死の覚悟
「ルイは気付いていたのか!?」
「まあな」
「どうして教えてくれなかったんだい!?」
「確信が無かったからな・・・。こんなおっかない奴が女だとはあんまり思いたくなかったんだよ」
「た、確かに・・・」
「じゃ、頼むぞ」
「え?」
「人工呼吸だよ。するんだろ?」
「ルイ、僕は・・・」
「約束だろ?」
「僕は・・・」
「や・く・そ・く・だろ?」
「僕は、男じゃないと嫌だあああああああああああああああああああああ!!!」
「気持ち悪いなお前!!正気か!?女の子と接吻ができるんだぞ?」
「そんなのいらない。僕は男性としか接吻しない」
「はやくしないと、ホラ!そろそろやばいぞ」
猫仮面の身体がぶるぶるし始めた。
はやく応急処置をしないと命に関わるだろう。
「何を言われようと僕はしない!」
「だーーーッ!もういい!お前は仮面をはずせ!」
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「うっ・・・・」
猫仮面が目を覚ます。
「大丈夫かあ?」
ルイが顔を覗き込む。
「こ、ここは?」
ルイとジークは猫仮面を背負って宿屋へと戻っていた。
元々リンが寝ていたベッドだが当の本人はまだ病院から戻っていなかった為、とりあえず猫仮面を寝かせていた。
「な、何が起きて・・・。き、貴様は!?」
猫仮面はルイを手で跳ね除け、距離をおいた。
「貴様、私に何をした?」
「何をって・・・。溺れてるお前を助けてやったんだよ」
「貴様に助けられる覚えはない」
「俺は貴様じゃない。ルイって名前がある」
「貴様は貴様だ。恩を売れば逃げられるとでも思ったのか?」
「いやいや思ってないから。因みに助けようと言い出したのはこっちだからな」
ルイはジークの方を指差す。
「フン・・・。犯罪者がそんな事を考える訳がなかろう」
「犯罪者って・・・大袈裟な」
「グラードからの脱走者だと私は聞いている。国を守りし騎士が国を捨てたのだろう?犯罪者と一緒だ。犯罪者たちとは交わす会話もない、助けて損したな。今からお前たちを
「ちょっと待ってくれ!」
黙っていたジークが片手で両目を伏せながら猫仮面の言葉を遮る。
「・・・何だ?」
「あ、あの・・・。とりあえず服を・・・」
「は?」
猫仮面はゆっくりと目線を下に向ける。
「・・・・・・・・・・・ッ!!!////////////」
ルイは猫仮面が着ていた物を一式放り投げ、同時に両耳を手で塞ぐ。
「貴様ら私に何をしたーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
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「もう・・・お嫁に行けない・・・」
高速で服を着た猫仮面がベッドの上で体育座りをして膝の間に顔をうずめている。
「助けてやったんだから文句言うなよ」
「・・・」
「大丈夫。僕は女性に興味はない!」
「そういう問題じゃないだろ」
「そ、そうかな?」
「・・・はあ」
猫仮面はゆっくりと顔をあげた。
「・・・もうどうでも良い」
「落ち着いたか?」
「・・・」
「落ち着いたみたいだな。なら・・・」
ルイは背中の剣を手に取り、猫仮面の首筋に突き付けた。
「ルイ!起きたばっかの子に対してそれは「関係ないね、元々仕掛けてきたのはこいつだ。リンがあんな目に遭ってんだ。仮面の中が女の子だった、じゃあ許そうって思える程俺は紳士な男じゃない」
ルイはそう言うとキッと猫仮面の方を睨みつける。
ジークはルイを止めようとはしたがルイの感情にも納得できた為、ルイと同様醒めた表情で猫仮面の方を見る。
「殺せばいい」
「は?」
「・・・私を殺してくれ」
「何でそうなる?」
「もう・・・生きていたくないのだ。生きていてもつらい事しかない・・・」
「・・・ふ~ん・・・。」
猫仮面は死を望むかの様に目を閉じ首を長くした。
が、ルイはそれを見ると静かに剣を背中に収めた。
「ルイ・・・」
「自ら首を差し出す奴を斬りたくなんかねえよ。何か俺悪い奴みたいじゃん」
「・・・」
「お前、何者なんだ」
「・・・・・サクラ」
「サクラ?」
「私の名前だ。桜・天野川」
「俺はルイ・クローバーだ」
「僕はジーク・バースデイイブ」
「で、サクラは何故ジークを狙っていたんだ?ただの雇われ者の暗殺者か?・・・にしては実力ありすぎな気がするんだけど」
「暗殺者・・・そうか、そうだな。そう思われてもおかしくはない。だがこんな事やりたくてやっている訳じゃない」
「・・・と言うと?」
「私は・・・・・脅されているのだ」
サクラは自分の置かれている状況を事細かく語り出した。




