↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
67/92

第67話 スローな郵便と、届かないラブレター

~時間と想いと、ちょっとした背中押し~

午後の陽ざしが、のんびり郵便村の石畳を照らしていた。


七海は、移動式の宿屋をポンと建てて、村の広場でマグを手にしていた。


「……この村、空気までゆっくりしてるなぁ。郵便屋さんも、徒歩で配達って……すごい」


郵便局の前では、青年が一枚の手紙を手に、じっと立ち尽くしていた。

その紙は、少し黄ばんでいて、角が丸くなっている。


「……出せないんです。3年前に書いたラブレターなんですけど、今さらっていうか……」

七海は、ふと道具箱を開いて、ぽん。


「勇気の封筒、出ました。これ、手紙を入れると、ちょっとだけ背中を押してくれるんです。たぶん」

青年は、戸惑いながらも封筒に手紙を入れ、ポストに投函。


その瞬間、ポストがふわっと光り、風が優しく吹いた。

「……え、今の何?」

「たぶん、封筒が“よし、行ってこい!”って言ったんじゃないかな」


翌日。青年は、村のパン屋で働く女性から声をかけられる。

「……手紙、読んだよ。3年前の気持ち、ちゃんと届いた。ありがとう」


七海は、遠くからその様子を見て、湯のみを傾ける。


「……世界は救えないけど、恋の配達くらいなら、ちょっとはできるかも」

郵便村の空には、ゆっくりと飛ぶ鳥の影。


時間がかかっても、想いは届く。そんな午後だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。