さよなら人生
深夜、みんなが寝静まった頃に俺、弓弦紅は準備をしていた。
「えっと、用意するのはこれとあれ、それと懐中電灯と菓子持っていくか。」
なぜこのようなことをしているのかと言うと学校の友人たちが星を見に行こうとと言い俺もそれについて行くことになったからだ。
「よし、これで準備は出来たかな」
小型の望遠鏡を持ち、他にも花火なども一緒に用意していた。
正直言ってワクワクしていた、時間をかけていろいろ用意したためふと時計を確認すると
「ってやべ!準備に時間かけ過ぎた!急いで行かなきゃ間に合わないぞこれは」
集合時間に遅れそうになってしまっていた、すぐに必要な物を持ち家を飛び出し全力疾走で集合場所へ向かっていたが運悪く途中で信号に引っかかってしまい予想外にも時間を食ってしまっている。
「あー信号はやく青になってくれよ・・・間に合わなくなっちまうよ遅れたらみんなに申し訳ないんだよ・・・」
焦りを鎮める為音楽を聴いているが焦りはおさまらなかった、人を待たせると結構責任感というか罪悪感を感じる性格だからどんどん焦りは増えていった。
「まだ青にならないのか・・・いっその事信号無視しようかな車もきてないし・・・よし、いくか」
まだ赤の信号にしびれを切らしてしまい信号が赤のまま車の来ない横断歩道を渡ろうとした・・・この時いくら遅れそうになり焦ってたとはいえ信号無視をした自分自身を恨みたくなった。
「えっ?」
その瞬間、右側から走ってくるライトのついていない黒い車を視認した頃には既にどうすることも出来ずに車に轢かれた、そして車はそのまま走り去って行っていった。
自分の身体を見てみると血が出てきて足は変な方向に曲がり肋骨は何本も折れてる気がするし口からも血が流れていた、だけど不思議と痛みはなかった。
溢れる血の匂いを感じ、変な方向へ曲がった足を見つめに呟いた。
「星、見に行けなかったな・・・信号無視なんてしなければよかった。」
その呟きを最後に意識は途絶え弓弦紅の短い人生はここで終わった。