五章-11
単純故に強力。
おそらく純粋な殴り合いならば俺に勝ち目などないだろう。純粋な殴り合い、ならば。
俺は俺が持ち得る限りの最大戦力で敵を淘汰するだけだ。それ以上でも、以下でもない。
空間を認識。爆発。空間を認識、爆発。空間を認識、爆発。空間を認識、爆発。空間を認識、爆発。空間を認識、爆発。
六度の爆発を迎え、砂上の身体は次第にボロボロになっていき、後ろへと吹き飛ばされていく。その度に、砂上は立ち上がろうともがき、苦しみ、俺に向かってくる。
もう勝ちの目などないということをわかっているだろうに、ここまでくると敬意を表したくなる。だからこそ、コイツの執念はここで払拭するしかない。俺の爆発能力も無限に使えるわけじゃない。使うたびに多少なりとも体力を消耗する。
次で、決める。
一気に接敵し、砂上ののど元を掴んで持ち上げる。
「……これで終わりだ、砂上登」
「はな、せ……! 僕は」
言い切る前に掴んだ場所を爆発させた。
砂上は口をパクパクさせて俺を恨むような視線を投げ掛けた後、事切れた。
「悪いが、これでジ・エンドだ」
掴んでいた手を離し、砂上の身体はゆっくりと地面に落ち、その死体は塊の大きい砂となって消えていった。
……これが悪魔憑きの死に方、か。
それにしても、
『あの人……悪魔憑きと戦ってた……』
『爆発してたぞ……』
『人間じゃ、ないよな』
『しかも、相手の悪魔憑きを殺したぞ……』
……まぁ当然の反応か。悪魔憑きが相手といえども、俺は今確かに生命を奪った。それは間違いない。もう、ここにはいられないだろう。
しょうがない、有り金を全部置いて病室から消え去らせてもらおう。