってな」

「ぼ、僕だけ気付いてなかったのか…」


ジークがガクッと肩を落とす。

訓練基地グラードからこの宿屋まで走り込んだ時といい、これから先ジークのこの姿は何度も見る事になりそうだ。


「それでも傷を負わせてしまった…。すまなかった!」

「良いですから頭を上げて下さい!しばらくの間、仲間関係になるんですよね?だから仲良くしたいんです!少しの間、宜しくお願いしますね!」

「こちらこそ宜しく頼むのだ!」


リンとサクラは握手をした。


「そういえばさっきルイはギルド…と言ったな?…という事は他にも仲間がいっぱいいるのか!それならきっとあの闇ギルドにも対抗できそうだ!」

「急に名前で呼ぶんだな…。それと申し上げにくいのですが……」


ルイは右手で三本、指をたてた。


「三十人か!?」

「いや………あの…三人です」

「さ、三人!?ここにいる三人か!?」

「…はい」

「それは…ギルドと呼んで良いのか?」

「勝手に名乗っているだけです」

「貴様-ッ!騙したのだな!?」

「まあまあサクラさん。これからそうなっていくって話ですから」

「クッ…。リンに言われては頭が上がらないな…」

「ってな訳でそろそろ段取り決めていくぞ!!」

「何かこのタイミングでルイが仕切り始めるのは気に食わないのだがまぁ良いだろう」




闇ギルド ハピネス

からサクラの母と妹を救出する事になったルイ達。

強敵を相手にどう立ち向かうのか。

四人は今ある情報を元に作戦を練り出すのだった




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