異世界(現代)ってつらい!!
異世界ものなのにまだ異世界に行って無いって、マズイよね。
足が重い、別に足に重りを付けているわけじゃないのに足が重い。
「あー、行きたくねぇー」
俺は学校一の美少女に呼び出され校舎裏に向かっている。
恐らく俺はそこリンチに合うのだろう、ホントに怖い。
まあ、前世で魔族の総指揮なんてやってた身としては高校生の暴力なんて差ほど、と言うか全然怖くない。
武とつくものは何でもやって来たし、この身体になっても修行は欠かさず行ってきた、正直20人程度なら軽くあしらえる。
ただ、それをやると次の日からクラスで孤立しそうなのでやりたくない。今でも孤立してるのに···
「どっかに落ちてねーかな、学生攻略本・・・」
そんな事を考えながら廊下を曲がると、ちょうど反対側から来たうちのクラスの委員長にぶつかってしまう。
「きゃっ」
「おっと、すまん」
さっきの上井草ほどではないが、上位10人に入ると言われる瑞咲 詩織委員長。
全体的に細身でありながらか弱さを感じさせない整った顔立ち
まるで正しさを体現させたような限りなく真っ直ぐな出で立ち
甘さだけを詰め込んだ上井草とは違う澄み切った真水のような美しさ
もし彼女が魔族であれば将軍の一角をになっていただろう、もしくは・・・彼女のようなものが勇者になるのだろう。
「・・・怪我は、無いか」
あの時までは、勇者など悪だと決めつけていた。
醜悪な人間達の元に訪れる不条理の塊でありながら、この世界に住む誰よりも純粋な目をした怪物それが勇者の全てだと思ったいた。
今でも勇者への憎しみは変わらない、だが勇者についての考え方は変わった。勇者を憎しみこそすれ、恨まなくなった。
「じゃあ、俺これから行くとこあるから」
「雷君っ」
「ん?」
「その・・・ふっ、不純異性交遊は校則違反ですからね!」
···こいつは何を言っているんだ?
「あ、ああ。分かった」
それだけ言うと、彼女は振り替えって真っ直ぐ歩いて行く。
「···なんなんだ」
これがリア充とボッチの差だろうか。
まぁ、俺みたいな人間は何があってもこれ以上彼女と関わる事は無いだろう。
今度は誰にもぶつからない様に注意しながら角を曲がり階段を降りる。
「···ん?」
気流の流れがおかしい······いや、違う···これはもっと懐かしいような···そう、これは
「大規模魔法の発動現象···」
あり得ない、そう思いながら全力で階段をかけ上がる。
この世界には魔法と言う概念はあっても法則は無い、だがこの世界にも魔法は存在する。
一部の状況下で特定の言葉を言ったり思ったりすると半ば強制的に発動する魔法、通称『フラグ』。
場合によっては死ぬことすらあるこの魔法も規模としては小規模魔法、初級魔法と呼ばれるものの類いで、今の俺でも出せる。
だがこの魔法はそもそもが違う。
大規模魔法は、数人の魔法師が魔力を同調させ、一人では使えない魔法を発動させる現象。だがそれはあの世界の基準だ、この世界では同じ規模、威力の魔法を発動させるには少なくとも10000単位の人員が必要になる、うちの学校は総数300ほどだから足りる分けがない。
まさか、自分と同じ転生者か?と思いながら魔法の中心地へと向かう。
「···?どうしたの、雷くん。」
魔法の発動地点は、間違い無くここだ、だがこいつなわけが無い。こいつ、いやこの人はそもそも魔力なんて持っていない。
「雷くん?そっそんなに見つめられても困るって言うか、その···」
もう時間が無い。
俺は、ゆっくりと慎重に近く。
「ららら雷くんっ!!」
そして、顔が触れ合うところまで近づき、魔法は発動した。
やっと3作目です。
とりあえず、学校一の美少女をモブで使いました。あいつにこれ以上出番は無い!
次回からやっと異世界編です。
出来るだけ週一投稿を心掛けるので、ブックマークよろしくうぅぅぅ。