第64話 波音とバイブスの夕方
~砂浜に現れた二人の女神がぶち壊す、ゆるやかな時間~
砂浜の椅子から立ち上がり、七海が「ポンッ」と宿屋を建て終えたそのとき――
「ナナミちゃーんっ!! ヤッホーー!!!」
振り向くと、太陽みたいに眩しい笑顔の女神が、両手を広げて砂浜を駆けてきた。
七海は軽く目を細める。「……うん、こんにちは……今日も元気だね」
さらに背後から、肩にパイプオルガンをぶら下げたパリピ女神が、ズンドコリズムを響かせながら登場。
「イェーーーイ☆ 今日は波とバイブス祭りィ! ナナミちゃーん、ノってるぅ!?」
七海は深呼吸して、砂浜の椅子に再び腰かける。
「いやいや、私は波の音だけで充分……」
しかし女神たちは止まらない。太陽女神は「みんなで砂の城作ろうぜー!」とジャンプ、パリピ女神はオルガンで「ズンドコドンッ」とリズムを刻む。
小さなカモメたちが驚いて飛び立ち、七海は小さくため息。「……まあ、楽しそうで何より」
太陽女神は子どもたちの作った砂の城を覗き込み、「もっと派手にデコレーションしよー!」と騒ぎだす。
七海はそっと「見てるだけでも楽しいからね」と言って微笑む。
女神たちのハイテンションに、海と風と波の音が少しだけお祭り騒ぎのBGMになった。
深夜近くになり、少し肌寒くなる頃。
パリピ女神と太陽女神は、砂浜で最後に大ジャンプ。
七海は「ふぅ」と深呼吸して、今日も波の音に耳をすませる。
「……平和って、こういう瞬間も、含まれるのかもね」と、にっこり笑った。
砂浜の宿屋に戻り、「ポンッ」と屋根を閉じる。
波の音と女神たちの残響――ちょっと騒がしいけど、やっぱりゆるやかな一日だった。




