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第63話 波の音にまかせて
~海沿いの小さな散歩、しずかなのが一番いいね~
七海は海沿いの小道を、砂を踏む音を楽しみながらゆるゆる歩いていた。
「ザブン、ザブン」と波が足元に寄せては返す。潮の香りと風が、ふわりと髪を揺らす。
砂浜に小さな貝殻が落ちているのを見つけ、七海はサッと拾ってポケットに入れた。
「今日の記念ね」と独り言。
少し歩くと、波打ち際でカモメがちょこちょこ歩いている。
七海はしゃがんで見守ると、カモメも警戒心なく近づいてきた。
「……可愛いね」と笑顔。
遠くで子どもたちが貝殻で小さな城を作っているのを見かけた。
「お手伝いする?」と声をかけられたが、七海は首を振り、砂浜の椅子に腰かける。
「見てるだけでも、楽しいからね」とにっこり。
夕方になると、空はオレンジに染まり、海面もキラキラ光る。
七海は深呼吸して、波の音に耳をすませる。
「……平和って、こういう瞬間のことだなぁ」としみじみ思った。
砂浜の椅子から立ち上がり、七海は「ポンッ」と宿屋を建てる。
今日も誰も困らず、でもちょっとだけ誰かの生活を彩れた――そんな、ゆるやかな一日だった。




