幕間
「ハァ……ハァ……ク、ソがぁ……!」
倉庫から逃げ出し、森の中で近くにある木を全力で殴る。
今の俺は装甲兵器も何ももたない脆弱な一般人に成り下がった。生きていられるのはあの男、八神朗人が俺の生死確認をしないままお姫様のところに向かったおかげだ。つまり、俺はその程度にしか見られていなかったということだ。
悔しさがこみ上げる。異端者を逃し、あまつさえしとめきれなかったという現実に。
最後の最後で、油断した。なぜ俺はあのとき八神朗人に質問をした? それがなければもしかしたら足をこのようにされることもなく、装甲兵器も破壊されることはなかったかもしれない。
「大島……すまん……」
腕にある大島の頭を抱きしめ、俺はうめく。
結局、あいつをしとめきれなかった以上は大島の死は無駄になったということである。それがたまらなく悔しくて、情けなくて、思わず叫んだ。
ちくしょう。ちくしょう。
異端者を野放しにすることなどあってはならないのに、そのために隊長も殺したというのに。
「絶対に、八神朗人を殺す……」
最強の悪魔憑き。
アイツを殺せれば全てがうまくいくはずだ。
「そうと決まれば、あいつらと合流しなければな」
逃げ出したとはいえ、俺の部下だ。あれで心を折られていなければいいが……そこはどうにかするとしよう。目先の問題はどうやって任務の失敗を報告するかだ。それ相応の理由も用意しなければならないな。
待っていろ八神朗人。貴様は……俺がコロス。