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イケメンはちくわパンを食べているところもイケメンである

作者: 瀬名 杏子



二宮高校イケメン揃いの男子バスケ部(チャラ男集団)の部長を押し付けられて、もうすぐ1年。


1学期が終了すれば、3年は完全に引退出来る。


素直に嬉しい!


はっきり言って、男子バスケ部は弱い。


俺も男バスのイケメンズの1人に入れられている。


3年は部長の俺とサッカーのロナウド似と評判の副部長の浅岡と、俺に部長を押し付けた口の上手い佐伯。


2年は不穏な噂の多い柏原。


1年は八重歯が可愛い期待のスーパールーキー市村(命名:佐伯)


イケメンズの中で一番身長の低い市村が、一番バスケが上手い。


バスケの名門校からスカウトもあったが、己の力量を踏まえてウチの高校に入学したらしい?


顧問の桐谷先生もファンが多い。


俺たちの学年がイケメンの当たり年と言われている。


女子も目立つ生徒が多い。


2年は男子も女子も目立つ生徒は少なかったのだが、転校生がやって来て様変わりした。


2年の深瀬花純は転校して来て、すぐに柏原と付き合い始めた。


人気女優の夏木梨沙に似ている。


最近の夏木梨沙ではなく、高校時代の同じ年頃だった夏木梨沙に似ている。


どうも桐谷先生も彼女を贔屓しているようだ。


後輩の市村が先輩の彼女である深瀬に一目置くのは分かるが、何故か浅岡まで態度が違う。


浅岡は潔癖症なのか、差し入れされた手作りの弁当やお菓子の類いは一切食べない。


「何が入っているか分からないから、気持ち悪い」と言って捨てる。


情け容赦無く捨てる。


本人はなるべく受け取らないようにしているが、他の部員が断り切れず受け取ってしまうのだ。


その浅岡が調理部部員の深瀬の作ったおにぎりを口にした。


「実家が農家の桐谷先生が持って来たお米で作ったおにぎりです。素手で握ってないですから、一口だけでいいから食べて下さい」と言われて食べなかったら、普通の男子なら女子生徒達から総スカンだ。


俺にも断る勇気はない。


深瀬は柏原から浅岡の噂を聞いていたんだろう?


エプロン姿の美少女の可愛らしいお願いに、他の生徒達も目を細めていた。


浅岡は、それから柏原の彼女である深瀬が作るものは口にするようになった。


深瀬の友人であり、2年の男バス部員田村の彼女で同じく調理部部員である村西の作ったものも口にするようになった。


「深瀬と村西は何が違うんだ?」


「二人とも俺を狙ってないから」


イケメンズの1人である俺でも、その答にムカついた!


だが、当の2人は浅岡の餌付けを楽しんでおり、ちくわパン(購買の新商品)を食べる浅岡の写メを許可を得て撮っていた(盗撮禁止)。


浅岡は毒気を抜かれて、つい許可を出したらしい?


「ちくわパンを食べる浅岡先輩、めっちゃレアですよね」


にっこり笑顔が可愛い深瀬。彼氏の柏原は怒らないのか?


「ミスマッチ感が最高」


「岩崎さんあたりが『ちくわパンになりたい』って言いそう?」


こら待て、何故市村が混じっている?


「俺、『可愛い』ってよく言われるんですが、『カッコいい』って言われたいんです」


ベキッ!


「フェロモンダダ漏れの浅岡先輩は俺の理想です」


ボキッ、バキッ、グキッ!


おい、市村、空気を読め!


深瀬と村西だって青ざめてるぞ!


フツメン以下の男バス部員を全員敵に回すな!


可愛い弟系キャラでいいじゃないか?贅沢を言うな!


空気を読まない市村の発言でその場を凍らせたが、何とか微弱な俺の力で抑えた。




その後、浅岡と深瀬のダブルお気に入り商品としてちくわパンが購買でバカ売れしたことは言うまでもない。













「『可愛い』より『カッコいい』と言われたい」は、私が自分の耳でイケメン(楽勝で5歳は若く見える)から聞きました。


私は頭の回転が遅い人なので「贅沢な!」と思いましたが、その場で説教は出来ませんでした。


たまに思い出して苦笑しています!

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