表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

奇跡ってなんだろう?

作者: うさみか

小学生の頃、私はあるすごい言葉を知った

その言葉は「奇跡」という。


その日は暑かった。テレビを見ていたらあるニュースが目に止まった。

アナウンサーは「すごい! 奇跡ですね。」と言っていた。

まぁ、そのニュース自体には興味は持っていなかったが、アナウンサーが言った「奇跡」の一言に私は疑問を持った。


なぜって? それはよくみんなありえないことがあると「奇跡だ」と決まって言うけれどそれは本当なのか?と思ってしまったから。もっと具体的に言える言葉があると思ってしまったから。


そこで私は辞書で調べてみた。


きせき<奇跡> 実際に起こるとは考えられないほど不思議な出来事。


その時の私には、辞書で調べてもあまりよく分からなかった。

だいたい、不思議なことってどういう事?

そんなこと分からないじゃない!と思っていたがすぐにその事は、忘れてしまった。


私はもう二十五歳になって、夫と結婚した。

夫の名前は「あきの じゅん」


出会いは高校二年生の時だった。

彼は部活の先輩だった。別に一目惚れではない。

部活は美術部だった。

なぜ好きになったかというと、絵に惚れたから。彼が描いた絵に惚れたから。

ほんとうにその時はそれだけのことで彼を好きになった。


でも、もっと好きになったのは、文化祭に展示する絵をみんなで描いていた時だった。

彼と一緒に絵の具をかたずけていると、彼がいきなり「おれ、お前の絵好きだよ。」と言ってきた。

私は「なんで?」と問いかけると、彼は「お前の絵は、感情がこもっていて、とってもやさしい絵だから。」と言った。私は照れながら言った。「私もあきの先輩の絵、好きです。」

 

その後もいろいろあったが、私と彼は結婚することができた。

そして、今は妊娠して、予定日が近いため、入院している。


夫と話しているときだった。急に陣痛がきた。すごい痛みだった。

けれど、がんばらなくちゃと思った。

私たちの子供だって生まれてこようと必死にがんばっているのだから。

 

赤ちゃんの産声が聞こえた。

「おぎゃあ、おぎゃあ」

私たちの子供が生まれた。私はうれしさに泣いた。気がつくと夫も泣いていた。

始めて見た。夫が泣いているなんて。夫は泣きながら言った。

「おつかれさま、よくがんばったね。」

私も泣きながら言った。

「ありがとう。見守ってくれて。」


その後、私はあの日の事を思い出した。あの時、分からなかった「奇跡」。

それはきっとこういうことなんだ。と私たちの子供を見ながら思った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ