紅蓮の魔道士との出会い
俺とエリカは迷いの森へ向かっていた。その道中俺はさっきから気にしていたことをエリカに頼んでみた。
「エリカ、そのご主人様っていう呼び方やめてくれないか?」
「それは私が用済みになったってことですか?」
エリカは涙目になっていた。
「違う違う。その呼び方だと嫌でも注目を浴びちゃうし、エリカには名前で呼んでもらいたいなって。ダメかな?」
俺がなぜこんなことを言うのかというともう既に道の途中ですれ違った商人みたいな男に変な目で見られたからだ。
「じゃあ、顕生様とお呼びしますね。」
結局、そんな変わっていない気がするがまあ少しでも変わっている方がいいので、そのままにさせておくことにした。
それから迷いの森に入ってしばらくした時に茂みの中から人型の怪物が出てきた。
「なんだ⁉︎」
「ゴブリンです‼︎これぐらいなら今の私ならいけます‼︎」
ゴブリンが振ってきた太い木の棒をエリカは素早く避け懐に持っていた小型のナイフをゴブリンの首元に刺した。
『グギァ』
ゴブリンが悲鳴を上げその場に崩れ落ちた。
エリカが懐に小型のナイフを収めたその時、エリカに矢が飛んだ。それをエリカはギリギリで避け矢が飛んで来た方向にナイフを投げた。
その瞬間木が血で染まった。
俺は初めてこんな間近で大量の血を見たので、倒れるかと思ったが不思議と何も思わなかった。この世界に来て心まで変わったのかと思ったが、そんなことよりエリカの方が重要だと思い駆け寄った。
「大丈夫か?」
「はい、あれぐらいの敵なら普通に倒せます。」
「でも、あんな力があるなら山賊ぐらい普通に倒せたんじゃないのか?」
「今だったら簡単に倒せます。でも、あの時は顕生様の奴隷になっていなかったので、無理です。」
エリカが言うには首輪をはめてもらい奴隷になると力が格段に上がるらしい。これは異世界のものが奴隷にしたものが弱いと足手まといになったりするので、それを防ぐためにあるらしい。
そうこうしてるうちにいつの間にか大きい屋敷の前を通っていた。その前を通った瞬間にエリカがここですと囁いた。
俺はコソコソすると悪影響になるので堂々とチャイムを鳴らした。それからも鳴らし続けていると、綺麗な女の人が来た。
「なんだ?ここをミランダの館と知ってのことか?」
「あなたが紅蓮の魔道士様ですか?」
「ほう。なぜ分かった。」
「俺の連れが強力な魔力を探知することに成功してここら辺だと分かりこの辺でもっと強力な探知をしながら探したからです。」
それを聞いて紅蓮の魔道士ミランダは少し驚いていた。
「結界を張っておいたのにそれでも気づくとはお前の連れの探知スキルは相当に強いもののようだな。まぁ良い、付いて来い。」
そのまま俺らは客間の様なところに案内され話をした。
「お前、まさか異世界のものか?」
「なんで分かる?」
「私ぐらいのクラスになると分かるさ。それでお前は飛ばされて来たばかりで何も分からないので私に教えを乞いに来たというところか。いいだろう教えてやろう付いて来い。しかし、この部屋に入って3日耐えたら教えてやろう」
その中に入った俺はゴブリンの群れを見て驚愕した。