階級試験
「貴様ら何者だ!!」
門の前に立つ見張り兵が声を上げる。
それにルイが答える。
「自分は王国兵になりたくこの訓練基地グリードへ参りました!」
「王国兵志願者か?今日はそのような来客情報は入っていないはずだが。・・・貴様もか!?」
見張り兵がリンの方を向く。
「わわわわわわたすもへす!」
「ブッ!!」
「そこ!笑うな!こんな小さいのに、立派じゃないか!お前の様なうわついた心構えの者が王国兵になれると思うな!」
「すみません!」
「・・・返事は良いな!よろしい!志願者なら喜んで受け入れよう!中へ入ったら一番大きい建物に入り窓口の者に話しかけると良い。詳しい案内をしてくれるだろう」
「「ありがとうございます!」」
門が大きな音をたてゆっくり開く。
歩きながらルイとリンが小声で話し始める。
「ルイさん笑わないでくださいよ!」
「いやあれはお前が悪いだろ!?わたすもへす!」
「む~」
しばらくリンはふくれっ面だった。
中に入ると真正面に大きな建物がある。おそらくこの建物の中で訓練が行われているのだろう。
ルイとリンはその大きな建物の中へと入った。
すると見張り兵が言っていた窓口があった。窓口の女性に話しかける。
「王国兵志願の者です。窓口で詳しい話をして貰えると見張りの方から聞き参りました」
「かしこまりました。ではこの書類に手続きを。書き終えたら階級試験を受けてもらいます。その後、服装が支給されますのでそれに着替えてもらいます」
「はい」
ルイとリンはすぐ書類を書き終え窓口へ提出した。
「・・・・・宜しいです。リイ・スペードさんとルン・レアポイントさんですね。では階級試験が行われる部屋へと案内させて頂きます」
ルイとリンは窓口の女性の後ろを少し離れてついていった。
「・・・ルイさんの言った通りでしたね」
「だろ?地下10階層もあるんだ。即戦力になる様ならすぐにでも下の階へと飛ばすはずだ。一階から徐々にやってちゃあ最初から強い奴でも王国兵になるのに時間かかっちゃうからな。だから階級試験みたいなのがあるのは予想ついてた。後は・・・」
「その階級試験ですね」
「ああ、手はず通り頼む」
「はい」
「ここになります」
「案内ありがとうございます」
窓口の女性はそのまま元来た道を引き返していった。
「じゃあ入るか」
「はい」
部屋のドアを開けると中は広い武道場となっており、200人程の見習いが1対1でペアを組み対人戦を行っている最中だった。
「誰だ~?ノックもしないで入ってくる様なバカは~?」
部屋の中央から、見るからに性格の悪そうな男が剣を肩にトントンとやりながら近づいてきた。
「王国兵志願の者です。階級試験はここで行えると聞き参りました」
「ああん?今日はそんなアポきてねえぞ~。帰れ帰れ!」
そう言うと男はまた中央の方へと戻っていってしまう。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「ああん?・・女の声?」
リンが男を引き留めた。
「そ、そんなの困ります」
「・・・へぇ~、まだガキ臭いがべっぴんさんじゃねえか」
男が戻ってきてリンの顔を息が当たるくらい近くで舐める様に見ている。
「いいねえ~。嫌いじゃない」
「あ、あの・・・」
「・・・」
「いいぜ~試験やってあげても~。その代わり今日の夜によ~、俺の相手してくれよ~」
「あ、相手って・・・」
「・・・」
「良いだろ~?じゃないと試験受けれねぇぜ~?このまま帰るか~?ああん?」
「そんな・・」
「・・・」
試験管がべったりとリンの肩に手をまわす。
対人戦をしている見習い騎士達は見て見ぬ振りを決め込んでいた。
おそらくこれが日常なのだろう。
「試験管、質問があります」
「ああん?何だおめえまだ居たのか?」
「試験はどういったものでしょうか?」
「チッ、めんどくせ~な~。俺と戦うだけだ~。で俺がお前らを何階層か判断するぜ~」
「では、試験管を倒してしまった場合は?」
対人戦を行っていた見習い騎士たちは急に手を止め辺りが急にシーンと静まり返った。
「・・・んなことある訳ねえだろ。俺は最下層クラスだから実質俺に勝てたら最下層になるなわな。まあ勝てる訳がないけどな」
「そうですか。ルン、さっきの誘い受けてもらえないか?このまま帰る訳にもいかないし」
「そ、そんな・・」
「いいから」
ルイはそう言いながら目で合図を送った。
大丈夫、俺が何とかする。と告げるように。
「・・・はい、分かりました」
「良いねえ~嬉しいよ~。じゃあこっち来な~。・・・おいザコども~いったん中止だ~壁にはりついて気を付けしとけ!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
試験管の言葉で見習い騎士達は一斉に壁の方へ走りピシッと気を付けのポーズをした。
おかげで真ん中には広い空間が出来上がった。
「どっちからやるんだ~?」
「自分からで」
ルイがすぐさま名乗り出た。
「男くせぇのはお呼びじゃないんだけどな~、まあいい。試験は3分間だ~。自分の最大の実力をその3分間でぶつけてこい」
「分かりました」
「じゃあ構えろ~」
ルイは剣を出さずそのまま素手で構えた。
「ああん?剣は使わねえのか?」
「これは飾りなんです」
「ふ~ん。じゃあ始めるぞ~。俺はドシッと構えてるから打ち込んで来いよ~」
見習い騎士達200人も見守る中、試験管とルイの視線がジリジリとぶつかり合っていた。
部屋の中はシーンと静まりきっている。
(ルイさん、頑張れ!)
リンは祈るようにルイを見ている。
「んじゃ~・・・・・始め!!!」




