ご利用は計画的に
「ん~~~!!おいしいです!」
「だろ?ケーキは偉大なんだ!」
「偉大!偉大です!」
ルイとリンはいつもの酒場へ来ていた。
リンが美味しそうにケーキを頬張っている。
「マスターの店ならあると思ったよ」
「普通酒場にケーキなんて置いてないからね。君達は運が良い。それにしても本当に癒しの巫女を連れてきてしまうなんてね」
「!?マスターの言ってた奴ってもしかして?」
「その通り。今そこに座っているリンちゃんの事だ。私が説明し終える前にルイ君は出て行ってしまったから」
「俺も後でしっかりマスターの話聞けばよかったって後悔したよ。ごめんごめん」
ルイは顔の前に両手を合わせ謝る。
「ルイさん、次は私達どこへ行くんですか?」
リンがほっぺにクリームをつけながら問いかける。
「申し訳ないがルイ君、私はもうそういった情報は持っていないかな」
「大丈夫。実はアテがある」
「ほお、どこへ行くんだい?」
「訓練基地グラードってとこなんだけど」
「ん?騎士にでも志願するのかね?」
「いんや。知り合いがそこにいるかもしれないんだ。そいつに会えれば多分ギルドに入ってくれる」
「なら安心だ。しかしここからだとかなり遠いね」
「うん、馬車を使って一週間ぐらいだよな?」
「そうだね。長旅になるだろう」
「この大陸に来るのに船で長旅してきたからな。もう長旅には慣れたよ。・・・それより実は別の問題があってさ」
「なんだい?」
「いや、マスターには言わずにいるよ。リンと二人で解決する。それが解決したらこの都市を出ていくよ」
「そうかね、寂しくなる。出てく時には最後に一声かけておくれ」
「分かった!じゃあ行こうかリン」
「は、はい!」
リンは急いでケーキを口に放り込んだ。
ルイとリンは席を立ち、酒場から出た。
時刻はPM2時。
「ルイさん次は何を食べさせてくれるんですか!?」
「リン、これから先きっと色んな経験ができる。だから今は我慢だ」
「そ、そうですか」
リンは少ししょんぼりする。
「リン、さっきの俺とマスターの話聞いてたよな?」
「聞いてましたよ。問題が一つあるって」
「そうなんだよ。さてなんでしょう?」
「う~ん」
リンが目だけを上に向け考え始めた。
「場所が分からない・・・ですか?」
「ぶっぶ~、場所は馬車の人に言えばわかるぐらい有名な場所です」
「ん~・・・まだ私達が弱すぎるとか?」
「ぶっぶ~、俺腕には自信あるし。リンが回復してくれるなら実力的には申し分ナシ」
「ん~・・・あ、分かりました!ギルドを設立していない!です!」
「ぶっぶ~、ギルドはある程度人が集まってから設立するって決めてる」
「も~分かりませ~ん」
「じゃあヒント。俺達昨日から宿に泊まったり、ケーキ食べたり、今日は馬車に乗ろうとしたりしてるけど、これらには一つ共通する事があります」
「ん~・・・あっ!」
リンが手をポンッと叩いた。
「お金が無い・・・んですね?」
「そうなんだ~助けてくれリ~ン」
ルイはお金が入った袋を取り出すと、それをふってお金が全然入っていない事を表現する。
聞こえてくるのはジャランジャランではなく、チャリンチャリンであった。
「これは相当ですね」
「てな訳で我々ギルドもどき団はこれより・・・お金稼ぎ大作戦を実行する」
「ストレートな作戦名ですね」
「細かい事は気にしない!エイッエイッオー!」
「エイッエイッオー!」
二人は酒場の前で一緒に手を挙げた。
「でもどうやって稼ぐんですか?」
「・・・時にリン、この都市にはもう慣れたかな?」
「はい、午前中にルイさんが案内してくれたんで大丈夫です。もう一人で歩けるぐらい」
「よし、一週間!」
「一週間?」
「一週間でどっちが多くお金を稼げるか勝負だ」
「わ、私お金稼ぎなんてやった事無いですよ!?」
「リンなら大丈夫だ!魔物狩りとかは難しいが、店の売りっことかに向いている」
「私人見知りだし・・・」
「リンなら多分何もしなくても客は寄ってくると思う。可愛いからな!」
「(か、可愛いって言われた!!)そ、そうですか?じゃ、じゃあ頑張ってみようかな」
「よし、普通にやっても面白くないし、負けた方は勝った方の言う事を一つ何でも聞くってどうだ?」
「良いですね・・!この勝負のりました!」
「ならこっから先は別行動だ!これから俺達が会うのは寝る宿だけだ」
「分かりました。お金稼ぎ大作戦、頑張りましょう!」
「じゃあまた夜に宿で!」
「また後で!」
二人は互いに逆方向に歩き出した。
「「絶対に負けない!」」
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ルイside
ルイは都市の中で一番大きいギルドに顔を出していた。
(魔物退治・・・・・・と)
ルイはクエストボ-ドに目を向けていた。
ギルドの任務は大まかにG級→F級→E級→D級→C級→B級→A級→S級→SS級→SSS級→・・・
の順に任務の難易度が上がっていく。S級から先はSの数だけ難易度が高くなるシステムだ。
しかしB級の任務を達成するぐらいで都市に噂が流れ始めるので、S級の任務を達成できる程の実力者など大抵いないであろう。
(お、これにしようかな。これなら丁度一週間ぐらいで終わりそうだしな)
ルイはクエストボードから一枚の紙をはぎ取り持って行った。
「受付嬢さん、これ頼むよ」
「はい。ギルド登録者の方ですか?」
「いや、ゲストで」
ルイはギルド登録していないので通常通りに任務を受注できない。
しかしゲストとして任務を受注すれば報酬は三分の二になるが受注可能となる。
「・・・あの~」
「ん?」
「A級ですけど・・・」
「ん?うん」
「レオウルフ50体ですよ?並の人なら一撃でやられてしまうし、見つけ出すのだってそう簡単じゃ・・・」
「うん、大丈夫だから」
「は、はあ・・・」
受付嬢は心配そうな顔で紙に印を押した。
「ありがと。証拠として親指の爪を一枚、両手合わせて計100枚剥がして持ってこれば良いんだよね?」
「はい」
「それじゃあまた一週間後に来る」
「はい(一週間では無理ですよ~)」
ルイはギルドを出て都市の出口まで走りながらクエストの詳細を読んでいた。
(レオウルフは紫苑の森付近にいるのか・・・ああ!だから紫苑の森へ馬車で行った時、付近で無理矢理降ろされたのか!納得納得)
ルイは都市の外へ出た。
「しばらくは野宿生活だな。食料も現地調達になりそうだ。リンには・・・まあ一週間後に説明するとしよう」
ルイは腕をまくって気合いを入れた。
「いっちょ、頑張りますか!」
ルイside END




