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厄介ごとはエルフから

石化した雷を救ったのは一人の小さなエルフだった。

そんな雷に、彼女は···

「···ここは···?」


倒れたのは確か城壁の前の森だったはずだが。


目の前には、木をそのまま削ったような壁と凝った作りのクローゼットやタンスがあり、自分はベッドに寝ている。


てっきりクズ王の有能な兵士にでも捕まったのかと思っていたんだが、どうやら誰かが俺を助けてくれたらしい。


「···起きた?」


部屋に一つしか無い扉から、8~10歳くらいの女の子が入ってくる。

その女の子の姿を見て俺は、やっぱりここが異世界なのだと再確認する。女の子は真っ白な肌に透き通るような金色の髪に青と黒の左右色の違う目に美しく整った顔立ち。人間にとてもよく似ているが、髪の間からすっと伸びた長い耳が、その子をエルフだと主張している。


俺はまだ本調子とはいかないまでもだいぶ回復した身体を起こし、ベッドの横に置いてある椅子に腰掛けた少女に頭を下げる。


「危ない所を助けて貰った、礼を言う。」


あのままだったら俺は近くにいた魔獣や動物達に丸飲みにされていただろう。


少女は取っ手のついたマグカップのような陶器をこちらに差し出すと、無表情で呟く。


「いい。助けたかったから助けた、それだけ」

「そうか、俺の名は冬···」


冬見雷と言おうとして止まる、自分の名前はもうとっくに王都中へ反逆者として知れ渡っている可能性があり、俺が倒れた場所から考えるにこの場所は王都からそう離れていないはず。つまり、ここで冬見と言う名前を使えば即行でバレて牢獄行き確定だな···


「スライ·カルファングだ」


今のうちは元々の名前を名乗っておこう。


「ん、ルリア」


可愛い顔とは裏腹に感情に乏しい子だ。


「本来ならお礼に何かしてあげたいところなんだが、何分急ぎの用があってね。すぐに行かなければならないんだ」


人間が何人来ようと負けることはないが、相手にするのは正直かなり面倒だ。捕まらないうちに他の国へ逃げよう。


「大丈夫、衛兵がここにくることは無い」


まるで心でも読まれているかのように告げられた一言に、俺は人の姿が微かに揺らぐほど驚いた。

表情を変えず、彼女に気付かれないように身体の調子を無理やり上げながら、彼女の警戒レベルを数段引き上げる。


「ここはエルフの森、エルフとエルフが許した者しか入ることの出来ない結界に護られた場所」

「···俺の事が解ってて、どうしてそんな場所へ?」


言うならば俺は世紀の大罪を犯した犯罪者だ、匿う理由が無い。


「さっきのお礼、今返して欲しい」


···なるほど、厄介ごとを押し付けられる奴を探してたのか。そりぁ適任だわなあ、こっちは追い出されればそれで終わり、聞くしか選択肢が無い。


「分かった、俺に出来ることならやってやろう」

「···裏切りは無し」


裏切りたくなるぐらい面倒なことなのか···。


「分かった、裏切るようなことはしない」

「本当に?」

「本当だ!」


彼女はやっと信用したのか、じっとこちらを見詰めたあとこくりと頷く。


どんな厄介ごとかは知らないが、魔王の補佐役にして軍のトップにいた俺にとって出来ないことなど空間の転移位しか無い。

たかだか一人のエルフが抱える問題など問題のうちにも入らない


ちょっとした躊躇いを見せる少女を目の前に、気持ちを大きくさせる。


「私を、旅の仲間に入れて欲しい」


それゆえに、少女がいった厄介ごとが、本当に厄介なことだったとしみじみ思う。


「···は?」

いやー、やっぱりパーティーにはエルフが居ないとダメですよね。

次回、ルリアの年齢が遂に明らかにっ!!

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