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『無題』なRPG  作者: 壊箱
第1章【冒険開始?】
9/10

第1章3話

時間が……足りないです

「これで最後の質問だよ。あんた、なんで(うち)の前で倒れてたんだい?」

【適当に以下略】

 

 面倒だからって手を抜くな。


「宿屋に入ろうとしたら、足が滑って、後頭部を打って気を失った」

「ああ、だからあんた大きなたんこぶができてたんだね。あんた、ドジなんだねぇ」


 本当は殴られたんだけどな、たぶん。

 さてと、質問はもう無いようだし、そろそろ外に出てみるか。せっかくゲームの中にいるんだから、町見て回ったり、フィールドに出て魔物と戦ったりしたいからな。戦えるのかどうかはわからんが。


「じゃあ、世話になったな」


 俺はドアを開け、外に出――


「ちょっと待ちな。出て行くなら10日分の宿代払ってからにしておくれ」

「……え?」

「だから、宿代。本当はあんたの看病にかかった金も請求したいところだけど、今回は10日間の宿代、1000円だけでいいよ。あんた旅人なんだからお金ぐらい持っているだろ?」

「……」


 10日間で1000円、つまり1日で100円か。随分と安いな。

 いや、この世界での1円と、俺の世界の1円では、価値が違うと考えたほうが正しいか。

 それ以前に、この世界のお金の単位は円なのか。いや~、初めて知ったな~、わっはっはっはっは――


「……」

「……」

「……もしかしてあんた、お金持ってないのかい?」

「…………………………………………………(汗)」


~10日後~


【さて この世界にきて はや10日 どうです? 冒険のほうは】

「1回たりとも宿屋から出られなかったこと知ってんだろ畜生(ちくしょう)!!」


 1000円払うのに、10日間無休で働かされた。つまり日給100円!1日3食食事付きだったが、バイト代安すぎじゃないか?

 いや、この世界での1円と以下略。

 とにかく、10日間の労働を終えた俺は、ついに宿屋を出ることができた。

 外に出ると、やはり城下町なだけあって、あちこちで(にぎ)わいの声がする。窓から外を見たときと同じように多くの人が歩いて、さっき出した大きな声のせいで、周りの人の視線が痛い。


「さてと、これからどうすればい――」

【チュートリアルを開始します】

「最後まで言わせてはくれませんか!?」

【却下です】


 またこのパターンですか、そうですか。

 まあ、チュートリアルはかなり重要だし、後にでも聞けばいいか。


【ここはゲームの世界です あなたの居た世界とは違います そこは理解していますね?】

「ああ」

【なので あなたにとっては常識なことが この世界では通用しないことがあります 注意してください】


 まあ、当り前か。10日間ほぼ休憩なしで働かされたんだ。本来なら(たぶん)アウトだろう。ゲームの世界にいるんだし、それくらいは何となく理解していた。


【また この世界にいるほぼ(・・)全て(・・)()たち(・・)は プログラムで構築されています 決められた1つのセリフしかしゃべれない などという事はありませんが プログラムの範囲内の行動しかできません】

「……どういうことだ?」

【例えば あなたがある人にお金のついて(たず)ねたとき もしその人にお金に関するプログラムが入ってなかった場合 知らないと答えます もしも入っている場合 自分のプログラムの範囲内で答えてくれます】

「何て話しかけても、『ようこそ!!』しか答えない、という事は起きないってことか」

【そんなところですね】


 後で少し話しかけて確かめてみるか。

 そう言えばさっき、『ほぼ全ての人たち』って言っていたよな?ほぼ(・・)?……まあいいか。そんなに意味はないだろう。


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