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気持ちのすれ違い





「・・・こ、ここは?」


気絶していたルイの目が覚めた。見覚えのない場所にいつの間にかいる事、そして自分の武器や持ち物がごっそり無くなっている事に戸惑っている。


(・・・そうか・・・俺はあの時・・・)


ルイは自分のやった事を徐々に思い出しつつあった。


「ここは、牢屋か?」


ルイは自分が檻付きの部屋に閉じ込められている事に気が付いた。


(まるでちょっと前のリンみたいだな。うっ・・・腹が痛む・・・)


ルイは自分の腹をさすっていた。まだほんのりとしか思い出せないあの時の出来事を思い出す。


(リンを突き飛ばして・・・俺は試験管の腕をへし折ったんだ。そして青い鎧の男に腹を殴られた。で、気絶させられてここまで連れてこられた・・・って流れか。さてどうしたものかな。魔法でここを無理矢理脱出する事は可能だけど荷物の場所が分からないし、第一にリンがこの場にいない。・・・まず会えた所でそう簡単に俺を許さないだろうけどな・・・。ひとまず誰か来るまで待機してるか)





ルイは無理矢理出る考えは捨て、誰かがここに来る時を待った。

2時間程待つとその時は訪れた。







コツ、コツ、コツ





足音が近付いてくる。音から推測すると足音は二人のようだ。

そしてルイの前に二人は姿を現した。

リンと青い鎧の男だ。

少しの沈黙の後、ルイから話しかける。




「リン・・・俺「私、怖かったです」


ルイが喋るのを遮るようにリンが声を発した。


「ルイさんはとても優しい人です。私をあの銅像しかない狭い世界から救い出してくれました。それにここにくるまでの間もおいしい料理を振舞ってくれたり、馬に乗りながらたまに後ろを見ては大丈夫か?と声をかけてくれたり・・・。そんな優しいルイさんが私の知ってるルイさんです」


「・・・」


ルイはリンの言う事を黙って聞いている。

青い鎧の男も後ろで腕を組みながらジッと話を聞いている。








「でもさっきのルイさんは・・・別人でした。私の知っているルイさんはそこに居ませんでした。まるで鬼に・・・いや、悪魔と言った方が合ってるのかもしれません。悪魔に憑りつかれてしまったルイさんがそこにはいました」


「・・・」


「ルイさん、私はルイさ「もういいよ」


「・・・え?」


「もういいんだリン。怖かっただろ?俺の事嫌いになっただろ?」


「そんな事「俺があんな事をする奴だとは思わなかったよな。失望したろ?」


「ちが「もういいんだ。俺はそういう男なんだよ。自分が情けない。まさか自分がリンを突き飛ばしてしまう様な事をするとは思わなかった。今俺は自分の事が凄く嫌いだ」


「だから「リン、お前に合わせる顔が今の俺にはない・・・。俺を置いて一人で世界を旅するんだ。多分その方がお前の為にも


「人の話を聞いて下さいっ!!!!!!!!!!!!!」





リンが今までにない大きな声でルイを怒鳴った。

はじめて見るリンの怒った顔、そしてポロッと落ちる涙にルイは驚いていた。

そしてその涙は徐々に量を増していき、リンは両手の袖で涙を拭き始めた。

その様子にルイは慌て始めた。



「ご、ごめんリン!泣かないでくれ!俺が悪かった!話を聞くから泣かないでくれ・・・!」


「・・・ぐすっ・・・・・・ルイさん、私は・・・」


「うん」


「・・・私はあの時の様なルイさんはもう見たくありません。だから・・・ルイさんに宿る悪魔を取り除くにはどうしたらいいか二人で一緒に考えませんか?って伝えに来たんです」


「・・・俺の事怖くないのか?」


「あの時のルイさんは私を守る為に怒ってくれたって信じてます。そう思えばもう今は何も怖くありません。だから・・・」


「・・・」


「だから私を捨てるような事もう言わないで下さい!ルイさんがどう思っているか知りませんが私はルイさんから離れるつもりなんて一切ありません!どこまでも付いていきますから!例えルイさんが私を突き放そうと、強引にでもしがみついていきます!」


「・・・リン」


「はい」


「ありがとな」


「はい!」


リンの顔に笑顔が戻った。





「それに本当に悪いのはあの試験管さんです!あそこでルイさんが何とかしてくれてなかったら今頃私どうなっていたか!」

「そうだな」

「だから少々痛い目見てもらって当然です。ちょっとやりすぎなとこはあったかもですが」

「腕・・・折っちゃったからな」

「でも大丈夫です。先ほど私が治癒してきました。時間が掛かりましたが腕もしっかり元通りです。試験管さんも反省したのか私と、それにルイさんにすまなかったと伝える様に頼まれました」

「リン、ほんと色々ありがとな」

「当然です!仲間なんですから!」


リンが自分の胸に手をトンと当てた。

ルイもありがとうと言いながらリンの真似をする様に自分の胸に手を当てた。


「とりあえず・・・ここを出ないと話にならないな」

「そうですよね・・・。私が何とかしないと・・・!」


リンはそう答えると青い騎士の方へと体を向けた。


「き、きき、騎士の人!か、覚悟して下さい!!」


リンが体全体をブルブルと震わせながら戦う構えをとった。

あまりにもおぼつかないポーズで見ていてとても不安だ。


「本当にやるのかい?僕は女の子だろうと手加減できないタイプなんだが」

「だ、だーかーらー何だって言うんですか!は、早く始めようじゃありませんか!」


もうリンは完全にテンパっている。

それに対し青の騎士は背中にある見た目の派手な棍をゆっくり抜き、そして構える。


「ではいくよ」

「ど、どっからでもこいやーーー!!!!!」

「はあああああああ!」

「ひ、ひいぃ!」


リンは棍が振り下ろされると同時に迫りくる恐怖から目を閉じ頭を守りながらしゃがみ込んでしまった。

しかししばらくしても衝撃は来なかった。

何が起きたかと思い周りを見渡すと腹を抱えて笑うルイと・・・・・青の騎士が目に入った。


「え?え?どうして?」


リンだけがこの状況を理解できず置いてけぼりだ。


「ハハハッ!」

「ハッハッハッ!」

「どどど、どういう事ですか!?」

「ルイはなんで会話中に僕について何も触れなかったんだい?」

「いやー、その方が面白くなるかなぁと思ってずっと黙ってたんだ!結果面白かっただろ?」

「ハハハ!確かに」

「久しぶりだな!ジーク」

「久しぶりルイ。君は何にも変わってないね」

「お前こそ」

「・・・もしかして」

「リン、多分お前の考えは合ってる」

「じゃ、じゃあこの方が!?」



「ああ!新しい仲間だ!!」










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