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elf:Aaru  作者: 陽来
1/1

7歳

第一章、興味ない人は、飛ばして二章から読んでも、大丈夫です。第二章は、大体五話目くらいからを予想してます。

 タ・ネチェル。

 広い宇宙の片隅にある惑星ほし

 七柱の神と、魔法のある世界。

 かの星の中世さながらの文化に、色とりどりの美しい自然をもつ地。


…きっかけは何だったのだろうか。

 その命は、気がついたときには生まれていた。私の管理の外で、だ。

 ありえないことだと思った。だが、特段危険のあることだとは思わなかった。

 だから、様子を見ることにしたんだ。


 それなのに今、君はこう……私の前に……剣を…………命……っている……

 …算外、確率……等しかったはず……



 …不死の……効か……

 


 

『「意思」となる君に、私の贈ることのできる、最大の祝福と呪を――』




◆◆◆




 部屋の窓から、朝日が差し込んでいる。

 それは、部屋に散らばった本を照らし、朝が来たことを、部屋の主に告げる。

 しかし、部屋の主――青い髪の少女に、起きる気配はない。

 白いワンピースに身を包み、陽の刺すベッドの上で、気持ちよさそうに寝ている。

 彼女の横には、開いたまま伏せられた本。そこには、「タ・ネチェル創世記」と、書かれている。


「んっ……」


 寝返りを打つ。しかし、彼女が目覚める気配はない。


「トート、起きなさーい!ご飯できたわよー!」


 一階から、そう声がした。その声に反応するように、少女のまぶたがピクリと動く。


「早く起きないと、朝ごはん抜きよー!」


 その言葉に、青い髪の少女――トートのまぶたが、更にピクリと動く。


「ん……朝ごはん、食べる……」


 トートは、しばらくもぞもぞと動いた後、ゆっくりと、眠そうに目をこすりながら、体を起こす。その拍子に、髪の間から細く、尖った耳が見えた。

 ベッドの淵に座り、部屋を見渡す。

 本の山で散らばった部屋だ。

 

 トートは立ち上がると、床に散らばった本を起用に避けながら、部屋を歩く。

 ふと、一つの本の山の前で立ち止まると、その山の一番上にあった本を手に取り、ドアに手をかけた。

 

 ギィと音を立て、ドアが開く。

 トートは部屋を出ると、階段を下り、両親の待つ食卓へと向かう。


 食卓には、いつもの朝食が並んでいた。

 パンと茹でた卵と野菜、そしてミルク。

 質素だが、毎日ご飯を食べれる暮らし。

 王国の辺境にあるこの地域では、それは珍しいことだった。

 

 トートは席につくと、持ってきた本を開き、パンを手に取る。


「こら、トート。ご飯中に本を読んじゃいけないって、昨日もいったでしょ」

「ん……わかった」


 母にそう言われ、トートは本を脇に置く。

 母は、頭に手を当ててため息を付いた。トートは違い、黒い髪だ。


「まったく……。あんまり言うことを聞かないと、本を没収するわよ」

「まぁまぁ、母さん。良いじゃないか。本を好きだっていうのは。僕が子供の頃は、本なんか一冊も読んでなかったよ」


 父が、母をなだめるように言った。こちらも黒い髪をした、快活そうな男だ。

 

「まあ、あの頃は本が貴重だったし……でも……」

「大丈夫さ。こんなに本をたくさん読むんだ。きっと、頭の良い子にそだつさ」

「うーん、そうね。きっとそうだわ」


 父はトートの頭をくしゃくしゃっと撫でる。

 が、邪魔そうにトートに手を払われ、悲しそうな顔をする。


「そうだ、今日は何をするんだ?テトといっしょに遊ぶのか?それともジェフティのところか?」


 気を取り直したようにパンを手に取る父。


「別に村の中ならどこに行ってもいいけれど、この間みたいに遅くなるのは止めてほしいわね」


 母も、席につきながらそう言った。


「……テトと、ジェフティさんのところ、いく。このあいだ、剣ができそうだって言ってたから」

「そうか、分かった。ジェフティに迷惑をかけるんじゃないぞ」

「んっ」


 トートは小さく返事をすると、机の上のミルクに手を伸ばす。

 窓から入る朝日は、部屋の中を明るく照らす。

 どこにでもあるような家族の、小さな幸せ。

 それが、ここには確かにあった。




◆◆◆




「じゃあ、気をつけるんだぞ」

「お母さんは、畑にいるからね。お父さんも騎士団のところにいるし、何かあったら来るのよ」


 二人に見送られて、トートは家を出た。

 家の裏手に回り、畑の間にある細い道を走る。トートの家は村からは少し離れたところにあるのだ。

 季節が秋なこともあって、両脇の畑には金色の小麦がいっぱいに実っている。

 そんな畑の間を、トートは本を小脇に抱え、走った。

 途中、畑で作業をしている人に、声をかけられる。


「おはよう、トートちゃん。今日も元気だな!」

「今日はなんの本を持ってるんだい?」

「転ばないように気をつけるんだよ」


 そんな声に軽く挨拶をしながら走ると、村の入口が見えてきた。

 魔獣対策で、木の柵に囲まれた村。

 このあたりは魔獣も少なく、トートの家には駐在騎士の父もいるので平気だが、それでも魔獣は、人々にとって恐ろしいものだ。

 

 村の門をくぐり、道を歩く。

 石造りの壁に、赤い瓦の家々。

 道の先に咲く花には、朝露が光っている。


 トートはその中の一つの建物の前で止まる。他とは違い、煙突の突いた建物だった。

 

 コンッコンッとノックをする。

 黒く、煤けた扉だ。脇の壁には、剣やら斧やらが立てかけられている。

 

 もう一度ノックをする。すると、ガチャリとドアが開き、中から一人の男が出てきた。

 煤まみれの前掛けに、筋骨隆々の腕。モジャモジャの髭。

 ガッシリとした体つきのその男は、トートを見ると、笑顔になって言った。


「おう、よく来たな、トート!今日は何だ?剣か?剣ならちょうど、できたとこだぞ」

「……テトは?」

「ん、テトか?テトならまだ、来てねぇな。そのうち来るんじゃねぇか?」

「わかった」


 男はトートを中に招き入れ、扉を閉める。

 

 部屋の中は暑かった。

 理由はすぐに分かる。部屋の真ん中にある、大きな炉だ。

 煌々と赤く光るそれは、部屋の中に熱を放ちながら、どんっと鎮座していた。


「トートも来たし、窓でも開けるか」

「ありがと、ジェフティさん」

「おうよ」


 男――ジェフティは窓を開けると、部屋の隅に置かれていた木の椅子を取り、どかっと座った。

 それを見て、トートも椅子を取り、それに座る。


「お前は本当に本が好きだな、トート。今日のやつは何だ?

 ”地・炎の2大元素と水・氷の準元素、そして魔力の相関係に関する予想”

 ……すまん、本当に何を読んでるんだ?」


 椅子に座り、本を読み始めたトートに、ジェフティは困惑の顔を向ける。


「……魔術の本。魔術で、水と氷をつくるのを研究してるやつ」

「ん?水と氷は魔術じゃ作れないんじゃないか?そもそも、水と氷は絶対に性質が変わらないから、魔術で再現できないって、どっかで聞いたことがあるぞ?」


 この世界では水と氷は不変の物質だ。いかに熱を加えようが、いかに冷やそうが、水はサラサラと流れ、氷は冷たい石のままである。それらが変化する唯一の例外は、生物の体内だけであろうか。


「いいの。おもしろいから」

「そうか。それならよかった」


 ジェフティは立ち上がると、壁に立てかけてあった剣を一本手に取り、持っていた布で拭き始める。

 本を読むトートと、剣を磨くジェフティ。部屋に、しばしの静寂が訪れる。

 

 それを破ったのは、ガチャリとドアが開く音だった。


「ジェフティさん!トート、いる?」


 勢いよく開けられたドアから入ってきたのは、金髪の少年。歳はトートと同じで7歳といったところだろうか。


「お、来たか。テト。トートならそこで本を読んでるぞ」


 ジェフティは持っていた剣を地面に置くと、そう言った。


「ん、テト。おはよう」


 トートも呼んでいた本から顔を上げ、挨拶をする。

 

 テトは部屋の中に入ると、何かを探すように部屋を見渡した。


「ねぇねぇ、ジェフティさん!剣は?剣はどこなの?」


 その場で飛び跳ねがら、待ち切れないといった様子のテト。

 その姿を見て、ジェフティは笑う。


「まあ、待て。ちゃんとできてるから」


 ジェフティはそう言って、テトをなだめる。


「そうだな。一旦、外に出るか。ほら、トートも」

「ん、わかった」


 トートは本を閉じ、椅子から立ち上がると、そこに本を置いた。


「じゃあ、外に出ようか」


 ジェフティの言葉で、トートたちは部屋を後にした。




◆◆◆




「――よし、ここならいいだろう」


 トート、ジェフティ、テトは、村外れの小高い丘の上に来ていた。


「早く、早く!早く見せて!」


 テトは、ジェフティの持った、布に巻かれた細長い杖のようなものを見て、興奮しながらそう言った。


「わたしも見たい」


 先程まで無表情で無愛想だったトートも、その顔に期待の色を浮かばせている。

 

「そうかそうか。じゃあ、見せるぞ」


 ジェフティはそんな二人の様子に満足したように頷くと、布をとった。

 はらりと布が地面に落ちる。

 そこから現れたのは、剣。だが、その姿形は異様なものだった。

 まず、刃が細い。通常の剣の半分もないような細い刃だ。

 それに対して、長い。刃が長い。1mはありそうだ。

 そして同じく、柄も長い。30cmほどで、柄の先には水晶のようなものがつけられている。

 刃がついているが、杖のような見た目。その見た目に、トートとテトは驚きの声を上げる。


「うわぁぁぁ!」


 トートとテトは、そんな剣に、感嘆の声を上げる。


「すごいすごい!これ、どうなってるの!?」

「……柄に魔石がついてる。なんで?」

「まぁ、まてまて」


 今にも飛びかかりそうな二人をなだめながら、ジェフティが言う。


「この間、お前さんたちが壊した剣があっただろう。確か、剣に魔法をまとわせるってやつだったかな。あのときは俺も怒ったんだが、だがよく考えると剣に魔法ってアイデアは結構面白いと思ったんだ」


 ジェフティはそう説明をしながら、剣を掲げる。見た目よりも軽いようで、それはひょいと持ち上げられた。


「ただ、普通に剣に魔法を使ったんじゃぁ、剣がもたない。魔力が刃の内側にこもっちまうからな。だから、魔力を効率的に外に出せるようにしたんだ」


 ジェフティは、二人に剣の刃を見せる。そこには小さな穴が、等間隔に並んでいた。


「まず、剣というよりも鉄の棒を作った。真ん中に穴の空いてるやつだな。それを潰して刃の形にし、側面に穴を開ける。そうすることで、魔力が中の空洞を通り、穴から出るようにしたんだ」


 ジェフティは刃を手でなぞる。


「剣が長いのは、あれだ。杖としても使えるようにするためだ。この専用の柄を被せれば、こっちの魔石で魔法を増幅して使うことができる――まあ、トートが使ったら砕けるだろうが――それに柄の中で魔力が循環することで、少ない魔力でも効率的に魔法を使うことができる。――まあ、実際に使ったほうが早いだろう」


 ジェフティはそう言うと、剣を二人に向かって差し出す。


「さぁ、どっちが先に試すんだ?」

「僕!僕がやりたい!」

「いいよ、テトが先で」

「やった!」


 テトは、興奮した様子で剣を受け取る。

 ずっしりとした剣は、七歳の体には少し重いようで、途中落としそうになったが、テトはそれをしっかりと両手で受け取った。


「そうだな。まずは両手で持って、炎あたりの魔法でも流してみたら良いんじゃないか?」


 ジェフティは、剣を構えるテトを見て、そう提案する。


「うん!」


 テトは元気よく返事をすると、両手で剣を握り、力を込めた。

 剣先が僅かに赤く光る。かすかな風が、トートたちの肌を撫でる。

 

「やっ!」


 テトが鋭く、そう叫んだ瞬間、刃に炎が走った。荒れ狂う炎だ。テトごと飲み込まんとする勢いで、刃に燃え盛っている。


「熱っ!」

「テト、お前!火力下げろ、火力!」


 テトとジェフティが慌てるが、トートは燃える剣を、興味津々の目で眺めている。


「くっ、静まれ!」


 テトは必死で炎を抑えようとするが、炎の勢いは増すばかりだ。

 

「うわ、服に移った!」


 気がつくと、テトの服の袖に、火がついていた。


「まずい!トート、水を頼む!」


 ジェフティが慌ててトートに頼む。

 その言葉に、トートは指を一本立て、それをテトに向ける。


「はい」


 次の瞬間、テトの頭上に、巨大な水球が浮かんだ。

 トートはそれを見ると、指を空を切るように振り下ろす。

 

バシャッ!


 水球が落ち、大量の水がテトに降り注ぐ。その拍子に、テトの持っていた剣が地面に落ち、荒れ狂っていた炎も、ジュッと音を立てて消えた。

 水があたりのものを押し流す。大量の水が流れ、小さな川のようなものもできていた。

 

「うぅ、助かった……」

「よかったぜ、テトに何かあったら、親御さんに顔向けができねぇ」


 ジェフティとテトは、びしょ濡れになりながら、胸を撫で下ろす。


「しっかし、なんでだ?セーフティとして魔石をつけといたんだが……そっちに魔法が伝わってないのか?」


 ジェフティは、地面で湯気を上げている剣を拾い、疑問の声を上げる。


「まぁ、何にしろ、トートがいて助かった。トートがいなかったらどうなっていたか……」

「てか、毎回思うけれど、なんでトートは水の魔法が使えるのさ。水は”ふへんぶっしつ?”だから魔法にできないって、この間トートが言ってたんだぞ」


 テトは不満げな顔で、トートに文句を言う。

 助けてもらっておいて何様だと思うかもしれないが、年相応の反応だと思えば、可愛いものだろう。


「わかんない。朝起きたら使えるようになってたって、言ったでしょ」


 トートは興味なさそうに、そう言う。

 確かに、朝起きたら水球が眼の前に浮かんでいたのだ。邪魔だと思ってどかそうとしたら、床に落ちて家が水浸しになった。


「それより、その剣わたしにも使わせて」


 剣を持つジェフティに、手を差し出して頼むトート。

 だが、ジェフティは困ったような顔をする。


「いや、それはだな……ちょっとお前さんの魔法は強すぎるって言うか……この間、剣を粉々に砕いたのもトートだし……」


 思い出されるのは、先週の記憶。

 テトが剣に魔法を込めてみようと言い出し、トートもそれに賛成した。

 だが、力加減を間違えた。

 トートが剣に水の魔法を使った瞬間、剣は粉々に砕け散った。

 ジェフティさんは悲しそうな顔をし、父と母に怒られた。

 まあ、トートは特にその事を気にしている様子はなかったが……


「今度は気をつけるから」

「いや、でも……」


 ちなみに、トートが魔法で物を壊したのは、この間が初めてではない。

 小さい頃から感覚で魔法が使えたトートは、事あるごとに魔法で物を壊してきた。

 その魔法をテトに教えたことで、村には二人の破壊神が生まれてしまった。大人たちが頭を抱えるわけである。

 

 そんなわけなので、ジェフティがトートに剣を使わせるのを渋るのも、当然と言えよう。


「いいじゃん、ケチ」


 そんなことは露知らず、ブーブーと文句を垂れるトート。


「僕も、トートがその剣で魔法使ってるとこ、見たい!トートの魔法はすごいから、きっとすっごいことになるよ!」


 びしょ濡れのテトも、あたりに水滴を飛ばしながら、そう頼み込む。


「いや、すっごいことになったら困るっつうか……いや、分かった分かった。今日はだめだが、今度改良したやつを使わせてやる。だから、今日はなしだ」


 諦めたように、ジェフティは肩を落とす。

 

「いやだ、今がいい」

「そうだよ!今すぐがいい!」


 だが、二人は追撃の手を緩めない。

 

 その日、丘の近くを通った村人は、巨大な爆発音と、何かが砕ける音を聞いたという。




◆◆◆




 帰り道。

 トートとテトは、夕日に輝く小麦畑の間を、二人で並んで歩いていた。

 二人ともずぶ濡れである。理由は……まあ、言うまでもない。


「結局壊しちゃったね、剣」

「……うん」


 水滴が髪から流れ落ち、ポタポタと地面にシミを作っている。

 陽は山の向こうに沈もうとし、世界はオレンジ色に染まっていた。


「あーあ。しばらくジェフティさんのところは行けなくなっちゃったし、明日から何して遊ぼう。もう。トートのせいだよ」

「テトだって、面白そうって言った」


 ふてくされるテトに、言い訳をするトート。

 だが、どっちもどっちである。


「そういえば、テト、おっきくなったよね。わたし、こんなにちっちゃいのに」


 ふとテトを見上げて、トートは言った。

 トートとテトの背には、拳一つほどの差がある。


「あ、ほんとだ」

「わたし、エルフだからあんまり成長しないって言われてるのに」


 トートは羨ましそうな顔で、テトの横顔を眺める。


「いいじゃん、別に小さくても。トートはそのぶん、すっごい魔法を使えるわけだし。小さいけど」

「小さいって言うな」


 最後の言葉でフォローを台無しにするテトに、トートは頬を膨らませながら文句を言う。


「いいなあ、テトは。どんどん大きくなる」

「僕は、ずっと生きられるトートのほうが羨ましいよ」

「そんなことないよ。みんなおっきいのに、わたしだけちっちゃいままなのは嫌だ」

「僕だって、トートは元気なのに、おじいちゃんになるのも嫌だよ」


 夕日が背後の山に沈み、夜が後ろから迫ってくる。

 尾根の上に一番星が輝き、反対側には、細い爪のような月が登る。


「……」

「……」


 なんとも言えない沈黙が、二人の間に流れた。


 それを破ったのは、一陣の風だった。

 それは道を駆け抜け、トートたちの間を通り、二人の髪をブワッと広げた。


 濡れた髪が前に張り付き、お化けのような格好になるトート。

 その姿を見たテトは、我慢できないといった様子で、笑った。


「くっ、あははははっ!トート、変な格好!あはははっ!」

「え、なに?どうなってるの」


 前が見えないトートは、オロオロとしながらテトに聞く。

 そんなトートにテトは、前髪を整えてあげた。


「あ、前が見えた」


 視界を取り戻したトートは、不満げな顔をしてテトを見る。


「笑ったでしょ、わたしのこと」

「ごめん……ちょっとおもしろくて」

「ひどい。テトのいじわる」


 そう言ってそっぽを向くトート。


「……まぁ」


 テトはトートの手を繋いで、言う。


「また明日も遊ぼう!そのまた明日も、次の日も!」

「……うん」


 空は半分夜に飲まれ、冷たい風が二人を撫でる。

 昼と夜のグラデーションの中、二人は家へと向かって歩いた。

〈ちなみに〉

 トートの髪が青いのには、きちんと理由があります。

 が、

 「他とは違う髪色」であることに深い意味はあっても、「青色」には特に深い理由はありません。

 ですが、深くないだけで、ちゃんと理由はあるので、暇な方は予想してみてください。

 ちなみに、かなりふざけた理由です。

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