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真夏の雪  作者: Than Nen
幕開け
6/23

幕開け4

『…や』



『…ょうや』



遠くから声がする。


誰かが僕を呼んでるような…。



『…鏡也!!』



その声が一番近づいた時、僕は目を覚ました。



『西野…お前、俺の授業で寝るとは良い度胸だな!!』


『…あ!!遠野先生!!』



そのやりとりを見て、『あちゃー』と呟く男子生徒が居た。


先ほどから僕を呼んでいたのはその男子生徒のようだった。



…どうりで聞き覚えのある声だった訳だ。



『西野…、放課後グランド10週で勘弁してやる!!』


『…じゅっ…は、はい!!了解しました!!』



ここで、不満の一つでも述べてみると、罰が何倍になるか分からない。


今まで幾度と無く罰を受けてきた僕が一番知っている。



『…よろしい。では授業を再開する』



その一言で、今のやり取りで賑やかになった声も無くなり、緊張の場に包まれた。


…全く、うちのクラスは調子が良いな全く。



『鏡也』



しかしその緊張とは反対に、先ほどの男子生徒が声をかけてきた。


もちろん声のボリュームは最小限にして。



『お前、とおせんの授業で寝るとか度胸あるな!!』


『いつものことだろ??』


『カッコイイ!!』


『フッ。惚れるとヤケドするぜ!!』



なんて馬鹿なやり取りをしているのは、同じクラスの香田(こうだ)カイト。


所謂、腐れ縁というやつだ。


子供の頃からりことカイト、僕の三人で山へ行ったり川へ行ったり、遊ぶときはいつも一緒だった。


カイトが高校に入り、弱小剣道部に入るまでは毎日下校する仲だった。



『…西野、香田。二人とも放課後グラウンド20週だ』


『…に、にじゅ…は、はい!!了解しました』



そう返事するしかなかった。


まさかあんな小声で喋っていたことも分かるなんて…恐るべし、とおせんの地獄耳!!


…そのせいで、走る距離が増えてしまったわけだが…。



『なんで俺まで20週なんだよ…』そう、カイトはうな垂れていた。

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