癒しを求めてペットゲームをやってみた。
思い付きで意味不明です。よければ読んでください。
嫁を貰うことを諦めた独身貴族の俺は趣味のゲームを買ってきた。その名も、
『ネコ猫コミニケーション』
ブロック体で上の方につけられたこの名前。3流の臭いがプンプンする。パッケージは子猫が猫じゃらしに飛びついている写真が付いている。パッケージに騙されて買った事は内緒だ。けっして今日、80回目の合コンで誰にも相手にされなかった為に癒しを求めたのではけっしてない……嘘です。店員にも同情の目で見られたのは気のせいだ!
そしてペット禁止のマンションの一室に帰ってきた。ペットくらい飼わせろよ! 現代人は癒しが必要なんだよ!
『ネコ猫コミニケーション』の中のソフトをセットして画面に出た猫の種類を選ぶ。ジャパニーズボブテイル? 三毛猫の写真が載っている。これにしよう。田舎のバーちゃん家にいた三毛もこんな感じだった。
それと性格も決められるのかやっぱり人になれて甘えてくるのがいいんだよな。よし、『人慣れしている』でいいな。大きさは、子猫と成猫と老猫……最後の要らないだろ! 子猫はいいや、じっとしてないから。成猫で。大きさは普通。食欲? よく食べるにしよう。食ってるの見るのはいいからな。最後に部屋の写真を取り込みますか? 取り込めば部屋の中に飼ってる気分になるからいいよな! 取り込みで。
『VRゴーグルを使用しますか?』
対応してんの? そんなことがあろうかと買っといたVRゴーグル着けますとも! そしてスタート!
「おお、まるっきり部屋の中にいるみたいだ」
写真を取り込んだからね! ついでに間取りも全部取り込んだからね!
それで、猫は……いた! すきっぱなしの煎餅布団の上に……片付けてから写真撮れば良かった。三毛ちゃんこっちおいで~。
毛繕いしてた三毛猫がこっちを見て歩いてきた。足元まで来ると、こっちを値踏みする様な目で見て、
ーーぺっ!
唾を吐きやがった! くだらねえものでも見たように! そして、尻尾も不機嫌そうに振って煎餅布団の上に戻ると毛繕いに戻りやがった。
「くっ、癒されねえ」
この三毛猫がぁぁぁっ! 人を見下しやがって人慣れって生意気になってるだけじゃねえか! こっちは飼い主ですよ? 人間様の恐ろしさを見せてやる! この猫じゃらしで。
「ほれほれ、ほれほれ」
煎餅布団の端っこで猫じゃらしを振る。三毛ちゃんはまだ毛繕い中です。
「ほれほれ……ほれほれっ!」
あまりにも反応しないので、最後には三毛ちゃんの顔を叩いてやる。鬱陶しそうな顔している。相手しろよ! 現在、構ってちゃんなんだよ!
ーーペシッ!
前足で押さえつけられた。そして噛みついて猫じゃらしを振り回して捨ててしまった。不機嫌MAX? こっちを睨んでますけど?
ーーバリバリ……バリッ!
「ああぁぁ……布団が!」
三毛の野郎! 布団を引っ掻いてボロボロにしやがった! そうして尻尾揺らしながら、冷蔵庫の前に……なにする気だ?
おおっ! 取っ手に飛びついて開けやがった。そしてビール缶を落として爪で開けた。床にビールが流れ出して広がっていく。それを三毛はなめとって飲んでいる。猫って酒飲むの!?
更に開けっぱなしの冷蔵庫から干物を引き出してビールなめなめ食ってやがる!
「今夜の酒の魚が……」
絶句する俺の前で干物を食べてビールをなめとった三毛は少しふらふらしながら煎餅布団の上に戻る。
「バンザイして寝てるんだが……癒されねぇ~」
舌を半端に出したまま半開きの目をして眠る三毛。俺はゲームのスイッチを切りソフトを外した。……明日、売りにいこう。