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『無題』なRPG  作者: 壊箱
第1章【冒険開始?】
7/10

第1章1話

 ゲームテキストの会話部分のかっこの形を『』から【】に変えました。投稿済みの部分についても、随時変えて、再投稿します。 

 気がつくと、俺はベッドの上にいた。後頭部にまだ鈍い痛みがあるが、他の所には問題なく、少し体が重いと思うくらいだ。

 起き上がると、そこはまたも知らない場所だった。 

 壁はレンガでできていて、部屋の隅には洋服棚と化粧台、隣にはもう1つベッドがある、それだけしかないが、かなり広い部屋だった。近くにある窓からは、涼しい風が入ってきている。

 窓から外を見ると、レンガで舗装された道に、多くの人が歩いている。ここと同じくレンガで造られた家が並んでいて、中には剣や鎧の書かれた看板を掛けている家もあった。おそらく武器や防具屋なのだろう。

 真下見ると、ここは2階のようで、1階のほうから、談笑する声と、おいしそうなにおいがここまで届いてくる。

 これからどうしようかと考えていると、ドアが開き、恰幅(かっぷく)のいいおばさんが部屋に入ってきた。


「おや、起きたのかい。あんた、10日間もずっと寝てたんだよ」

 

 俺は10日間も寝ていたのか。ずっと体動かしてなかったから、体が重いと感じたのか。


【やれやれ やっと起きましたか 遅いですよ】

「!!」

「どうしたんだい?そんな驚いた顔をして……もしかして顔に何か付いてるかい?」

「い、いや何でもない」

「……そうかい、じゃあ、準備ができたら1階に下りてきておくれ」

「わかった」


 そう答えると、おばさんはさっさと部屋から出て行った。

 それにしても、真っ白な空間で慣れたとは思っていたが、いきなりだと、まだこのゲームテキストの声に驚いてしまうなぁ。

 それと、さっきのおばさんには、どうやらゲームテキストの声は聞こえなかったらしい。まあ、俺の頭の中で聞こえているだけだから、当然ではあるのか。


「……で、大体の予想はついてはいるが、ここはどこなんだ?」

【……私に訊いてますか?】

「お前以外に誰かいるか?」

【いや 頭おかしくなって ひとごとでも言い始めたのかと】

「……うん、(はた)から見るとそうなんだが、それをお前が言うな!」


 一体どうしたらいいんだよ。


【ここは ハンドレッド・キングダム の城下町にある宿屋です】


 ハンドレッド・キングダム=百の王国ってとこか。……微妙だな、この名前。

 そして、なんとなく予想は付いていたが、ここはやっぱり宿屋だったか。となると、さっきのおばさんは、この宿屋の女将といったところか。


「という事は、ここは……」

【はい RPGの世界です】


 そうか、俺はついにRPGの世界に来たのか。……さっき窓から外を見たが、まだあまり実感が湧かないな。


「……ところで、まだ後頭部が痛いんだが、俺、あの真っ白な空間で殴られたのか?」

【はい それはもう 思いっ切り全力で】

「危ないな!……で、殴った理由って、もしかして、気を失わせたかっただけ?」

【Yes!】

「Yes!じゃねえよ!!」

【いや~ 毎回方法が睡魔だと ワンパターンで飽きてしまうかなと】

「そんなところに気を回さなくていい!!」

【さて そろそろ1階に下りましょう】

「おいこら、話を勝手に終わらすな!!」


 こいつ、若干ノリが軽くなってねえか?

 まだ聞きたいこと――俺を殴ったのは誰なんだ、とか聞きたかったが、とりあえず、こいつの言う通りに、下に降りてみるか。

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