猫の目
猫が路上で泥酔している
目は酩酊し 行き場を失った衛星のようだ
これ以上残酷な目には遭わせたくないし 遭いたくもないが
それは避けられないようだ
メッセージは途絶え 言葉が枯れていく路傍で
火だるまになった群衆が嘔吐を繰り返している
真夏の過ぎた楽園で 赤い十字架が
今日も僕らを突き刺し 八つ裂きにしようとしている
猫の目は流浪するばかり
僕らは光の向こうに手を伸ばし
コップの底に消えた希望を探しあぐねる
焼けつく太陽にも似た希望を
猫の目は斜めに傾き 前を見据える
その先にあるのは延々と続く日常と
コップ一杯の水 その安らぎだけだ
猫の目は酩酊している
猫は酔いしれて ただ裸眼を動かすだけ
渇いた感情は 命を求めて転がり落ち そして砕け散る
猫の目は未来を見据えて 耽溺するばかり
情もなく 慈悲もなく 救いもなく ただ