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転生しました

2話目投稿です。

今回は現代パートです、やっぱり現代ってほんわかしてるイメージありますよね。

教科書を朗読するだけの教師、スマホを弄る女子、眠りこける男子。

18年と言う歳月でもう見慣れた光景とは言え、いやだからこそ収穫の無い時間は俺を苛つかせる。


あの時、魔王様と勇者の戦いの途中で命を落とした俺は、何故かこの地『日本』で冬見 雷(ふゆみらい)として転生した。

最初は何が何だか分からずただ喚いていた自分だが、さすがに3ヶ月もすると周りが見えてくる。


まず、ここが元居た世界では無いこと。

自分が人間になっていること。

最初は酷く落ち込んだ。よりにもよってあの憎き人間になってしまうとは思いもしなかったからだ。


次に、この身体はとてつもなく魔力を通しにくいと言うこと。

魔力とはこの世の生物全てにある魂によって蓄えられる万能的な元素の事だ。魔力は魔法によってその姿を火や水など色々な物に変える、だがそれは魔法に必要な魔力が、魂から身体へ、身体から手へ、手から魔法を織り成す魔法式へ渡されなければ魔法は発動しない。

つまり、いかにこの動作を速くするかが魔法師としての価値なのだ。

前の俺ならば1秒で15個の魔法を完成させ、さらに0.5毎ごとに1個の魔法を完成させることができた。だが今では1分に1個出来るか出来ないかと言う瀬戸際まで落ちている。この程度なら、近ずいて殴ったほうがまだ早いだろう。


そして最後に、この世界の技術力の高さだ。

魔法よりも簡単に人を殺せる武器、多くの人を運べる自動車、高さ·大きさ·強度全てが魔王城を超えるビルの数々、魔法と言うアドバンテージを持っていないことが逆に技術の進歩に近ずくとはまさに驚きだった。


親と言う何処にでも着いてくる煩わしい存在が、自分一人での行動を許した時はこの世界の知識を全て集め、魔王様に献上するつもりだった。

その為には、自分に起きた現象を解明し魔法に置き換えなければいけなかった。

結果から言うと惨敗だった、培ってきた魔法技能やここの高い技術力でも理解不能な分野。15年と言う長い研究も、現象の末端すら解らないしまつ。俺は研究を諦め、魔王軍総指令将スラム·カルファングでは無く、ただの冬見雷として高校生活を送っていた。


「ふあぁ···」


ただ、15年も研究一筋でやってきた俺には当然友達なんているはずも無く、あっと言う間に2年半が過ぎていた。


「今日の授業はここまで。最近バカな事をしてやらかす奴らが増えてきた、お前らも気をつけろよ。」


教師の言葉と共に教室は騒がしくなり、帰る奴は帰り、残る奴は残る。

もちろん俺はすぐに帰る派だ。

寄り道や会話しながら帰ると言う事もせず、ただ一人黙々と道具を片付け帰る準備をする。


「あの····」


家に帰れば、もう役に立たないと分かっているのに続けてしまう剣術や体術の練習をする。


「あっ、あのっ冬見君···」

「···ん?」


このクラスになって半年、初めて名前を呼ばれた。ヤバい、ちょっとテンション上がる。


「えっと···上井草さん、だよね?」

「はっはい、合ってます」


彼女の名は上井草 艷美(かみいぐさえんび)

俗に言う、学校一の美少女様だ。俺がスクールカーストの底辺だとしたら、彼女はまさに頂点。

本来なら同じ空気を吸うのもおこがましいとか言われる立場の俺に一体何の用だろうか?


「あの···その···放課後、時間ありますか···。」

「ああ、特に予定はないけど」


この反応、もしかして···


「じ···じゃあ後で、校舎裏に来てもらえませんか···」

「あ、ああ」


やっぱり、予想通りだ。


彼女は俺が頷くと安心したような顔をして出ていった。


「こんな事って、本当にあるんだな。」


てっきり、マンガやアニメだけの事かと思っていた。


「まさか···まさか俺が集団リンチの対象になるなんてな。」


マジでリンチ場所が校舎裏とかベタ過ぎんだろ。それにあの表情、完全に何かありますって感じ全開だったぜ。

まぁ、行きたくはないけど行かなかったら後が怖いんだよなぁ。


「はぁ、しょうがない。潔く殴られて来よう。」


急に重くなった足を引きずりながら、俺は校舎裏に歩いて行った。

魔王はスラム(主人公)の心の中で生き続けている。

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