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俺は貴様を許さん

チャイムが鳴り終わった。教室を立ち歩いている奴は誰もいない。

なぜなら、初めての魔法の授業だから。

誰だって魔法には興味を持つだろう。使いたいという意志は誰しも持っているはずだ。

無論、俺も使いたいという意志は当然ある。

白い白衣を着た男が教室へ入ってきた。この男が魔法の授業を担当している先公らしい。

この男は見たところ若い。顔は好青年で、顔は悪くないタイプだ。

左目には黒い眼帯を付けていた。一番最初にそれが目に入った。

「これから魔法の授業を始める。

 その前に、俺の自己紹介をしておく。」

若い男は緑色の黒板に、白いチョークを使い始めた。

黒板には『高山 銀斬』と書かれてあった。

「俺は高山 銀斬。24歳独身。

 魔法科担当だ。今日から貴様らの師だ」

こいつはやけに態度がでかい。生徒に自分は貴様らの師だと生意気な事を言い始めた。

少し生意気な野朗だと俺は真っ先に心の中でそう思った。

「魔法には、白魔法と、黒魔法がある。この二つの魔法の内、黒魔法は使ってはならない。

 黒魔法は悪魔と契約して使う事ができる。

 しかし、その悪魔は契約者の命を狙う。危険な魔法が黒魔法だ。

 白魔法は、己の体に潜んでいる魔力を呼び起こして使う魔法。

 貴様らが習うのは当然白魔法だ。」

そんな事はどうでもいいから、実技に入ってくれというのが俺の本音だ。

だが、魔法は上達したいのでノートはちゃんととっている俺。

高山がいきなり黒板を決して弱くはない威力で叩いた。

皆隣の席の人と顔を見合わせている。

「よく見ておけ。今から魔法を見せる」

高山の手のひらの上に白い玉ができていた。その玉は太陽の様に輝かしかった。

「これが何だか分かる奴はいるか」

高山は手のひらの上に白い玉を乗せたまま、皆に問うた。

俺は高山から興味を引いて、魔法を教えてもらいたかったので、手を上げた。

白い玉が何だかは分かっていない。だが、手をあげてしまった。

「そこの赤髪。言ってみよ」

高山の低い声に、少し心臓の鼓動を速くさせられた。

「エネルギー」

俺は自信なさげな声でそう言った。無論、適当だ。

高山は無表情で、鼻で笑った。

「馬鹿」

その一言だ。俺の発言に対する言葉は。

「あの白い玉は魔法だ」

そのまんまじゃねえかよ。誰もがそう思ったはずだ。無論、俺もそう思った。

「先生、それはどうやったんですか」

神保が高山に率直な質問をした。

「今から説明しようとしていたところだ。今説明しておこう。

 我々の体の中には魔法エネルギー、すなわち魔力が潜んでいる。

 さっきはその魔力を引き起こして、あの光の玉をつくったのだ。

 あれは、2つ利用価値がある。

 一つはただの光として使う。一つは敵にダメージを与える。

 魔法名は光弾。超初級魔法に分類される。

 上級者が使うとのと、初心者が使うのとでは大違いな力を発揮する。

 それはどの魔法も共通だ。」

皆興味心身で高山の話を聞いている。俺もその中の一人だ。

「使い方は簡単ではない。いかに初級魔法とは言えども、初心者の貴様らには難しい。

 体内の魔法エネルギーを自分の手に集中させるんだ。

 やり方はそれだけ。頑張れ。以上。

 今日はその練習だけだ。この中で3人ぐらいできただけでも上出来だな」

俺が一番でならなければならない。一番先にできないと俺のプライドが許さん。

俺はいわいる唯我独尊って奴だ。俺は今までそうやって生きてきたんだ。

ここでも一番だ。俺だけが一番。そうでなくてはならないんだ。

「先生できました」

その声を聞いて俺は信じられないとしか思わなかった。

俺よりも先に成し遂げるとは許しがたいこと。

「ほぉ、上出来だな。貴様、名をなんと言う」

そいつは、眼鏡をかけていて、いかにもガリ勉君といった感じだった。

青龍(セイリュウ) 龍馬(リュウマ)です」

ガリ勉君とは思えない名前だ。てか、かっこよすぎる名前じゃねえか。

「なかなかかっこいい名前だな。覚えておこう。

 貴様、なかなかいい筋をしているぞ」

青龍は褒められてもにこりともしない。

こいつは、皆に注目されて最高の気分に浸っているはずだ。

なのに、にこりともしやがらねえ。しかも俺より先に出来やがった。

許さねえ。絶対許さん。後でぶっ殺してやる。

「以上でこの初回の授業を終わる。

 めんどくせえ挨拶はいらん。終わりだ」

そういって高山は教室を出た。こういう先公もいるんだなと思った。

授業が終わると俺は、真っ先に眼鏡野朗のところへ突っ走っていった。

「貴様、俺と怠慢張れ。生意気なんだよ」

俺は青龍のむなぐらをつかんで怒鳴った。

「いいけど、僕に勝てるとでも思っているのかい」

自信に満ちた声で俺を挑発しやがった。俺の我慢はもう限界だ。

俺は一発こいつの面にパンチを入れてやろうとした。

青龍が消えた。

どこだと思って俺は後ろを見た。

すると信じられない事にあいつがそこに居た。

「僕はここだよ。どうせなら本気を出して欲しいな」

こいつの自信の満ちた声に俺の怒りは爆発した。

「俺は貴様を許さん」


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