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泣かないで

異世界に召喚された雷、泣き出す委員長

ここからが異世界ものとしての始まり


嫌な感じだ、だが同時に懐かしい。

これは、昔よく使った転移魔法に似ている。まぁ、複雑さで言えばこちらの方が何倍も上なんだが。


出口であろう所から強烈な風が吹く、久しく感じて無かった濃密な魔力の風が。


風は、委員長から全てを引き剥がすように吹き荒れる。


「ぐっ···」


俺は難なく吹き飛ばされ、空間の歪みに落ちそうになる。


「舐めるな!」


こんなときの為に()()()()()()()なんだ、試運転にはちょうどいい。


『ウィザーウォール』


障壁魔法『ウィザーウォール』、オーソドックスな障壁魔法に比べ魔法防御を高めた全方位型障壁魔法だ。


障壁を張った途端勢いは止まり、風に紛れ身体に流れ込もうとしていた不明な魔法も遮られる。委員長にも張ろうとしたが、離れすぎていて今の自分には外す可能性が高い。


「チッ」


間に合わなかった、だがこの先の事を予想すれば害は無いだろう。

出口が近づいている。


俺は委員長に目を凝らす。


普通の人間なら、自分の常識外の光景に叫び声の一つでも上げそうなものだが、委員長は高密度の魔力(あの世界から見れば)に晒されて気を失っている。


「どんな世界か分かんねぇし、そうゆうフリもありか」


雷は静かに目を閉じた。


____________________________________________


「DKm932kne-SSgXwwm-」


聞いたことの無い言葉が聞こえる。


「WiGVXycu5mEpQycZgjia5JVXQ9KeSDrHKVaRkGbF5ZsEBhmatHEBx4H7F2MbnCJTMuchw6Yz3QNa」


困惑しているのか、声が荒い



「TJp5Jmn7VpjdBtSRX7eUhHhGz9VgFxEhHsTcbFdSkcsgkB-」「QZpasugixfHXPrVpKCmCSUeW4XS5YKYYMNrJpBm5sf2LGYr3YDUR5」

「6tLYEBrRk5E8mb__dPcutgSCxQRmwckuUk6mmxn876WYVpfYJGHetA85NAJ7Z5W4QDQa_dQ5TV9iTGjC2dMECukSeimgFn3EUk2d」


()()()()()()()()()()()()()()

窓の無い石作りの壁、フードを被った人間、その中央には初老の男。

俺達の足元は見たこともない魔法陣があり、いかにも召喚しましたと言う雰囲気だ。


「bTJRbm|5SfPQSLNStrpKHPGHJx_u9zEBmTi84tAcztYKDPKWksmXKTAPiRwaehuece5zW4seGQJRjTi-Xw3g8-uwbsgQ-2」

「bdek5_mEQHBkrVSmupL3FXhZkcgpmJeuWR_5syz6FTckzjFWrubwTi6unPAbDUpAKazC9jPUYbzysrNZbjpYHgfafzpsJ9-46zfD」


騎士のような格好の男が唯一在る扉から、魔法陣の刻まれた首輪を持って現れる。


「NWAdFc78ffzT5iXDs-」「SCB5jc3JAk4VxXNUaEg9N79BxEp_VVKn4nKuEw3zrScpSDgCgLDbPac2YAbhkKaWisZDFe4GsThKALnghZ」


騎士はそれを慎重に俺の首に着けた。


「XVt7xT_8yBXHxN6PGjn6BHSVNea5RPQrsM6gBpTbyR4LWNFgF2pF2fyQuEzmYpTsUJGjPAYEecLS」


これは見ただけで効果が解る、恐らく隷属系の魔法が掛けられているのだろう。

この世界の人間の王はあまり良い人柄では無いらしい。


「···う···ううん···」


どうやら委員長の意識が戻ったようだ。


「f_xtBddGagiapHi96RVZ9JrGZP6yQxmFGy3jaGF5KPBBfVRLrNKrMB2zwEKUwngBC_Z64-」

「zbYGD3GkUV5PGdg6pb2DQDQVhiL8NHfs295bSpwwNyCMAJYm3QYhEm6MV2d-」「yYNmGTfynwicUj6N8BXDXzjMnyec8HkTmPFLEa8r」


委員長はなにがなんだか分からないと言う顔をしていたが、その話を聞いていくとどんどん青ざめていく。


「scgQpNP5sgbwY4hXLArXQ_x484z2sNrHSZAgSYgXHz64ti5ni9kaBgbr_b56cypL3cFecV2CNYLhae4gfRTs4ZgyUizujHFV6」

「5e_2e7hPdPYdtN9pYbM5hBED4-」

「YrSiyym5FbQ6hJ8ar9zFeS2BAxRgtkGips9NmDXuGYnpjTTGQ4icb3pj3AMn6rWf3wgzYXRHVuMGgCZMg2RXMAguFsFMADVmgPHC」


「···う"···うう···」


そろそろ頃合いだ。


「···い、委員長?ここは···」


「5ZCA97Hg4i8nrbpxGt8D5taDP8hgB9xsjCupWZQ3XnjybkrKmRZn」

「eKkyfbe8gSZhdHdeVjhPzGC7UUmj84yMNZkmDH_L7fZ2c3C9j4XhYVctAmY27ZRGPpW8VeiiLpJQ3w_YckThZAbtU58ucBWHeUX」


騎士は起きた俺に委員長と同じ説明をするが、当然俺には分からない。


「R77d95tymS8fPJrANY3RrwyfBHrPQ3WJZynk957uLiV4xjeLa_XJaweLKYBy2_ST_ie8prX7Lb8Kwk3e8Pa4wbSbHuHzFAUy6_ir」


「あー、えっと···委員長、ここはどこ?」

「雷くん···私も詳しいことは分からないの。この人が言っている事も信じられないし···」


今の委員長は見違えるほど、弱々しく見える。


「あ、いや、そもそもこの人が何を言っているのか分からないんだけど」

「···えっ?」


彼女には全て日本語で聞こえるのだろう。


「私には日本語に聞こえるのだけれど。」

「tNR7s9587QGUKEnMpN447UTU9iXHB2MLuxG3w9w3UDcHnu72Nbe8kjNpzdKTGNJkCfTh6NBF3z_ttKeB7NFSCnEhhwHV6b8」

「えっ、そう・・・なんですか。」


どうやら男は気づいたらしい。


「雷君、私は貴方に謝らなくてはいけない。この人の言葉を信じるなら、私達は『勇者召喚』って言う魔法でこの世界に呼ばれたらしいの。いや・・・正確には私が呼ばれた、貴方は私の近くにいたせいで巻き込まれてしまったの。」


自主的にだけどな


「だから、貴方がここにいるのは私の所為。」


委員長の目から涙が流れる。


「委員長の所為じゃねえよ」


これは俺が分かっててやった事だ、委員長は悪くない。


「いいんだ委員長。勇者なんてなろうと思ってなれるもんじゃねぇし、俺は別に構わねぇよ」

「でも、呼ばれた私と違って貴方には何の加護もついて無い。この人達の言葉が分からないのもその所為なのに・・・」

「そんな事、言葉は覚えればいいし今は何にも困ってない。俺にとっては委員長が泣いてる方が困るかな、クラスの奴らに殴られそうで」


俺はそっと委員長の涙を拭いた。

四話目投稿しました。

異世界の言葉、私も読めない

転生した魔将は異世界に召喚されたようです、毎週金曜日に投稿します。双剣と大盾は日曜日です。

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