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(41) ユノ VS マボ

・・・

 

     【眠れ!万物の元!…横たわれ究極の静寂!】


 熱で発声器官…すなわち喉をやられたのか、かすれた声でジウが叫ぶ。

 今度こそ、現象の中心まで到達しなければ…再び現象へとダイブすることは無理だろう。

 既に、2度失敗し…今は、3度目のアプローチを試みている最中だった。


     【アイス・コフィン・オブ・アブソリュート・ゼロ…】


 システム側のPCなのだから、HPやMPのステータスなど無限に設定するか、若しくは無制限に回復可能にしておけば良いのに…ジウは開発に関わったハズのクリエイターを恨めしく思いながらも、MPの残量がギリギリこの魔法の発動に必要な数値を示しているのをコンソールで確認し…続く第3節目を唱える。


     【絶対零度氷棺(ぜったいれいどひょうかん!)】


 1度目はクリエイターとジウとの冷却系魔法の切替時のタイミングが上手く合わず、ジウが危うく燃え尽きるほどのダメージを負ってしまった。

 舌打ちをしながらも、クリエイターはジウを抱えて灼熱の領域からビュート・ベルゼの待機する外縁部まで待避してくれた。

 より大きなダメージを負ったのはジウだが、相棒がダメージを負うような状況に至ったということは、クリエイター自身も少なからずダメージを受けている。


・・・

 

 以前、ジウはアスタロトに「システム側PCは【死】に至っても再ログインが可能だ」…と話したことがある。が、アレは嘘だ。

 システム側に属する自分が言うのも何だが、この悪趣味なまでに【死】のリアリティを追求するデスシムが、システム側だからと言って、そんな特例を認めるワケが無い。

 アレは、自分の事を心から心配して心を痛めてくれた…優しいアスタロトを心配させまいと咄嗟についた嘘だった。


 少なくとも…ここでもし【死】に至るようなことがあれば、この「ジウ」というシステム側のPCは、二度とこの世界に現れることは無い。


 二度目のチャレンジは、なかなか良いセンまでは行ったのだ。

 しかし、不幸にも熱と気流の影響か、突入角度が狂ってしまっていたようで…現象の中心と思われた部分を横に逸れ、極低温側の領域に一気に抜けようとしてしまった。

 だが、超高熱と極低温が接する境界面には、中心部からその境界面に沿って外側へと吹き抜けるジェットのような気流が存在していて、その境界面まで到達した瞬間に横殴りに弾き飛ばされてしまう。

 おそらく、一般のPCなら即死だったろう。


 1度目の失敗の時も、この2度目も、クリエイターが驚異的な反応速度で防御結界と防御魔法を同時に張ってくれたから、辛うじて【死】の直前で踏みとどまることができたのだ。デスシムの仕様を知り尽くしたクリエイターだからこその技だと言えるだろう。


 そのクリエイターも、既に最初のうちのような無駄口を叩く余裕は無くなっていた。


・・・

 

 これまでのトライで、冷却系魔法の中では【絶対零度氷棺】が最もこのチャレンジには適していることが分かった。

 攻撃魔法としての威力や持続力は【堕天冥王監獄縛】や【血涙凍結悔恨裂波】に劣るが、冷却以外の【呪】や【縛】の効果が混ざっていない【絶対零度氷棺】は、その効果領域に留まっていてもHPなどへのダメージが少ない。

 そのため、中心部へ近づくほどに、安全な温度領域を調節することが難しかった他の冷却魔法よりも、確実に安全領域は広く、熱に焼かれることなく潜行することが可能となったのだ。持続時間の短さから回数は多く詠唱しなおさなければならないのが難点だが。


 2度目の失敗では大きく南側へと弾き飛ばされ、ビュート・ベルゼの待つ位置まで戻るのに大きく迂回しなければならなかったジウとクリエイターは、ちょうど3度目のトライに失敗した左端とフーのチームと顔を合わせて、互いに情報交換をした。


 「南側と北側は、もの凄いジェットが吹き出している。あれは熱的な効果だけでなく、磁力線による影響もあるのかもしれないな…そっちはどうだね?左端君」

 「MPとHPの回復薬を融通してくれませんか?…手持ちのアイテムを使い果たしてしまったんです。それと…余裕があるならフーに治癒魔法を。俺は…大丈夫ですが…彼女はかなりのダメージを負ってしまっている…」

 「申し訳ありません…回復薬の手持ちは…こちらも底をついています。クリエイター…ジュウソかソウジに…持ってきてもらうよう依頼してもよろしいですか?」

 「そうだな。システム側の仕事に協力してもらっているんだ、そのぐらいは許されるだろう…で、突入のコツとしては、最初に持続時間が長く威力の高い魔法で一気に距離を稼いで…中心部付近では【絶対零度氷棺】を根気よく繰り返す…でどうかな?」


・・・

 

 クリエイターは、左端の自尊心を傷つけないように、頭ごなしに指示するのではなく、相談するような口調で、自分たちの辿り着いた攻略法を伝える。

 しかし、左端たちも同じ結論に辿り着いていたようで…


 「そうですね。俺も、その方法が良いと思います。…が、一つ質問しても?」

 「なにかね?」

 「南側と北側はジェットが噴出していて…そちら方向からの突入は無理だと改めて確認できたようですが、西側…極低温側は?」


 ブブには、この超高温側から危機的現象の足止めをしないとならない理由がある。

 彼の領土の一つである小さな集落が…ギリギリ高熱領域からは外れた東側に存在するため、何としてもこれ以上の危機的現象の侵攻を防がなければならないのだ。

 ブブがどうやって、あの熱的現象の足を止めることができたのか未だに確認できていないが、ビュート・ベルゼに確認したところ…彼らにも足止めが出来た理由は良く分からないのだという。

 ひょっとしたら…ブブのアタックと同時に、偶然に停止したのかもしれない。

 つまり、現象が侵攻を止めた理由は他にあって、彼らのアプローチにはあまり意味が無いという可能性もあるのだが…少なくともブブには、行動を止めてそれを確認するという選択肢は無い。仮定を確認するために、集落を犠牲にするような真似は出来ない。


 だが、今、左端が指摘したように、クリエイターや左端たちには東側、つまりこの超高熱領域側からアプローチしなければならない制約は無いはずだ。

 極低温は、常温との温度差だけを考えれば超高熱側より落差が少なく、楽に思える。


・・・

 

 極めてアバウトに表現しても、超高熱は数千度…中心部はひょっとすると数万度に達するかもしれない…そういうスケールの脅威だ。

 しかし、極低温側は、このデスシム世界が現実世界と同じ物理法則を採用しているのならば…どれだけ冷却しようと、その限界は摂氏にして-273.15 ℃。

 桁数からして違うのだ。

 単純に考えすぎているのかもしれないが、超高熱に比べれば、ずっとアプローチが容易なのではないだろうか?


 「極低温側から…攻めてみたらどうか?…そう言いたいんだよね。左端君。でも、君もそうしない理由が分かっているから、超高温側からのアプローチに従っているんじゃないのかね?」

 「…俺の…俺とフーの扱える高熱系の魔法には…冷却系ほどに微妙なコントロールが可能なものはありません…。持続時間も…一瞬のものばかりです」


 そう。極低温を打ち消すためには、高熱系の魔法をぶつけるしかない。

 しかし、高熱系魔法の多くは、その威力の大きさから通常は持続させる必要も無いし、持続させれば周囲や自分にまで熱的被害が及んでしまうため、一瞬で効果が終了するものがほとんどだ。

 貫通力…という意味ではネフィリムの光撃のようなビームやレーザー系の魔法が有効かもしれないが、乱気流の影響で狙いを定めることも難しく、空気や温度の不連続層が複雑に存在する状況では、光が屈折や拡散をしてしまって効果が見込めない。


 「私もね…君と同じ理由で、丁度具合の良い高熱系魔法を習得していないんだよ」


・・・

 

 ジウも「私もです」…と、申し訳なさそうに頭を下げる。


 「いっそのこと…ミニ・ブラックホールでも生成して中心部に投げ込んでみるか?」


 冗談のような口調でクリエイターが言う。

 物理学的に有意な温度上限であるプランク温度を超えて、エネルギーを1点に集中させることができれば…ブラックホールを生成できる…という噂は昔からまことしやかに話題に上る。少なくとも地球をその質量を保ったまま数ミリの大きさに閉じ込めるという方法よりは現実的に聞こえるので、クリエイターが言っているのは超高熱系の魔法を大人数で1点へと重ねがけでもしてプランク温度を超えた特異領域を生みだそうとでも言う意味だろう。

 クリエイターが言うと冗談に聞こえないが、そんなコトは無理だ…と左端は思う。


 仮に出来たとして…そのミニ・ブラックホールをどう制御すると言うのだ?

 地球質量の場合は良く9ミリがシュバルツシルド半径だと考えられているから、取りあえずそれより十分大きな距離を取って生成すれば、いきなり高重力に捉えられてブラックホールに呑み込まれる…ということは無いだろう。

 それより心配なのは、重力バランスが極端に偏ることによる潮汐力が、この世界を破壊しかねないということ。

 いや。その問題を何とか回避したとしても、ブラックホールの重力に巻き込まれながら落ち込んでいく物質が強力な摩擦などによりX線などを激しく放射し、ブラックホールを見た者は目や体組織を射貫かれ、あっと言う間に致命傷を受けてしまうだろう。

 ブラックホールは見えない…のではなく、見てはいけないのだ。目が潰れるから。


・・・

 

 「冗談はさておき…私が知る限り、超高熱の魔法を長時間…という条件を満たせるのは…ユノ君の得意とする【七芒攻炎壁しちぼうこうえんへき】か…慈雨君が『はじまりの町』の領土争奪戦で見せた攻性防壁【十三芒要塞トリスカイデカゴン】…ぐらい…かな?…今、思いつくのは…」


 やはりミニ・ブラックホールというのは冗談のようで、左端はホッと胸を撫で下ろす。

 クリエイターが言うと、冗談も冗談に聞こえないから心臓に悪いのだ。

 ちなみに【十三芒要塞】自体は高熱系の魔法ではないが、強力な攻性防壁であるこの防御魔法を極低温領域の内部に生み出せば…必然的に外部の低温に対抗しうる超高熱防壁を展開することが期待される。


 「…どちらも、何度要請したとしても、ここには来ないでしょうね…」


 常日頃、彼女たちとへの連絡要員を努めているジウが、二人の性格や現在の状況を思い浮かべて溜め息をつく。

 しかし、そんなジウを複雑な表情で眺めた後、左端は…もしかしたら…と前置きをした上で自分のアイデアを語り始めた。


 「…ユノ君なら…。俺には…俺には無理ですが、ここへ呼べるかもしれません…」


 矛盾したような左端の発言。無理だが…呼べる?…クリエイターは眉根を寄せて、その疑問を無言で表情に表す。

 ジウやフーも、左端の言葉を反芻しながら、そろって首を傾げている。


・・・

 

 別に焦らす必要もつもりも無い左端は、その疑問にすぐに答える。


 「…俺に任せて貰えますか?…いや。ちょっと、人伝に頼むだけです。彼女の力があれば、この世界が崩壊せずに済む…と教えてやれば、奴はきっと積極的に彼女の説得に当たるでしょう。どんな論法を使うかは予想できませんが…そう言う意味では奴は天才ですからね」

 「…そんな、積極的にこの世界を守ろうという意思があるなら、そのPCにも是非、ここへ来て我々を手伝って欲しいものだな」

 「いや…。奴は、絶対にここには…戻って来ませんよ。そういう奴ですから。だが、他人を…自分の意図どおりに動かすのは上手い。ユノ君には気の毒ですが、奴の手の平の上で踊ってもらいましょう。恨みは後で俺が一手に引き受けます」


 フーは今の言葉で、左端が誰に依頼するつもりなのかを理解した。

 ジウも何となく想像がつき、黙って頷く。

 クリエイターは結果さえ良い方向へ向かうなら、別に誰が動こうと構わない…というスタンスでそれ以上追求するのを止めて、話を先へ進める。


 「さて。左端君のプランには期待するとしても、結果がでるまで黙って待っているわけにも行かないな。私とジウは、卑怯なようで申し訳ないが回復コマンドを使わせてもらって…もう一度、高熱側からのアプローチを試みてみよう。左君たちは、ジュウソが回復薬を持ってくるまで、ここで治癒に専念するといい…」


 そして、疲弊した左端とフーをその場に残し、ジウたちは3度目のトライに望んだ。


・・・

 

 超高熱領域での景色は、ある意味単調だ。

 様々な波長領域の電磁波が渦巻き、視覚センサーを焼こうとするため、フィルター越しにしか見ることができない。

 あらゆる感覚センサーが正常な値を返さず、仮想世界において「勘に頼る」などという原始的な方法でしか中心部を目指すことができない。

 だからジウは、左端たちとの会話のことを脳裏で思い出しながら、ひたすらに【絶対零度氷棺】の展開と維持に努めていた。


 「…素朴な疑問…ですが、こんな高エネルギーの坩堝のような中で、中心部まで辿り着いても、肝心の中心部を観測することなんか無理なんじゃないでしょうか?」

 「ん?…おぅ。ジウ…まだ、そんな無駄口を叩く元気があったか。思ったよりタフなんだなお前も…。だが、よく考えて見ろ。ジウ。本物の太陽じゃあるまいし、この高熱の発生源までもが…超高熱で燃えている…ってことは無いだろう?」

 「あ…ぁ。そうですね。それ自体が燃えたり、熱核反応のような状態にあるなら…もう、とっくの昔に燃え尽きてしまっているハズですよね…」

 「その通り。しかも、逆サイドは極低温…だなどという異常な現象だ。あのジェットにさえ掴まらなければ、短時間なら極低温側へ抜け出て中心部の正体を確認できるかもしれない。私が狙っているのは、そのジェットに吹き飛ばされないポイントだ」


 もし、この現象が、行方不明となっているマックスの能力の暴走によるものならば、マックスの股下辺りを潜り抜けることで、それが可能なハズだ。


 「…あの。思いつきですが、現象の真上から重力に任せて落下するというのは…」


・・・

 

 「あのなぁ…。南北へのジェットは、扇状に上空へも吹き出しているに決まっているだろう。特に熱圏側は激しい上昇気流も吹き荒れていて、侵入は不可能だ」

 「で、では…それを少しだけ極低温側の方へズラしてやって落下すれば?…」

 「だから…あの強力なジェットの役目は、超高熱と極低温の熱領域が、互いに直接干渉し合わないように…自然と生まれた空気の断熱層なんだ。ジェットを避けた極低温側は、熱の中和の恩恵なんかは期待できず、結局は極低温に対抗する高熱系の魔法をコントロールできなければ…命取りになるんだよ」


 クリエイター自身も、同じ事は検討したのだろう。

 ジウの提案は、悉く却下される。

 今は、とにかくこの中心部に向けて放った【絶対零度氷棺】の冷却効果に包まれながら、ひたすら進むより他に方法はないようだった。


 「…駄目だな…」


 黙り込んだジウの耳に、クリエイターの残念そうな呟きが聞こえた。


 「今のMPの残量からすると、もう引き返さなければ…帰れなくなる」

 「も、もう少しで中心部です…な、何とか持ちこたえれば…」

 「無理だ…戻って、他の方法を冷静に検討しなおした方が良い…」

 「く、クリエイターだけでも戻ってください…。私が、アスタロトさんに教えてもらったチューブ・ライブ機能による通信で、映像だけでもクリエイターにお届けしますから…お願いです。それで、この世界を救う方法を分析してください…」


・・・

 

 確かに、ここから引き返すだけなら、クリエイター一人の魔力でも十分に帰還が果たせる。いや。むしろジウを置き去りにしたほうが楽に帰ることができるだろう。

 中心からの輻射圧のため、進む方が戻るより何倍もエネルギーを必要とするのだ。

 だから、二人でなければ中心を目指せない…が、進むのを諦めれば、今、この地点からであれば一人分の魔法でも帰ることができる。


 「駄目だ、ジウ。お前をここで失うわけにはいかない。そんなコトをしたら、アスタロトくんに何と言われるか…。それに、私としても、優秀な右腕を失いたくはない」

 「く、クリエイター…」

 「今回のトライを失敗したからと言って、もう後がない…というワケでは無い。極めて困難な状況であることには間違いないが…私は、左端君やジーパン君の頑張りを信じる。そして…ユノ君も、きっと応援にきてくれる…と」

 「…あと、少しなのに…」

 「くどい。最良の選択でないものは採用できん。ほら。お前の【絶対零度氷棺】の持続時間が…もう切れるところだ。帰るぞ!」


 クリエイターは、ジウを抱きかかえるようにして離脱するために外側に向けて【絶対零度氷棺】を展開する。

 MPには十分帰れるだけの余裕があるが、熱と低温…そして電磁波や放射線によるダメージでHPは大きく削られ、その他のステータスも実は限界に近かったのだ。

 あのまま無理をしても、間違いなく【死】に至ることは確実だった。


 世界を救うために頑張っているのであって、死ぬためではないのだ。


・・・

 

 ボロボロになりながら、何とかビュート・ベルゼの待つ地点まで帰り着くジウとクリエイター。

 荒い息をつきながら顔を上げると、そこにはまだ左端とフーがいた。

 アレから十分に時間が経過しているが、ジュウソたちの回復薬はまだ届いていないのだろうか?

 クリエイターが問いかけるより早く、左端とフーが、クリエイターとジウのそれぞれに回復魔法をかけてくれる。そして、大量の回復薬と治癒薬が各種取りそろえられたピルケースを差し出し、二人に渡す。


 「俺たちの分は、既に受け取りました。それは、アナタたちの分です。このベルトで腰や背中などにケースを固定することができるそうです」


 左端が、ジュウソから伝えられたピルケースの使用法を伝える。

 配達を終えたジュウソは、既に別の任務の為にこの空域を離脱したという。


 「そうか。ありがとう。私たちにこれを渡すために、君たちは待っていてくれた…ということか?」

 「…それだけなら、ビュート・ベルゼに頼めば良いことです。俺とフーが、ここで待機していたのは…」


 その発言を遮るように、突然、賑やかな声が聞こえてきた。


 「ひゃっはぁ~!…オイコラっ!…10万CP払えや…オッサン!逃げんなよ!」


・・・

 

 「ヴィア…うるさいよ。僕はさすがにヘトヘトなんだ。静かにしてくれ…」

 「何言ってやがるジーパン。早く賞金、賞金を要求しないと、あのオッサンたち、直ぐにまた無駄なダイブをしかねないんだぜ?…見ろよ、あの悲愴な顔。どうせ、また失敗して逃げ帰ってきたのよ。ウケるね~ひゃっは!」


 異様にテンションの高いヴィアと、ボロボロになって口数少ないジーパン。

 どちらがTOP19なのか勘違いしそうな状態だが…


 「賞金…?…あぁ…10万CPって約束をしたな。…ん?…ということは、まさか…君たちが中心部の確認に成功したということかね?」

 「まさか…ジーパンさん…と、ヴィアさんが?」

 「失礼だな。オイ。俺等が一番格下だって舐めてんじゃねぇぞ?」

 「ヴィア。ビュート・ベルゼの助けがあっての勝利なんだ。あんまり調子に乗ると、反則だとかって難癖をつけられかねないぞ。僕は知らないからな…」


 ジーパンの馬鹿正直な呟きに、クリエイターは「あぁ…なるほど」と理解した。

 最初からあまり期待していなかったが、ヴィアはともかくジーパンの魔法能力では、勝負どころか、高熱領域へ突入することなど出来るハズがないのだ。しかし、本人たちが、せっかく協力を申し出ているのに無碍に断るワケにもいかず、好きなようにさせていたのであるが…ビュート・ベルゼの助力があったなら…彼らが勝利しても不思議ではない。


 「反則…かもしれないが。良いだろう。10万CPを支払おう。ただし、本当にこの現象の原因を突き止めてきた…と言うのならな」


・・・

 

 「本当だぜ。本当!…証拠もちゃんとある。何ってったってしっかり映像を記録してきたからな。システム宛のショートメッセージに映像を添付しておいたから、そっち経由で確認するんだな…驚くなよ。でっかい穴ボコを見てよぅ…」

 「でも。あんな穴があるってことが分かったからって…現象の解決に繋がるのかな?僕は、ちょっと…アレを見て…途方にくれてしまったんだけど…」

 「「…穴!?…」」


 驚きにクリエイターとジウの声が重なる。

 クリエイターの予想では、そこにはTOP19の一人、マックスが暴走状態で存在するハズでは無かったか…

 何かの間違いではないか…とジウは怪訝そうに訊き返すが、意外にもクリエイターは、それほど驚いた様子が無い。


 「穴?」

 「…穴…か。やはり…マックス君の能力の暴走程度では…アレだけの規模の現象は起こせない…とは思っていたが…穴…ね」


 そう言ったきり、考え込むように黙り込むクリエイター。

 原因を探る…という第1段階の目的は達したが、この現象を解消するという最終目的は、むしろ遠のいたような気がする。


 しかし…穴が原因だとすると…当初は移動していた…という事実が上手く説明できなくなるが…。最初は穴でなかったものが…穴になったから停止したのだろうか?


・・・

・・・

 

 所在地不詳


 隠れ里の山小屋の一室


 (システム管理領域外)


・・・

 

 「…悪趣味だな…何が目的なんだ?…君は…」


 溜め息をつくようなトーンで、ユノは突然の闖入者へと問い質す。

 この場所へ、易々と転移により侵入するのは自分と同等の魔法能力を有していなければ難しいハズだ。

 しかも、その闖入者は、何も語ろうとはせず…ただ、明確な殺気だけを漲らせてユノを睨みつけている。


 その闖入者の姿は、一言で説明すれば「女魔導師」。

 黒い如何にも…といったローブを身に纏い、美しい顔に似合わぬ鋭い視線でユノと対峙している。

 その一度みたら忘れられないほどの格好良さを備えた美しい姿は、「はじまりの町」の領土争奪戦を観戦した者なら、直ぐにそれがその時戦ったうちの一人、マボ…であると分かっただろう。


 ユノは、明らかに敵意を持って対峙するマボを、協議会への出席以降ずっと装着したままのアイマスク越しに、冷たい視線で睨み返す。

 如何にも魔導師といったマボの装いに対し、ユノは、ファッション系サイトのトップ画面からから飛び出してきたようなスタイルの良い体に、チャイナドレス風の衣服を纏っている。


 二人の共通点といえば、それぞれの衣装を内側から猛烈に押し上げている豊かな胸。

 そして艶やかな美しい黒髪。


・・・

 

 仕掛けたのはやはり闖入した側のマボから。

 無言で法印を結んだ右腕を振り下ろす。

 部屋の天井を突き抜けて降り注ぐ、何本もの光の矢。


 それを平然と上げた左腕で防ぐユノ。

 マボが手を振り下ろすのと同じタイミングで振り上げられたその左腕を中心として、同じく手印魔法による防御場が展開されている。

 単なる【円環サークル】に過ぎないが、ユノのレベルになれば非常に強固な防御力を発揮する。


 まるで、アスタロトとの領土争奪戦の序盤戦と同じように、マボは法印を結んだ手を上下に、そして左右に…時には斜めに振り下す。

 そして、その度に、ユノへと向かって炎のヘビが襲いかかり、真空の鎌が切り刻もうと飛び交い…いかずちが唸りを上げて落ちてくる。


 逃げ場の少ない小部屋の中。

 連続した攻撃に、壁が崩れ、天井が落ち、辺りに白い粉埃が舞う。

 その白いもやのような埃が収まると、いつの間にか芒星魔術による防御魔法【六防陣(りくぼうじん)】に包まれたユノが、何事もなく立っている。


 マスクの下に覗く口元を、獰猛な笑みの形に歪めて、ユノが笑う。

 お返しとばかりに放たれたのは、マボの使ったのと全く同じ、無数の光の矢、炎のヘビ、真空の鎌…そして、トドメとばかりの雷撃。


・・・

 

 再びの激しい攻撃魔法の連続に、ついに小屋の天井は完全に抜け落ち、壁もほとんどが倒壊してしまう。外は、夕焼け。間も無く夜を迎えようとする山里。

 埃の靄が風に現れると、その瓦礫の中に、先ほどのユノと同様に不敵な笑みを浮かべるマボが、まるで向かい合う鏡のようにソックリに【六防陣】を展開している。


 全くの互角。


 片やTOP19の一人として選ばれているユノ。

 それに対して、一歩も引けを取っていないように見えるマボ。


 「何のつもりか知らないが…。私を甘く見るなよ?…本当に君が私と互角だと言いたいのなら…次の技も受け止めることができるんだよな?」


      【金の贄は天に。銀の贄は地に…】


 ユノが、遂に詠唱が必要なレベルの驚異的な威力を秘めた魔法を選択する。

 その呪文を耳にしたマボは、ニヤリ…と笑って追従する。


      【金の贄は天に。銀の贄は地に。背きし汝を悔やめ…】


 同じ魔法を互いにぶつけ合おうというのか…マボが、それより早く詠唱する。

 このレベルの魔法を操れる者は、デスシムの中でも本当に少数のハズだ。

 ユノは、意外さに一瞬、詠唱を止める。…対するマボは、そのまま第2節目を詠唱…。


・・・

 

     【メテオ・エンジェル・フォールダウン!】


 ユノよりも先に第2節目を詠唱し終え、アドバンテージを確信したのか、マボが美しい顔には不似合いな邪悪な表情で笑う。

 自分の不利を覚ったユノは、「ちっ」…と、舌打ちをするが、もう間に合わない。


 マボが勝ち誇ったように、第3節目を唱える。


     【堕星天使獄だせいてんしごく!】


 夕焼けを塗りつぶして、一瞬にして夜空へと変じた空。

 その中心の虚空から…這い出るように現れる巨大な隕石。

 詠唱途中の魔法を途中でキャンセルし、別の魔法を唱えることは出来ないハズだ。

 詠唱完了から、魔法の破壊効果が発動するまでにタイムラグがあるのが【堕星天使獄】の難点ではあるが、発動してしまえば、その威力は絶大だ。

 隕石に直接押しつぶされれば大きなダメージを負うのは間違いなく、間一髪それを回避しても、砕け散った隕石の欠片が相手を機関銃の乱射のような勢いで遅う。


 …が。ユノの口元には笑み。そして、その美しい唇が…紡ぐのは…


     【…光に背きし者は、光の速さで堕ちよ】


 予想外の第一節目の後段。そのマボが知らない句だった。戸惑う…マボ。


・・・

 

 既に虚空から完全に姿を現し終わろうとしている巨大な隕石。

 戸惑いながらも、マボは再び自らの勝利を確信する。


 「悪あがき?…でも、もう遅い…」


 ユノが先ほど展開した【六芒陣】はまだ発動したままなので、命を落とすことは無いとしても、再びマボに対峙することは出来なくなるだろう。

 だが、慌てることなく、ユノは第2節、そして第3節を流れるように詠唱する。


     【ルーキフェルズ・ソーラー・レイ・ランス】

     【堕天暁光子槍だてんぎょうこうしそう!】


 虚空の闇の奥底を引き裂くような鮮烈な光。

 既に落下を始めた【堕星天使獄】の巨大隕石は、重力加速度に従って猛烈な加速で落下してくるが、堕した天使のイメージを核にしているとはいえ…光の速さで堕ちるその槍の速度には敵わない。


 薙ぎ払うような光に一瞬で焼き砕かれる隕石。

 バラバラと破片がもの凄い勢いで降ってくるが、それはユノの上だけではなくマボの上にも等しく降り注ぐ。


 辛うじて【六芒陣】のお陰で破片からのダメージを防いだマボだが、破片が全て振り終わると…信じられない…と言った表情でユノの方を見る。


・・・

 

 だが、同じく降りかかる破片に身を竦めていたハズのユノは、マボの視線をマスクの下の美しい瞳で不敵に受け止めて、好戦的で凄絶な笑みを浮かべている。


 「なかなか…な、ものだよ。十分に自慢しても良いレベルだ。それだけの魔法が使えるのなら…他に力の役立てようがあるだろうに…」


 言葉の途中で、ユノの表情は一瞬固まり、そして自虐的な笑みへと変わる。


 「…と、偉そうに人に言えた義理ではないか…」


 そして、その苛立ちをぶつけるように、マボに向かって言い放つ。


 「君の下手くそな幻影など…お見通し…だが、そんな君に乗せられた自分が不愉快だ…腹いせに憂さ晴らしをさせてもらうぞ。この技も出来ると言うのなら、真似して見るが良い!」


     【攻め滅ぼせ!七つのつの…】


 言い終わるや否や詠唱したのは、数字を含む句を持つ第1節目。芒星魔術の一つ。


     【…ヘプタグラム・オフェンス・ファイアウォール…】


 七芒星の破魔の力を炎に変えた…強力な攻撃魔法。


・・・

 

 マボが領土争奪戦で、アスタロトに向けて放った…恐ろしいあの技。

 しかし、先ほどとは違い、マボは使えるはずのその同じ魔法を詠唱しようとはしない。


 ユノの詠唱が、後からの詠唱を許さないほど高速に唱えられたということも理由かもしれないが…

 マボは、慌てて左右の腕を万歳の形に上げて…バタバタと振る。


 「…ま、待った。降参。降参だよ。この通り。お手上げだ…」

 「ふん。さすがに【七芒攻炎壁しちぼうこうえんへき】までは習得していないか?…残念だったな」

 「ば、馬鹿…ばかばかばか…。そこで、魔法名を…第3節目を口にしたら!」

 「…?…あ!?」


 ユノは既に、第1節と第2節の詠唱を終えている。魔力は後、続く第3節目の詠唱を待つばかりの状態に膨れ上がっていた…。

 そのタイミングで、突然、降参の意思表示をしたマボに、ユノは毒気を抜かれ…思わず口走った台詞の中で…無意識に魔法名を口にしてしまっていた。


 夕闇に戻っていた山里の空に、炎の壁がぐんぐんと伸び上がりそびえ立つ。

 一度発動した【七芒攻炎壁】はターゲットを燃やし尽くすまでは決して消えることがない。悲鳴を上げて逃げ惑うマボを、あっと言う間に押し包み…燃やし尽くそうとする。


 「こ、こ、こんな馬鹿げたことで、死ねるかぁ!…な、何とかしろ、ユノ!!」


・・・

 

 とても美しいマボの口から出るとは思えない、汚く太い声による必死の叫び声。

 もう、相手が誰だかは、確認するまでもない。

 ユノは、このまま燃やし尽くしてしまおう…と、一瞬考えたが、それでは【コロシアイ】を憎むアスタロトに嫌われてしまうかもしれない。


 「やれやれ…仕方ないな…」


 ユノは、腰に手をあてて溜め息を一つつくと、素早く【七芒攻炎壁】を打ち消す魔法を発動する。十分なMPさえ残っていれば、魔法の発動者からのキャンセルだけは有効に働くのだ。

 領土争奪戦でマボがアスタロトを焼いてしまったのは、マボがそれまでの闘いでMPを使い果たしてしまっていたからだった。

 今のユノも、いくつかの手印魔法の他に、先ほどの【堕天暁光子槍】と【七芒攻炎壁】を連発したためMPの残量はギリギリの状態だったが、何とかマボが致命傷を負う前には【七芒攻炎壁】のキャンセルに成功した。


 炎の消えた跡には、消し炭のようにボロボロになったマボ…ではなく…


 「…どうして、こんな手の込んだことを?」

 「私は…絶対に死にたくないんです。ですが…私は、今回の危機を何とかできるような器ではありません…残念ながら」

 「あの【堕星天使獄】は、なかなかなモノだったがな?…」

 「…でも、私にはアレが限界です。ユノさん。アナタのようには…なれません」


・・・

 

 「普通に…頼みにくることは出来ないのか?…君は。協議会の時も、私を脅迫するような事を言って無理矢理…」

 「助けてくれてと土下座して頭を下げたら、アナタは立ち上がってくれましたか?」


 ユノの言葉を遮って、叫ぶ消し炭。

 叫んだ時に、肺に負った熱傷が障ったのだろう、苦痛に顔をしかめる。

 ユノは見かねて、治癒魔法と回復魔法を重ねがけしてやる。


 「ふん。ひねくれてるな…君は。常に。でも、確かに…臆病な私は…【死】を恐れて…君の依頼を拒否しただろうな」

 「【死】を恐れるのは私も同じ。いや。全てのTOP19が同じだと言って良いでしょう。だから、ユノさんを軽蔑する者は誰もいない。私などは、アナタ以上に臆病ですしね。…でも、この世界がもしも崩壊し…終わってしまうようなことがあれば…それは【死】と同じだとは思いませんか?」

 「ふ…。言っていることは理解できるが…私はね、君たちとは違って、純粋に【死】という未知の痛みを伴うプロセスが怖いだけなんだよ。だから、自分の意思ではどうにもならない災厄で、結果としてこの世界での【死】を迎えるのなら…それは、私にとっては返って救いなのかもしれない…そう思っているのさ」


 ユノの言葉は、本心であり…しかし、自分でも気づかぬところで嘘だった。


 「…気づいていないのですか?…アナタは。それは、アスタロト君との離別を意味するのですよ?」


・・・

 

 消し炭からの指摘に、ユノの表情が一瞬消える。

 だが、首を左右に振ってユノは反論する。


 「彼には…正直…少なからぬ好意を抱いている。だが…どのみち現実では名も知らぬ赤の他人だよ。この世界が終わってしまって…逢えなくなるというなら諦めもつく…」

 「彼は…諦めたりはしていませんよ?」

 「…え?」


 思わぬ消し炭の言葉に、ユノの心に隙間が開く。

 その隙間に、必死の思いで消し炭は言葉をぶつけていく。


 「今、彼は…クリエイターからのペナルティを受けて、HPもMPも初期値へと…全くの初心者状態へと戻されてしまっています。それこそ、マッドスライムの一撃でも命を落としてしまうような状態に…」

 「…なんだと?…そ、そんな事…」

 「嘘だと思うならジウにでも、クリエイターにでも確認すると良いでしょう。…しかし、そんな状態でありながらも、彼は、この世界を救おうと必死に頑張っています」

 「む、無茶な…それこそ…自殺行為じゃないか…」

 「今は、彼のGOTOSの慈雨さんとイシュタ・ルーさんが、必死に彼の行動を押さえて…『はじまりの町』庁舎に閉じ込めていますが…このまま、クリエイターたちの手にも今回の危機が負えない…となれば、彼は必ず立ち上がります」

 「くっ…た、確かに…」

 「アナタは…そんな彼を、見殺しにしても平気なのですか?」


・・・

 

 アスタロトは馬鹿だ。

 クリエイターやジウの手にも負えないのなら、最弱のアスタロトが何を頑張ろうと全くの無意味だというのに…。

 ユノの揺れ動く瞳を、消し炭は睨みつけて吠える。


 「そんな最弱の彼が、自分の【死】よりも恐れているものが何なのか…アナタに分からないハズがないでしょう。アナタは…守るべき人に、守られて…何もせずに失ってしまっても良いというのですか?」

 「わ…私は…そ、そんな…」

 「アナタには、力がある。ある魔法領域においてはクリエイターの技能をも凌ぐほどの。それはクリエイターですら認めているんです。それなのに、その力を持つアナタが、最弱の彼に守られて…こんな所で…何をしているんですか!?」


 ついに…ユノの揺れ動く黒い瞳から、涙があふれ出る。

 指摘されるまでもなく、自分でも分かってはいたのだ。

 こんな時に使わずして、何の為に自分は魔法を極めてきたのか?


 ジュピテルに強制されて、弱き者たちを虐げるためか?…いや、違う!断じて違う。

 では、領土争奪戦を仕掛けて強敵と【コロシアウ】ための力か?…それも違う!


 「私の力は…仲間を…いや…愛する人を守るための力だ…」


 過去のことは…償えないとしても…これからは、そうあるべきなのだ。


・・・

 

 ユノの心は…今、ここに定まった。

 他人の訪れぬ山里に隠れて、悶々と考え続けていた自分への答えを…今、見つけたのだ。


 「君のことは嫌いだが…。今回だけは、礼を言おう」


 ユノは、壊滅的に破壊されてしまった山小屋を寂しそうに見回し…微笑む。

 もう、ここは自分には必要ないのだ。…そう言い聞かせて。


 「私は、行こう。君も、もし傷が癒えたら…来るが良い…共に戦おう」


 そう言って、ユノは一瞬の後に転移する。

 見事な転移魔法で、空間の揺らぎも、全く僅かにしか生じない…。

 それを横たわったまま見送った消し炭は、ミッションを無事成功させて微笑む。


 「…く。魔女め…。全く恐ろしい女だ」


 そして、最後にかけられた言葉を反芻する。「…共に戦おう」…と。


 「ゴメンだね。私は、自分が生き残る可能性が少しでも高い選択を選ぶ。魔女の参戦で、その可能性が格段に上がったんだ。誰が死地へと好んで向かうものか…。あぁ…黙って聞いていれば…何と気持ち悪い事をベラベラと…『愛する人を守る力』…だと?ははは…」


 狂ったように笑い出す…消し炭…ベリアル。だが、笑い過ぎて苦しそうにしても、彼の目に涙が流れることは無かった。


・・・

次回、今度こそ「総力戦…(仮題)」へ続く?

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