表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話 学年のツッパリ番長

「王国歴324年。今から500年前に、普族との戦争がありました」

髪が残り少ない先公が、全く笑い声が出ない授業をやってやがる。

俺は机にあごをつけて、時計をぼーっと眺めている。

授業がつまらないのは普通だ。だが、この禿げ頭の歴史の授業は格別つまらない。

俺は騒いでやらない事にしている。騒ぐと、禿げ頭の先公はストレスが溜まる。

そうすると、あの先公の貴重な髪は、ストレスで全部なくなってしまうだろう。

俺が騒がないのは、禿げ頭にこうした配慮をしているからだ。

俺はこの”学年”のの番長的存在だ。学校の番長まではいかない(笑)

だから、俺が静かだと皆騒がない。騒がないと言うより、騒げないんだ。

授業があと少しで終わるという時だ。

禿げ頭の先公が俺を指名してきた。

「上崎、黒板をちゃんと見なさい!」

禿げ頭の先公がかん高い声で俺に怒鳴った。

俺が完全に禿げない様にフォローしてやっているのに、あんな態度をとりやがる。

俺は頭の中に血が一気に上った。

そして、俺は体の力を抜きだらだら立った。

俺は怒鳴られた事に対して、腹を立てていたので『チッ』っと舌打ちをした。

禿げ頭の先公は、鬼の様な形相で俺を睨んできた。

禿げ頭の先公が、親指と中指を擦って『パチッ』っと指を鳴らした。

すろと、俺の足が石になった。必死に足を動かしても動かない。

「驚きましたか? これは魔法という物ですよ。

 まあ、上崎に何回もかけてるから知っていますね。

 貴方達は、次の時間は初めての魔法の授業ですね。

 この学校に入学すると、習う事になっているんですよ。

 知ってるとは思いますが」

禿げ頭の先公が得意気にいいやがった。それがむかつく。

俺は別にあいつが禿げないように配慮しているのではない。

あの魔法のせいで騒げないんだ。あの魔法に何度苦しめられたか。

「上崎、授業が終わるまで魔法は解きませんよ。

 せめて、授業が終わるまで反省するんだな」

番長の威厳丸つぶれだ。このままでは、俺の威厳が効かなくなってしまう。

魔法の授業はマジで頑張らなねえとやべえ。

魔法がうまい奴が出現すると、番長の椅子はそいつに取られたも同然。

武力で魔力に勝つ事はまずない。

その証拠に、禿げ頭の先公に武力を用いて戦ってもまず勝てない。

頑張らねえと、俺は虐められる側に回ってしまうかもしれない。

俺は授業が終わるまで、魔法の事を考えていた。

授業終了前一分前……。

「普族は魔法を使えませんでした。

 魔法を使える我々を普族側の人々は魔族と呼んでいました。

 ここ、中間試験で出題します」

禿げ頭の先公がそう言い終わらない内に授業終了のチャイムが鳴った。

禿げ頭の先公が中指と親指を擦ると、俺にかかっていた魔法は解けた。

足が軽くなって、空を飛べそうな気がした。開放感に俺は知らぬ間に浸っていた。

「起立。気お付け、礼」

日直が早口でそう言って授業は終わった。

次の魔法の授業が俺の天下分け目の戦いだ。思わずため息がこぼれた。

「どうしたんだい、上崎君」

ため息をついた俺を見て心配したのか、俺に話しかけてきた奴が居た。

俺は、そいつにはあまり見覚えがない。なので当然名前も知らない。

そいつは痩せていて、見るからに弱そうだった。

俺はわざと礼儀知らずな事を言ってみた。

「おい、てめえ誰だよ」

神保(カミホ) 真一(シンイチ)って言うんだ。よろしくね」

普通にそいつは名を名乗った。

こいつにはプライドという物を持っていないのか。

俺があんな失敬な事を言ったのに、こいつは不快に思っている様子はない。

でも、こいつとはなんだか話しやすいような気がした。

「知ってるとは思うが、俺は上崎(カミザキ) 一希(イチキ)。」

名乗られたので(名乗らせたと言うべきだ)こっちものりで名乗ってみた。

「へぇ、一希って言うんだね。一希って呼ぶね。」

こいつは俺の事を怖いと思っていないらしい。

一希と家族以外の奴から呼ばれるのは少し抵抗感があった。

しかし、なんだか良く分からないが、そう呼ぶ事を俺は許した。

「一希の髪って派手だね。赤色の髪の毛の人初めて見た。

それって地毛なの?」

地毛なわけねえだろ! そう重いながらも俺は

「当たり前だ。地毛に決まってんだろ」

そう答えた。

なぜだか知らんが俺は堂々と染めたと言えなかった。

俺は、こいつは馬鹿か? そう思われるのは承知でこんな事を質問した。

「ここの学校って何って言うんだ?」

神保は微妙に頬をあげた。単刀直入に言えば薄笑いをした。

俺に気を使って笑うのをこらえてくれたのだろう。俺はそう解釈した。

「軍兵養成学園って言うんだよ」

ずいぶん変なところだな。俺は率直にそう思った。

「ここは、その名の通り軍兵を育てる学校だよ。

 教科は3教科。歴史、魔法、剣術。

 この3教科だけ。

 軍兵として必要なものしか学ばない様にしてあるんだ」

「ほぉ、それは知らなかった」

神保は少々呆れ気味。苦笑いをしている。

「ちょっと呆れた。

 ここに入ったからには軍に入らないといけなくなるのに。

 そんな重要な事も知らないで入学したなんて呆れたよ、一希」

俺はまさか軍に入ろうとは、これっぽちも思っていなかった。

でも、軍に入るのも嫌と言うわけでもない。

この学校しか受からなかったのだから、文句を言うつもりもない。

学力の低い俺には軍は上等。

俺は呆れ顔の神保に対して、笑顔を見せた。

「軍も別に嫌じゃねえぜ」

こうしていると、チャイムの音が学校中に鳴り響いた。

神保は急いで自分の席に着いた。


そして、いよいよ初めての魔法の授業だ……







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ